広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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表紙の人
財務健全化で成長戦略描く 次世代見据えた経営基盤へ
チチヤス / 久保 貴義 社長

ヨーグルトの製造開発一筋から一転し、7月24日付で前社長から経営のバトンを受けた。1886年に創業。国内でも先駆的なヨーグルトメーカーとして歩んだ同社は多角経営などから負債を抱え、ファンドの支援後、2011年に伊藤園グループの傘下に入った。初の生え抜き社長として、拡大路線へかじを切った成長戦略と事業展望を中心に聞いた。
-社内では、今まで通りの呼び名で通されています。
 株主総会と取締役会を経て就任後も変わることなく、“久保さん”と名前で呼んでもらっている。役職によって壁をつくりたくない。社長室も気楽に出入りできるようにとドアを開け放し。伊藤園傘下になってから社内改革に着手し、財務体質を改善。プロパー社員のやる気と意欲を喚起する土壌を整えた。年功序列の慣習を改めて成果評価を導入。自らの可能性に希望と自信が持てる企業へと変革し始めている。    

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話題のお店を取材!
熊吉 / 熊谷 祐太 店主

住宅街にあるお好み焼き店。先代の宮原勝江さんから事業を引き継ぎ、10月にリニューアルオープン。店名も「福の神」から変更した。
「佐伯区のお好み焼き店に6年ほど勤め、いずれは自身の店を持ちたいと考えていました。縁あって13年にわたり地域に愛されてきた店を任せていただき、身の引き締まる思い。廿日市の原地域で採れた『廿日九条葱』、生エビなどを使う福の神焼き(1400円)といった看板商品のほか、無料のキャベツ大盛りサービスなど、これまで守り続けてきたことを大切にしながら、さまざまなことに挑戦したい」
 食感を重視し、キャベツを蒸らしやすいように従来よりも細い千切りに。鉄板の温度も高めに設定した。夜営業に力を入れたいと、日本酒などドリンクの種類を増やし、各種鉄板焼きといった一品メニューも充実させる。
「こうした店は地域の交流拠点としての役割も担っていると思います。コミュニケーションを大切にし、気軽に集える場を目指します」

INFORMATION
  • ◆住所:廿日市市地御前2-1-25
  • ◆電話:0829-36-0415
  • ◆営業時間:午前11時〜午後2時、午後5〜10時
  • ◆定休日:月曜、第1火曜
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経営者が語るスポーツ「愛」
金本商会 / 金本 健太 取締役

安佐北区大林の工場を主拠点に産業廃棄物の処理や、それを原料とする石炭代替燃料RPFの製造を手掛けています。祖父が創業し、現在は父が社長。3代目となる私は社業のほか、2021年には広島JCにも入会してさまざまな経験を積む日々です。
 父は熱烈なカープファンで、幼い頃は旧市民球場に連れて行ってもらいました。まだ野球のルールもよく分からず、楽しみはカープうどんと7回裏のジェット風船。カープが勝つと父は機嫌が良くなり「これで好きなグッズを買ってこい」と1万円札を渡された思い出もあります。
 その後は小学4年でソフトボールを始め、打席では当時の主軸で下の名前が同じ、栗原健太選手のフォームをまねていました。名前つながりでは前田健太投手も印象的です。ただ、中学からはバットをテニスラケットに持ち替えました。
 東京の大学に在学中の4年間は、25年ぶりの優勝を果たすなど最も盛り上がった時期。父と一緒に東京ドームの左翼席で応援したこともあります。関東の球場は私のように広島から上京した人が集まり、独特の一体感と仲間意識を感じましたね。
 会社でも旧市民球場時代から年間指定席を持っており、取引先に進呈するほか、余りは社員に提供しています。好調だった今年の春〜8月は特に喜ばれましたが、9月の急失速が残念でなりません。来年こそは頂点をつかみ、広島の街を盛り上げてほしい。

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記者が注目する旬の話題
運転手の心を磨く

アマゾンなど通販の急速な普及で運送会社の仕事はどんどん増え、人手が足りずにてんてこ舞い。不在時の再配達が頻発し、その日の仕事がいつまでも終わらない。4月にトラック運転手の残業規制が始まった2024年問題の影響から、事態は一層深刻になってきたという。
 帝国データバンクの24年度上半期の全国倒産集計によると運輸・通信業は前年同期比14・7%増の249件。同様に残業規制の始まった建設業も深刻で、人手不足が原因となった倒産は両部門が全業種の半数近くを占める。配送網を維持するためには荷主を巻き込んだ業務効率化、運賃と賃金の引き上げ、働く環境の改善などを通じて、運転手の確保が欠かせない。
 これを問題視した国土交通省は11月1日、適正な取引をさまたげる疑いのある荷主や元請事業者に是正を働き掛ける調査員「トラック・物流Gメン」を2倍強の約360人に拡充した。中国地方では昨年7月から1133カ所をパトロールし、悪質な34件を指導した。
 物流業が生き残るために何が必要か。荷主から選ばれる組織づくりに力を注ぐKUBOXT(クボックス、西区)の久保満社長(65)は、
「住宅資材を運んだ後のパネルつり設置やユニットハウスの組み立てなど、物を運ぶ前後の〝物流プラスアルファ〟を徹底している。働き方改革関連法を受け、やむなく運賃値上げなどをお願いした。不安もあったが荷主からは、社員がしっかりとした会社なので今後も頼む。社員の教育費が運賃に入っていると考えれば納得できる、など多くの言葉を頂戴し感謝に堪えない。社員の頑張りや人柄の良さが当社の営業力に大きく貢献していると実感できた。誇れるものだと自負している。ほぼ全てが直接取引であり、そうして築いてきた長年の信頼関係こそ、全ての商いに通じる原点だと思う」
 運転手が休めるよう全拠点に寝室を置く。労働時間を把握するアプリや新型デジタルタコメーター、車両の現在位置や運行状況の管理システムなどを導入した。事故防止を徹底し、社員が高いモチベーションで安全に働ける環境の整備に余念がない。健康経営に取り組み、経済産業省から優良法人に認定された。
「いかに人材を獲得し、やりがいを感じて働いてもらえるか。人事企画部を設けて人的資本経営を進め、社員の成長意欲を掘り起こし、活躍できる人材を育成していく。仕事の幅を広げる機会や学びの場を増やす。例えば、管理者やマネージャーには自分が抱える業務だけではなく、経営者と同じ目線で人材育成に取り組むマネジメント能力を磨いてもらうため、専用の研修をスタート。人材の力を最大限に引き出し、そこまでやってくれるのかと思われるサービスを追求する」
 61期を迎えた。売り上げは15〜17億円で堅調に推移する。社会貢献も意識し、拠点を置く岡山市、岐阜県の大野町と協定して被災者へ救援物資を運ぶ緊急車両の燃料供給を担う。施設は避難所として提供する。
 創業した両親を立て続けに亡くした。いまも創業者精神「四つの答え」を大事にしている。経営理念の一番目に「社員の幸せの実現」を掲げ、そのために「物事にはすべて基本がある。基本を忘れるな」「世のため、ひとのため」「誠を尽くせ」「みんな仲良く」(切磋琢磨)と心を込める。

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