特集やピックアップ記事を紹介。
お好み焼「ちんちくりん」を運営するケーツーエス(安佐南区伴南、川上博章社長)は、本社内に海外でのお好み焼開業支援の専門部隊を立ち上げ、2025年以降に世界各地で活動を本格化する。初年度3店が目標。米国ダラスで初めて、現地企業へライセンス供与した店舗の同年1月開業に向けて総合的にサポートしているほか、14年から米ロサンゼルスで直営店を運営してきた実績を生かす。
ダラスの新店は店舗設計から焼き手の育成、メニュー開発、店舗の出店戦略などを支援。面積150平方㍍に60席。メニューはお好み焼、つけ麺、汁なし担々麺で、オリジナルの麺やソースも供給する。オープン前後には川上社長が現地に出向き研修を受け持つ。その後、3カ月に1度はロスの直営店のスタッフが指導。現地の食に合わせてスモーキーなお好み焼や、テキサスバーベキューを使ったメニューの開発にも取り組む。
呉市発祥のムロオシステムズ(東京、潘忠信社長)は原子力発電所の廃炉関連事業や、超高温原子炉燃料のTRISO技術を活用した次世代クリーンエネルギーの開発に乗り出す。9月、ドイツに本社を置く原子力エンジニアリング大手企業NUKEM(ニューケム)テクノロジーズ エンジニアリング サービスの主要資産を取得し、買収手続きを完了した。金額は非公表。来年に日本法人を設立し、福島県の浜通り地区にR&D(研究開発)センターを構える予定。経年化した原子力施設の解体・撤去や廃棄物の処理・処分、跡地の有効利用に必要な作業などを数十年かけて行う「廃止措置」を世界中で展開していく。
ニューケムは1960年に設立し、廃止措置技術などで世界的に高い評価を受けている。ドイツで最初の商業用原発の廃炉を成功させ、現在も5基の廃炉プロジェクトを抱える。カールシュタイン・アム・マインという地域にある同国初の原発の跡地に本社を構えており、その廃炉と原状復旧も手掛けた。
マツダ(毛籠勝弘社長)は「ブループリント」と銘打つ組織風土改革をこれまでの間接従業員に加え、本年度下期から生産現場などの直接従業員向けに順次実施する。従来のピラミッド型(組織の上位から現場に向かって広がる)意思決定プロセスを覆し、現場の社員が主役となる企業風土を醸成する取り組みで、昨年10月から1万2000人超の間接従業員がプログラムを受講。カーボンニュートラルなどで時代が大きく変わる中、人的資本経営で組織の隅々まで挑戦や共創を促していく。
自動車業界は100年に一度の変革期にあるとされ、コネクティッド・自動化・シェア・電動化の頭文字を取った「CASE」と呼ばれる技術革新などが求められている。とりわけ電気自動車分野では米国のテスラや中国のBYDといった新興メーカーが台頭したほか、ソニーなど異業種から参入を表明した例もある。こうした状況下でより競争力を高めるため、マツダは「人」が最も重要なリソースと定義。2022年11 月公表の経営方針では、30年までの生産性倍増を目標に掲げている。
ベンチャーの(合同)リモット(佐伯区五日市中央、香西俊吾代表)は、観光案内システム搭載の立ち乗り型電動三輪モビリティーサービスを全国の行楽地で本格展開する。広島トヨペットなどが大久野島(竹原市)やひろしまゲートパーク(中区基町)近辺で行っていた、同モビリティーの貸し出し事業を引き継ぐ。9月14日からの鳥取砂丘周辺を皮切りに、東京や神奈川、愛媛でも計画。現地の観光関連企業などと連携してエリアの回遊性を高め、消費を促す狙い。
リモットはトヨタ自動車から広島トヨペットに出向し、同事業を担当していた香西代表らが1月に設立。GPS内蔵の専用端末が音声などで観光スポットを案内するというサービスの骨子は変わらないが、トヨタ地域ディーラーの枠を外れたことで展開エリアや車両の選択肢が広がった。鳥取では走行安定性に優れたストリーモ(東京)製の電動三輪モビリティーを採用している。
6月27日の株主総会と取締役会で専務から昇格した。小出克己前社長からバトンを継ぎ、新たな成長戦略を打ち出す。その原動力となる〝空環創造マルチブランドカンパニー〟を掲げた。新たなマーケット開拓を中心に経営戦略を聞いた。
-マルチブランド戦略を掲げた狙いを教えてください。
自社工場で海外有数のブランドを複数、ライセンス生産する独自のビジネスモデルは同業他社にない強みだ。米ブランドベッド「サータ」は国内独占販売権を持ち、日本に合った規格で製造販売し50 年以上になる。仏ブランドソファ「リーン・ロゼ」は40年以上、独ブランドの布張りベッド「ルフ」は通算30年の実績がある。新たにベッドとインテリアのブランド導入に向け、現在、海外の提携先と交渉中だ。「ドリームベッド」やウオーターベッド「ウォーターワールド」の自社ブランドも含め、選んでもらえるラインナップを充実させ、訴求力を高める狙いだ。
精米プラントで世界トップメーカーのサタケ(東広島市西条西本町、松本和久社長)は、中食産業の拡大や海外和食ブームを受けて炊飯設備「SILK(シルク)」の販売を強化する。コンビニやスーパーの総菜を一括で作る食品工場などの業務用で業界唯一の加圧式IH方式を採用。2012年の発売から国内70ラインに導入し、現在の同業務用シェアは15%。30年までに50%に引き上げる計画だ。
