広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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特集記事― FEATURE ―

特集やピックアップ記事を紹介。

  • 2024年4月25日号
    激動のスーパー 生き残りの一手

    スーパー業界の再編が加速している。中四国地方の両雄、イズミ(東区)とフジ(南区)は同業との経営統合、M&Aなどで激しいシェア争いを繰り広げる。人口減少、原料や人件費の高騰、EC(通販)やドラッグストアの台頭など業界を取り巻く環境は厳しい。地場各社は地域密着、サプライチェーンの再構築、デジタル化などの観点で強みを磨き、選ばれる店づくりを進める。
    イズミ、M&Aを強化
     イズミは2030年度に22年度から43%増の営業収益1兆円(収益認識基準適用前)を掲げる。現在から100店超多い連結300店体制を計画し、人口増加が続く福岡市をはじめとした西日本エリア全体でM&Aや協業を強化。4月3日、西友(東京)が福岡など九州5県で展開する全69店を8月に取得すると発表した。1月には手薄だった大分市を中心に4店を運営するサンライフ(大分)の完全子会社化を発表。既存店のスクラップアンドビルドにも力を入れ、重点エリアの広島・熊本・福岡・山口で積極化する方針だ。

  • 2024年4月18日号
    〝広島発〟で水道事業を変革 DXで成長加速、積極採用へ

    自治体等から委託を受け、県内外の浄水場の運転・管理などを担う。人口減少、施設老朽化などを背景に業界が大きく変わる中、DX化など先駆けた独自提案で受託先を広げ、20 12年の設立以来、右肩上がりの成長を続ける。坂谷隆太社長に今後の展望などを聞いた。 -新たな受託先を増やしています。
     当社は日本初の民間主体による官民連携の水道事業会社で、水ing(東京)、広島県、呉市から出資を受けている。主な業務は、水道事業を営む自治体から請け負う浄水場の維持管理などだ。本年度から新たに北広島町の水道の総合管理(5年契約)を任せてもらい、事業拠点は県内で10カ所となった。
     県外は昨年度から日立製作所を代表とする共同企業体で、大津市(滋賀)の水道施設運転管理を受けている。本年度から当社が代表企業となり大半の業務を担う。

  • 2024年4月11日号
    ICCピッチコンテスト準優勝 30年までに放牧酪農実現へ

    サゴタニ牧場を経営する砂谷(佐伯区湯来町)の久保宏輔副社長は2月22日、福岡で開かれたピッチコンテスト「ICCサミット2024」に出場し、牧場づくりについてプレゼンテーション。フード&ドリンクアワードで準グランプリを、「想いへの共感」部門では一位を獲得した。昨年11月には、世界各地を回って農業を学ぶ「英ナフィールド国際農業奨学金制度」の日本代表として欧州での農業研修にも参加。放牧酪農を目指しており、さまざまなヒントを得たという。牧場づくりにかける思いを聞いた。 -地域住民とともに牧場をつくる
     1941年に佐伯区湯来町で創業した砂谷。約35㌶(マツダスタジアム七つ分)の牧場と、120頭の牛を保有する。牛乳の消費量減少と飼料価格の高騰により、酪農業界の経営環境は年々厳しくなっている。こうした状況の中、久保副社長は2016年に大手エンジニア会社を辞め、家業の酪農を継ぐ決意を固めた。以来、地域住民に牧場を開放し、食体験の場を提供する新たな取り組みを始めている。訪れた人たちが牛と触れ合える放牧酪農への思いを抱いており、30年の実現を目指している。

  • 2024年4月4日号
    ひろぎんHD 南区にキャリア共創センター

    ひろぎんホールディングス(部谷俊雄社長)は、南区西蟹屋1-1-18の広島銀行本店仮店舗跡地に「ひろぎんキャリア共創センター」を完成し3月25日、竣工式を開いた(参照:写真)。
     7階建て延べ約5500平方㍍で、1階にエントランス、駐車場、2階に大スクリーンを備える156人収容の大ホール、ラウンジ、3階に研修室4、4階に会議室7、応接室4、5階に研修室4、記者会見配信などが行えるスタジオルーム、6階に135人収容の多目的ルーム、7階に広島銀行総務人事部人材開発室と、ヒューマンリソース(約40人)執務室が入った。ひろぎんヒューマンリソースは3月11日に中区紙屋町のひろぎんHD本社ビルから移転した。
     屋上には太陽光パネル(25.5㌔㍗)を設けて創エネを行うほか、壁面や屋根にLow-E複層ガラス、厚みのある断熱材を採用。高効率空調機や全熱交換器、LED照明等の省エネ機器を導入。

