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適切な雇用環境で人材育成を
広島県・今治市雇用労働相談センター
代表弁護士 長谷川栄治 氏
代表相談員 中川 玲子 氏
広島県・今治市雇用労働相談センターは、国家戦略特区法に基づき設置された雇用ルールに関する相談に応じる施設です。ビッグデータを活用してイノベーションを創出し、国際競争力を強化することを目的としており、その実現には企業における人材育成と従業員のスキルアップによって、高度人材を創出することが不可欠です。ただし、企業視点の「人材育成」、従業員視点の「スキルアップ」のいずれも、企業と従業員が労働基準法をはじめとする法令に則した適切な関係を築いた上で、達成されなければ長期的な成功は期待できません。
例えば、社会的なハラスメント事案の増加に伴い、ハラスメント防止に関する企業の義務が強化されています。このような現状下でもいまだにハラスメントが横行する企業では、いくら人材育成やスキルアップが進んでも従業員が定着することはありません。結果として有能な人材が流失します。安定した人材育成・従業員のスキルアップによって企業を発展させるためには、時代に求められるルールを正確に認識し遵守することが求められるのです。
従来型の勤続年数や勤務態度によって報酬が定められる「メンバーシップ型雇用」から、仕事内容を基に報酬を定める「ジョブ型雇用」への移行も選択肢として考える必要があります。しかし、このような従業員の賃金等の変更を伴う大きなシステム改変は、労働条件の不利益変更などがないように慎重に検討する必要があります。
多様な人材にそれぞれの働き方を認めていく時代になっていますが、これも労働契約や就業規則に基づくことが必要なことに変わりはなく、多様化するがゆえに対応にも特別な配慮が必要になることがあります。いずれの雇用問題も、起きてしまってからでは企業にも従業員にも大きな負担となり、事前の対応がなによりも重要となります。
当センターは、企業の発展過程で、直面するかもしれない雇用の問題を事前に相談していただき、それらに精通した弁護士、社会保険労務士によるアドバイスで将来の問題発生の防止を目指します。相談の方法は、①対面、②メールや電話、③オンライン、チャット、④出張相談があり、全て何度でも無料です。2021年8月からは、スタートアップ企業や中小企業向けに労務や法務の体制をウェブ上で診断できるサービス「ゼロドック」の提供を始めました。設問に「はい」か「いいえ」で答えるだけで、労務・法務に対する課題について専門家からアドバイスを受けることができ、自社の問題点把握に生かせます。
「人材育成」と「スキルアップ」を図る上で労務管理の重要性を再確認していただくとともに、専門家への相談ツールとして当センターの利用もご検討いただければ幸いです。
関連サイト : 広島県・今治市雇用労働相談センター