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古巣カープにコーチで復帰若鯉と対話、失策減へ
広島東洋カープ 1軍内野守備・走塁コーチ
小窪 哲也
カープで13年間プレーした後、独立リーグを経て2021年にロッテに移籍。プロ復帰戦で見事なホームランを放ったものの、その年で現役生活を終え、古巣カープに1軍内野守備・走塁コーチとして迎えられた。自身初の指導者としてのキャンプで胸中に迫った。 -コーチで臨む初のキャンプですね。今までは自分のことがメインでしたが、選手の動きなどいろいろと考えることが多くなりました。
-今、取り組んでいることは。それぞれの選手としっかりと会話をして、去年からの課題や、将来どうなりたいのかを把握することです。個々の選手にとって何が正解かを考えながら、こちらの要求だけではなく、選手の要望も聞きながらやっています。厳しく言うべきときは言い、選手一人ひとりがやってはいけないプレーやミスを減らすことに取り組んでいます。
-昨年、菊池涼介選手が好プレーを続ける中、内野陣の失策数は54でした。菊池の存在は絶対的ですが、彼にも何が起こるか分かりません。あらゆる想定で複数のポジションを練習することで戦力を底上げしています。ミスは絶対起きるので、失敗から目をそらさないことが大事です。去年失策が多かったショートの小園も、すごく自覚を持って練習している。技術的なことよりも、練習から意識を高く持っていけるよう、いい方向に導きたい。
現役時代の経験を糧に -「失敗から目をそらさない」とは。
僕は現役時代、ずっと不安だった守備から目をそらし、正直、苦手意識がありました。特に二遊間はショートがミスするとすぐに失点につながります。出場機会が減る中で自分なりに考え、最後に少し自信というか、それなりに理論を持てるようになりました。
振り返ると、1年目の守備は本当にひどかった。(08年当時ポジション争いをした)梵(英心)さんは守備が上手で肩も強く、足も速いので同じことをやっていても勝てなかった。捕球の1歩目の切り方やボールの握り方など、常に意識して高めないと負けてしまうので、自分なりに工夫するようになりましたね。
代打で出始めたころは、今日代打のチャンスで打って結果を残せば明日はスタメンで出られるかもしれない状況でした。やはり本当の思いは〝スタメンで出たい〟の一心でした。代打の2年目に入り、〝代打屋〟みたいになったときは、その責任の重さにすごくプレッシャーを感じました。そこはまさに一番の勝負どころですから。
そこで、引退される13年まで代打の切り札を務められた前田智徳さんに話を聞きに行きました。代打は準備しているとき、ベンチやその裏の暗いところにいるので、グラウンドに出ると急に視界が明るくなります。4打席立つ人とは目の状態が違うので、「目は動くようにしておけ」とか、「出る前に気合いが入り過ぎてバットをブンブン振っていると逆に打席で振れない」とかを教えてもらいました。〝生きるか死ぬか〟の勝負どころですから、当然相手も良いピッチャーが来ます。そこで、早く反応できる体の状態をつくる工夫をしていたんです。
あのホームランは正直、もうついていけないなと感じていた中でのハプニングみたいなものです。縦変化にもう対応できなくて、あそこしかないと狙いを絞って打ちました。当たったけれど、引退を意識したというか、久しぶりに1軍の試合に出て「勝負できていないな」と思った日でした。
雰囲気づくりと方向性 -球歴は磐城デンジャーズ、香芝ボーイズ、PL学園高、青山学院大、カープとすべてキャプテンですね。小学校、中学、高校、大学でそれぞれ違いはありましたが、今思うと、とにかく皆が同じ方向に向けるように持っていく雰囲気づくりを心掛けていました。
-最後にコーチとしての目標など。コーチの1年目で、役割も年齢も、選手と一番近い。皆が同じ方向を向けるように、また選手とコーチの調整などの役割もあるので一生懸命頑張りたいです。
カープは、Bクラスで終わるチームではありません。また選手たちが大歓声を受け、広島の街が盛り上がるように、熱いカープが見られるようにしたいので、ぜひ応援に来てください。
(ライター 西本 恵)
プロフィール小窪 哲也(こくぼ・てつや)1985年4月12日生まれ。奈良県出身。PL学園高、青山学院大を経て2008年ドラフト3巡目でカープ入団。右投右打、内野手。16、17年は選手会長としてリーグ優勝に貢献。20年現役続行を求め退団。独立リーグを経て21年にロッテへ移籍、同年引退。22年からカープ1軍内野守備・走塁コーチ。
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