  • 2024年3月28日号
    25年に発売へ、車両開発を加速 3.8億円調達、ENEOSと協業

    一人乗りの小型電気自動車(EV)を開発するスタートアップで、目標とする2025年の発売に向けて急ピッチで車体・事業開発、資金調達を進める。3月18日に石油元売り大手のENEOS(東京)と協業に関する覚書を結び、22日には3億8000万円の追加の資金調達を発表。今後の展望などを聞いた。 -開発中の車両の特徴は。
     センターポジションの1人乗りで、全幅がほぼ1㍍と軽自動車よりもはるかに小さい。小回りが利き、ワクワクする移動を実現できる。原付ミニカー規格のため車検が不要で、家庭用コンセントでの5時間の充電で100㌔を走る想定だ。25年1月の発売を目指している。
     2月に量産に向けた第1号の試作車両を公開。これで基本性能や安全性能など、量産仕様向けに評価を行う目標値を決める。ユーザーに実際に乗ってもらい、その声を開発に反映させる作業をこれから進める。
     昨年2月に募った事前の有料モニター登録では想定した200件を大きく上回り、5800件も登録してもらった。その方たちのうち、さらにエリアを絞った対象の人に限定し、3月末から先行受注も始める予定だ。

  • 2024年3月28日号
     県下プロスポーツチームから学ぶ「人材・組織づくり」【カープ&サンフレッチェ特集】

    広島のプロスポーツを応援 !! 『広島経済レポート』、今年の【カープ&サンフレッチェ特集】は、県下プロスポーツチームから学ぶ「人材・組織づくり」 をテーマにお届けします。野球やサッカーをはじめ、さまざまなプロチームを擁するスポーツ王国・広島。個々の能力向上や組織強化が欠かせない世界で、どのように選手のモチベーションを高め、チームの勝利に結び付けているのか。広島東洋カープで選手の査定を担当する井生崇光課長、サンフレッチェ広島の雨野裕介強化本部長 など、県下4チームの取り組みを聞きました。

  • 2024年3月21日号
    マツダ ゲーム開発エンジン活用

    マツダ(毛籠勝弘社長)はゲーム・アプリ開発プラットフォームで世界大手の米国ユニティ・テクノロジーズの日本法人(東京)と協力し、運転席回りの設備を直感的・視覚的に操作しやすくする仕組みを開発する。グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI=参照イメージ画像)と呼ばれる領域で、3月7日にパートナーシップ契約の締結を発表。ゲーム業界で使われる3D表現や開発エンジンの技術進歩は著しく、製造業に取り入れることで高度なシミュレーションが可能になる。〝ものづくりDX〟が急がれるなかで近年、注目されている。 ユニティはメルセデス・ベンツなどでも実績があり、車載オペレーティングシステムへの実装を含めてマツダのGUI開発を支援。デザインや設計をはじめ自動車開発に必要となる多様なデジタルツールと綿密に連携させて手戻りを減らし、試作前のシミュレーションなどを通じて作業効率を高める。

  • 2024年3月14日号
    広島県 カキ殻底質改善活用で実証試験

    広島県は2024年度から新たに、肥料や飼料向け加工量が減少するなど需要が低迷しているカキ殻の有効活用対策事業を行う。カキ養殖業者らが中心となってカキ殻を使った海の底質改善ができるよう実証試験に取り組み、海域へのカキ殻の投入方法などのガイドラインを策定する。昭和30年代から平成10(1998)年まで行われた海砂採取跡地も対象に、カキ殻投入による水深のかさ上げでの漁場環境改善の試験施工を計画。施工方法、調査手法、費用を検討する。 カキ殻による底質改善は、文献や実証試験を基に、粉砕方法や粉砕サイズ、乾燥、投入方法などをガイドラインとして策定。カキ養殖業者が中心となり、カキ筏いかだやカキ棚下などの海域への投入を見込む。海砂採取は1998年までに、許可分だけで約1.6億立方㍍が採取され、水深が10〜40㍍深くなっている。竹原沖の海砂採取跡地にカキ殻を投入してかさ上げし海藻の繁茂を促し、エサの増加、有機汚濁・貧酸素の克服など漁場環境の改善を見込む。

