広島の地酒や地物料理を中心に提供。今年2月で25年目を迎えた。清酒(650円〜)は定番約20種、季節限定15〜20種を常備。旬の食材を生かし、酒に合う献立を用意する。
「これから9月頃まで県産ハモ(1200円〜)が一押しです。定番の湯引き梅肉しょうゆ添えのほか、サクサクの衣も楽しめるカツの山椒添え、ハモと大ぶりのなめこの新しい食感が楽しめるアヒージョを用意しています」
そのほか、泉州水なすとトマトのカプレーゼ(800円)は自家製カッテージチーズ、バジルソースとみずみずしい野菜の相性が抜群という。また食事を気兼ねなく楽しんでもらうため、サービスにも気を配る。
「店の規模に対して余力がある7〜8人のスタッフを毎日配置。人件費はかかりますが、お客さまを待たせない工夫です。また配膳順、言葉遣い、笑顔といった接客の基礎もしっかりと指導。大切な接待でも安心して使えるよう努めています。いつ誰と来ても間違いない店として楽しんでほしい」
英語教師として15年間勤めた後、県内で通訳や訪日客向けツアー企画の業務に携わり、今春に地域の人と資源を掛け合わせた体験を提供する地域送客メディア「ZeMott(ジーモット)」の本格展開を始めました。
私は広島市出身で親戚がみなカープファンだったため、帰省時に集まればテレビ画面には試合中継が映り、常にカープの話題が上がっていた。2歳まで日中、母親に代わり面倒を見てくれた祖母も熱狂的な鯉党で、昔は毎日のように市民球場へ足を運んでいたようです。その後、祖母は足腰が弱りテレビ観戦へシフトしていましたが、私がマツダスタジアムへどうしても連れていきたく、昨年9月1日ヤクルト戦でようやく一緒に観戦できました。その試合は矢野選手のランニングHRが奏功してカープの勝利。大失速する前に現地観戦を楽しめ、祖母の表情からも少しはおばあちゃん孝行ができたのかなと思います。
この取材を受ける1週間前、そんな大好きな祖母が97歳で他界しました。命日となったその日は、祖父が亡くなったばかりの小園選手が逆転満塁HRを放った日。不謹慎かもしれませんが、永眠した祖母の隣に親戚一同でスマートフォンを片手に試合を見ながら「今日もカープは勝ち勝ち勝ち勝ち!バンザーイ!」と歓喜。みなが悲しむよりはこうして勝利を喜ぶ方がきっと祖母はうれしいはず。そんな祖母と私の人生に寄り添ってくれたカープを、これからも変わらず応援していきます。
おいしいものを食べてもらいたい。しかし良い材料を使えば値段は青天井。安さを追うと味が落ち、客は離れる。ふらっと寄って安心して注文し、いつもの味に満足し、また来ようと思ってもらうには「材料の品質とコストとのあんばいが決め手」になる。飲食店にとって、本能ともいえる経営感覚なのだろう。
市内中心にうどん・中華そばと和菓子の店をチェーン展開する「ちから」(中区)が6月10日、創業90周年を迎える。京都の餅と麺類や丼物を出す大衆食堂「力餅」で経験を積んだ創業者の小林角蔵さんが、のれん分けして店を構えた実兄に影響を受け、同じ道へと進んだのが始まり。
大阪の店で餅の製造法やうどんだしの取り方を覚え、広島へと進出。物資の乏しい戦時中も入手できる材料で乗り越え、決して化学調味料は使わない。昆布や削り節など天然素材に徹しただしで、ちからの味をつないできた。4代目の小林正記社長は、
「誠実に、うそをつかず、真面目にやってきた。むろん、おいしいのが命。ちからは決して高級志向ではない。だが二、三代にわたり通ってくれる顧客も多い。学生時代から通い、その後に社長になっても顔をのぞかせてくれる。商いに偽りがないと分かっていただいているのではないかと思う。適正な価格とおいしさ。これがなかなか難しい」
しかし今年1月、ちからの味を支えてきた利尻昆布の水揚げ量が壊滅的となり、必要な使用量の確保が困難になった。何とか味を維持しようと1月22日の製造分から、真昆布を25%配合するだしに切り替えた。HPで詳しく説明し情報開示している。
うどんだしは、利尻昆布と京都の老舗削鰹節製造卸売の福島鰹から仕入れる専用の削り節と、1935年創業から使い続ける兵庫の龍野しょう油を使う。だし職人5人衆が変わらぬ味を届ける。2010年からモンドセレクション優秀品質賞を連続受賞。
「客観的にだしを評価してもらうことで何が足りないか、どう改善すればよいか気づかせてもらえる。応募の目的は果たして味が維持できているかを確認するため。健康志向などトレンドを意識しても基本を変えるつもりはない」
人気の肉うどんに使う牛肉の部位も、コストはかかるが肩ロースにこだわる。
現在店舗は市内に26、呉と廿日市で計28店を配す。中区の工場から、朝作ったものをその日のうちに各店に配送する。味を落とさないため出店エリアを広げるつもりはない。規模拡大を経営指標にせず、味の維持に軸足を置く。
一方で、長く働いてほしいと雇用を維持する制度へ見直しを図った。4月から評価制度を導入し、給与に反映。フルタイムで週5日以上働く正社員が30人に対し、時給で働くパート従業員は220人に上る。その85%が女性。子どもの急な病気などにも、休みが取りやすい職場環境が定着し、支持されていたが、有休に対して欠勤の扱いが不明瞭になっていたという。
「ちからの企業文化と風土になじんでもらうことが新制度の一番の目的。数年前からより意欲の湧く評価制度を考えていた。ようやく始動する」
調理場は男性が受け持っていたが、いつの頃からか女性も当たり前に。コロナを契機に接客も会計も一人三役を明文化し、生産性の高い店舗運営を軌道に乗せた。
老舗が姿を消す中、末長く看板を守り続けてほしい。