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人材・組織づくり広島ドラゴンフライズ対談 経営と現場の共闘
広島ドラゴンフライズ
浦 伸嘉 社長 / 朝山 正悟 選手
広島ドラゴンフライズは、昨年10月に開幕した今季を折り返し、2季連続のプレーオフ進出を目指してチーム一丸のプレーを続けている。総力を挙げたファンの獲得活動を展開し、歴代最高入場者数を更新するなど経営面も好調。チームと運営会社を束ねる浦伸嘉社長と、今季限りで引退を表明したミスタードラゴンフライズこと朝山正悟選手に、それぞれの立場で取り組んできた組織づくりについて話を聞いた。
ーバランスの取れたコンビ浦 僕は経営者として中長期の視点で組織全体を俯瞰しており、朝山選手は短期的に現場を見てくれています。選手は1年1年が勝負なのに対して、経営者は将来を見据えた采配を振らなければなりません。彼とはそれぞれの立場でバランス良く組織づくりを進められているので、いいコンビなんじゃないかなと思っています。
朝山 浦さんは誰よりも我慢強いんですよね。僕もたくさん刺激を受け、学ばせてもらっていて、「すげえな」っていつも思っています。自分自身が現役プレーヤーとして決断しづらい部分を、社長として後押ししてもらったこともたくさんある。1歳下なので世代が近く、本当にいろんなことを腹を割って話させてもらっています。
浦 いろんな話をしながらやってきたからこそ成立しているんですけど、お互いを理解しないと前に進めない。もっと高みを目指して、志高くやろうぜっていうのは共通しているものの、ぶつかることはもちろんある。いつも僕がほぼ一方的に怒られるような感じになるんですけど(笑)
朝山 いやいや、そんなことはないですよ(笑)
浦 現状はチームも会社の業績も右肩上がりで来ている。彼がいたからこそできたことは多いと思いますし、クラブとしても個人としても、非常にありがたい出会いでした。
ー伝えるタイミングを見極める
朝山 僕はプロバスケットボールがあまり認知されていない時期に現役をスタートしたので、まずは自分やクラブのことを知ってもらうためにファンサービスを大事にしてきました。それが少しずつ、いろいろなところで注目されるようになって今があると思います。その中で大切なのはプレー以外の部分を知ってもらうこと。選手の人柄や経歴などが入り口になって興味を引き、試合に足を運んで応援してもらうケースもあると思うんですよ。
今度は各選手がそれを自覚し、自分なりの姿を見せたり、言葉にしてファンに幅広く伝えていく役割を担うことも重要になってくるんじゃないかなと。その時代の変化に対応しながら、自分なりに取り組んできたかなと思います。
浦 彼はそういったことを後輩に伝えるのがとてもうまいと思いますね。背中で見せることもそうだけど、言葉での伝え方も本当に勉強になります。
朝山 言葉で伝えるのはタイミングが難しいです。僕も若い頃にそうだったように、自分が受け入れられるタイミングじゃないと、何を言われても説教になってしまうんですよ。相手がしっかりと受け入れられる態勢になっているかどうかのタイミングを見極めることで、初めてアドバイスになる。
若い選手に伝えるときや、チームの状態がうまくいっていないときは、特に気を付けていますね。
浦 組織全体を束ねる上で、共通の目標設定が大切だと思うんです。まずは、2026年に再編される新リーグ(Bプレミア)への三つの参加基準(平均入場者数、年間売上高、アリーナの確保)をクリアすること。その次にチームとして日本一を取りに行く。その目標を達成するためには、ルールを決める必要があります。
同じ目標に向かっていくための共通認識を持って、それを全員でしっかりと守る。決まったルールは良し悪し関係なく、まずはみんなが遵守する文化をつくらないといけないと考えます。その上で良くないことがあれば全員の認識の下に変えればいい。ルールがあるからこそ、現状の進め方に課題が見つかり、話し合う場ができます。それによって、目標達成までのスピードが上がると思うんです。
朝山 僕ら選手は毎年「必ず優勝する」ことが一番の目標になります。キャリア20年の中で、優勝を目指さなかった年は一度もないし、他のチームもみんながそこを狙っていく。でも、その目標に届かなかったからといって、プロセスが全てダメにはならないと思うんですよ。それを一つずつ乗り越えて次に生かすことで、チームの経験として積み上がっていく。僕個人のマインドだけではなくて、チーム全体でそういう雰囲気にしていくべきだと思うんですよね。
浦 彼はリーダーシップというか、組織を引っ張っていく能力が高いと思います。例えば何か問題が起きたときには「まずこれをこうして、次はこれを変えて」というように反省して改善していく。その中で、今までやってきたことがダメだと判断したら、大きく方向性を変えることもためらわない。芯はブレてないんですけど、非常に柔軟性が高いんですよ。確たる信念を持っていて、それを貫くためのやり方は問わない。
「間違ったんで全然変えていきましょう」みたいなことを抵抗なく誰に対してもきちんと言えるタイプ。それってなかなかできないことだと思います。
浦 目標に「日本一」を挙げましたが、チームの年間成績だけではなく、クラブの評価、価値も「日本一」を目指しています。そのためには現場の選手たちだけではなく、チーム運営に関わる全てのスタッフが、自分自身の能力を高めていくことが必要です。それは僕も同じで、これから決断力を上げたり、正確な情報を収集したり、妥協せずにやっていきたい。
朝山 広島ドラゴンフライズという地方のクラブが日本一になるには、人々に愛されて、魅力のあるチームになる必要がある。それがチームの強さにつながっていくことが重要だと思うんですよね。選手たちは当然、目の前の試合を一つずつ勝っていくことで日本一を目指す。それは僕らにとって、日本一のクラブだと証明する方法の一つだと思っています。
クラブとしての本当の強さや魅力が上がることによって選手たちも、この広島ドラゴンフライズのユニホームを着るという意義を感じられるはずです。そういうチームを、他の選手たちにも目指してほしいなと思います。
プロフィール浦 伸嘉 1980年10月1日生まれ、広島市出身。市立美鈴が丘高校、大阪商業大学を卒業後、新潟アルビレックス(現:新潟アルビレックスBB)などで選手としてプレー。2007年に現役引退し、16年から現職。
プロフィール朝山 正悟 1981年6月1日生まれ、神奈川県出身。早稲田大学を卒業後、日立サンロッカーズ(現:サンロッカーズ渋谷)など5チームを経て2015年から広島ドラゴンフライズ所属。23年9月、今季限りの現役引退を表明した。
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