  • 2024年3月7日号
    中電プラント 社長直轄「DX推進プロジェクト」

    中電グループで発電設備の建設・メンテナンスなどを手掛ける中電プラント(南区出汐2-3-18、山田恭平社長)は2月1日付で、社長直轄の専任組織「DX推進プロジェクト」を設置した。デジタル技術による業務変革を推進していくとともに、〝お固い〟企業イメージから脱却し、新しい発想や価値が生まれるCX(企業の根本からの変革)を図る。  1953年創業で70年超の業歴があるが、これまで社外への情報発信が十分ではなかった。100年企業を見据えて社員の意識改革やリスキリングも進め、過去の慣習や既存業務にとらわれないさまざまな変化を受け入れる多様性、柔軟性を持った組織化を進める。同プロジェクトは4人体制で、最高デジタル責任者(CDO)に荒巻忠伸取締役が就いた。第1弾として、アイフォーンの業務利用を本格開始。工事写真管理ソフトを使い、スマホで撮影した画像を素早く分類、整理するほか、メールシステムを変更してスマホから確認できるようにした。今後はセキュリティーを強化する一方、チャット機能、基幹システムの改修を進め、スマートデバイスを利用して業務の効率化がさらに進む仕組みづくりを目指す。

  • 2024年2月29日号
    レモン年間1万㌧へ販路拡大に力 就農者への農園基盤整備が課題

    JA広島果実連の会長が2023年10月、19年ぶりに交代した。牧本祐一新会長に、今後のレモンの生産販売、他の県産果実の振興策、県産果実の生産の課題などを聞いた。
    ー就任の抱負をお聞きします。
    少子高齢化で果実の生産者が減少していますが、営農指導、販売企画・販路拡大を強化し、生産者所得を上げ、持続可能な農業に貢献したい。
    JAひろしまに6人(呉2人、芸南1人、三原3人)、JA福山市2人、JA尾道市3人、JA広島ゆたか2人と計13人の駐在専門員がおり、各JAの営農販売部長・課長たちと振興品目の選定のほか、防除などの営農指導、荒廃地の集約などに取り組んでおり、期待の大きさを感じています。
    ー本所が竹原市から移転しました。
    2022年12月に東広島市河内町入野のJA全農広島営農技術センターがある場所に移転。総務企画部、業務部、販売部があり…

  • 2024年2月22日号
    広島大学 EV対応のEMC試験場

    広島大学(越智光夫学長)は今夏、電気自動車(EV)のモーターとインバーターの電磁波に関するEMC試験を行うための高電圧対応電波暗室(EVチャンバー)を同大学デジタルものづくりイノベーション拠点(東広島市鏡山、3月末完成予定)に設置する。世界的にEV開発が進む中、マツダも2030年までに電動化技術の全車種搭載を掲げており、西日本で唯一の専用試験機関として部品メーカーの需要の高まりに対応する。
     一部2階建て延べ2031平方㍍の1階に363平方㍍の試験用スペースを確保。EMC試験はガソリン車でも電装品や車載器で実施されているが、EVには従来の車にはない高電圧部品があり、走行条件を再現しながら実施できる特別な設備が必要になる。新施設では実際に400〜800ボルトでモーターやインバーターを動かしながら、電磁波の負荷を掛けることで、誤作動や国際基準を超える電磁波発生の有無を調べる。

  • 2024年2月15日号
    クラフトマンシップ

    日本の製造業が岐路に立たされている。中国などの台頭を受け、お家芸といわれた液晶ディスプレーや半導体、家電などの世界シェアが低下。政府は半導体分野に狙いを定め、国内生産の強化に巨額の補助を決めた。
     広島の基幹産業「自動車業界」も世界的な環境規制の加速や電動化の荒波に巻き込まれる。全ての分野で人手不足を解消する省力化・自動化やDXへの対応を迫られており、メーカーだけでなく、部品などを供給する中小企業の変革が欠かせない。これまで日本のものづくりは基幹技術を磨き、時代に合わせて世界に名だたる製品を生み出してきた。いま再び、職人魂が問われている。
     ロータリーエンジン(RE)を電動化に応用したマツダ、手焼きの卵焼きを工業化し国内トップクラスに成長したあじかん、ゴム草履作りからバレーボール製造で世界一となったミカサの3社の事例から読み解く。