シルクは電磁加熱で釜内を加圧し、米を対流させながら炊く。1・2気圧、106度で米の芯まで熱することで、時間の経過による風味の劣化や水分量低下、加熱のばらつきを抑制。IHはガス調理に味が劣るという通説を覆し、冷めてもおいしいご飯が炊けるという。
東友会理事長を兼任。増設した同社湯来工場などの状況や、マツダ、オンド、広島アルミニウム工業と共同出資で設立した「MHHOエレクトリック ドライブ」(南区小磯町)の動向などを聞いた。
-湯来工場増設の状況はどうですか。
2019年にマツダ向けの第7世代商品群の排気系部品生産のため、延べ4392平方㍍を増築。今回は沼田工場(安佐南区)から、少量・旧型のドアの生産設備や倉庫を移管するため、1235平方㍍を増設しました。湯来工場はマフラーなど排気系部品の工場でしたが、今回ドアの生産を始めました。沼田工場は、共同出資で設立した「MHHOエレクトリック ドライブ」向けの電動駆動ユニットの部品生産を行う拠点にします。
労働力の全体的な減少や東京への一極集中などを受け、県内の自治体は企業が副業人材を活用するための支援策を打ち出している。副業や兼業を認める事業者の増加を追い風に、大都市圏などで働く優秀な人材と県内企業のマッチングを図るほか、採用費を補助する例も。官民一体となった取り組みで経営課題を解決し、地域の産業振興を目指したいとする。
広島県は今年度、人材サービス業のみらいワークス(東京)と共同で二つの事業に取り組む。「大都市圏等プロフェッショナル人材と県内企業等マッチング業務」では9月25日に東京、11月13日に大阪でイベントを開催。企業プレゼン、個別相談などを通じて副業や転職を考える人材を誘致する。また「中山間地域外部人材活用支援業務」は広島市北部エリアや庄原市、江田島市など県内14市5町の中小企業を対象としたセミナーの企画・運営に加え、外部人材を実際に受け入れるためのサポートも行う。
自動車部品メーカーのヒロテック(佐伯区石内南5-2-1、鵜野徳文社長)は生産設備を製造する米国のヒロテックアメリカ(ミシガン州オーバーンヒルズ)を1万2000平方㍍増設し生産能力を増強した。ゼネラルモーターズ(GM)のピックアップトラックの生産設備を受注し、GMの米国内の工場に据え付ける。ヒロテックメキシコ(グアナファト州シラオ市)も1万2000平方㍍を増設し、ドイツのメーカーのメキシコ工場向けにボディ部品を生産する。ドイツのメーカー向けに車体部品を製造するヒロテックマニュファクチャリングドイツ(バイエルン州ガイゼルへーリング市)も同メーカーのミュンヘン近郊の工場向けに新たにトランクリッドの製造を予定。現在工場増設のために敷地を造成中で、早ければ2024年度中の着工、26年度の稼働を見込んでいる。
ヒロテックアメリカは、GMの北米工場で生産される全車種のドア生産設備を設計製作している。GMの主力商品であるピックアップトラックのモデルチェンジが今後数年にわたり計画され仕事量の増加が見込まれるため、23年に工場増設分を含め延べ3万5000平方㍍に増床し、ドアなどの組み立てラインの仮設スペースを拡大した。
県内の木材関連事業者は世界市況に影響を受けにくい国産材の安定供給体制の構築を進めている。ウッドショック(米国での需要拡大による木材の高騰)は落ち着いたものの、物流費の高止まりや円安が輸入材の相場を押し上げていることが背景にある。製材工場の新設や、日本の風土に合う国産材を活用した高付加価値ブランドづくりに取り組んだり、供給と価格の安定のために山林経営を強める動きもある。
国内製材最大手の中国木材(呉市)は秋田県能代市に全国6カ所目となる国産材製材工場を新設し、1月に稼働を始めた。製材・集成材工場や加工ラインを整備し、発電能力9990㌔㍗のバイオマス発電設備も設けた。建材メーカーのウッドワン(廿日市市)は子会社フォレストワン(同)の庄原市の製材工場を4月に稼働。
2025年に創立110年を迎える安田学園。幼稚園から小・中・高・大学・大学院を運営し、同年4月には大学内に理工学部を開設するなど、教育環境の充実を図る。また、地域社会との連携も重視。子育て環境に配慮した地域づくりや、地元企業、団体と教育を考える場を意識している。昨年11月に理事長に就いた安田馨理事長に学園の運営方針を聞いた。
-学園の方針を教えてください。
学園訓「柔しく剛く」が幼稚園から大学まで貫く基本理念となっています。その土台の基に時代の先進性を取り入れ、「伝統と革新」の両立を目指しています。
例えば安田学園では立ち居振る舞いを身に付けます。あいさつや礼儀は人間関係を気持ち良くする潤滑油。礼儀や伝統を大切にしながら、変化に先んじて対応する姿勢を保ちたい。
全国に46拠点を構え、ミャンマーなど海外にも事業を展開する西日本有数の総合建設コンサルタント。7月26日付で社長に就いた。社会資本整備や防災、まちづくりなど多様な領域に携わるが、今後はインフラ設備の維持管理や、脱炭素社会の実現など新たな領域への対応が不可欠という。力を入れる事業や抱負を聞いた。
-注力する事業・分野は。
総合建設コンサルタントであり、今後も全方位に対応していく。特に力を入れたいのが、橋や上下水道などのインフラ設備の維持管理だ。老朽化を背景に今後、一層重要になるだろう。まずはアセットマネジメントシステムの国際規格ISO55001の取得に向け準備を進めている。設計から調査、維持管理まで一貫して取り組めるのが強みで、それらを生かして増える需要の受け皿になりたい。