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ヨーグルトの製造開発一筋から一転し、7月24日付で前社長から経営のバトンを受けた。1886年に創業。国内でも先駆的なヨーグルトメーカーとして歩んだ同社は多角経営などから負債を抱え、ファンドの支援後、2011年に伊藤園グループの傘下に入った。初の生え抜き社長として、拡大路線へかじを切った成長戦略と事業展望を中心に聞いた。
-社内では、今まで通りの呼び名で通されています。
株主総会と取締役会を経て就任後も変わることなく、“久保さん”と名前で呼んでもらっている。役職によって壁をつくりたくない。社長室も気楽に出入りできるようにとドアを開け放し。伊藤園傘下になってから社内改革に着手し、財務体質を改善。プロパー社員のやる気と意欲を喚起する土壌を整えた。年功序列の慣習を改めて成果評価を導入。自らの可能性に希望と自信が持てる企業へと変革し始めている。
地場企業とスタートアップ企業をマッチングする大型イベント「TSUNAGU(ツナグ)広島」が11月19、20日に中区の広島グリーンアリーナで初めて開かれる。複数の事業者が組織の枠を超えて革新的な新製品・サービスを生む「オープンイノベーション」の機運を高める狙い。主催する、ひろぎんホールディングスの部谷俊雄社長と中国新聞社の山本慶一朗社主兼常務に、開催の背景、両社の新事業の取り組みなどを聞いた。
-このイベントを開くきっかけは。
山本社主(以下、山本)私から部谷社長に声を掛けさせてもらった。5~6年ほど前、ある経営者から広島銀行と組んでスタートアップ向けのコンテストを開いてほしいと言われたことがあり、それ以来何かしたいと考えていた。そして2020年に広島県や広島銀行が主催した、地場企業と全国のスタートアップを結び付けるプログラム「広島オープンアクセラレーター」に参加したことが大きなきっかけになった。
任意団体「プロダクション ウジナマニア」(内海祐一郎代表)は広島港のにぎわい創出を目指し、10月9日に県などでつくる広島港客船誘致・おもてなし委員会などと協働で実証実験イベント「広島港海のビア」を初めて開催した。宇品外貿埠頭に出入国管理や税関作業ができるクルーズターミナルが今春完成してインバウンド需要が高まる中、定期化することで地元利用を含めた誘客促進につなげる。
クルーズ客船「バイキングオリオン」が1泊2日で寄港したのに伴い、地域住民との交流を楽しんでもらおうと企画。防潮堤よりも海側で眺望の良い旅客ターミナルウッドデッキを会場に、ガーデンテーブルセットを約10組備え、アルコールや軽食を提供した。200人弱が来場し、通常はイベントが難しいエリアでの開催だったことからおおむね好評だったという。
マリモホールディングス(以下HD)は国内不動産事業を統括する「マリモ」と海外不動産事業を担う「マリモ グローバル リミテッド」に加え、非不動産事業の統括会社「マリモソーシャルソリューションズ」(以下MSS)を8月1日付で新設した。それぞれに統括会社を置くことで、よりスピーディーでフレキシブルな事業推進を図る。〝第三の創業〟と位置付ける大幅な組織改変について、HDの深川真社長に聞いた。
-第三の創業に込めた思いは。
1970年に父が設計会社を設立。90年に佐賀県で自社分譲マンション1棟目の販売を始め、これまでの開発実績は全国480棟3万996戸に上ります。設計会社として創業した時から続く〝ものづくり〟の精神を強みに、オフィスビルや商業ビル、ホテルなどさまざまな案件を手掛け、不動産総合デベロッパーへと成長。また、2030年をめどにビジネスとソーシャルビジネスの割合が50対50で共存する会社「ソーシャルビジネスカンパニー」を目指しています。
お好み焼「ちんちくりん」を運営するケーツーエス(安佐南区伴南、川上博章社長)は、本社内に海外でのお好み焼開業支援の専門部隊を立ち上げ、2025年以降に世界各地で活動を本格化する。初年度3店が目標。米国ダラスで初めて、現地企業へライセンス供与した店舗の同年1月開業に向けて総合的にサポートしているほか、14年から米ロサンゼルスで直営店を運営してきた実績を生かす。
ダラスの新店は店舗設計から焼き手の育成、メニュー開発、店舗の出店戦略などを支援。面積150平方㍍に60席。メニューはお好み焼、つけ麺、汁なし担々麺で、オリジナルの麺やソースも供給する。オープン前後には川上社長が現地に出向き研修を受け持つ。その後、3カ月に1度はロスの直営店のスタッフが指導。現地の食に合わせてスモーキーなお好み焼や、テキサスバーベキューを使ったメニューの開発にも取り組む。
呉市発祥のムロオシステムズ(東京、潘忠信社長)は原子力発電所の廃炉関連事業や、超高温原子炉燃料のTRISO技術を活用した次世代クリーンエネルギーの開発に乗り出す。9月、ドイツに本社を置く原子力エンジニアリング大手企業NUKEM(ニューケム)テクノロジーズ エンジニアリング サービスの主要資産を取得し、買収手続きを完了した。金額は非公表。来年に日本法人を設立し、福島県の浜通り地区にR&D(研究開発)センターを構える予定。経年化した原子力施設の解体・撤去や廃棄物の処理・処分、跡地の有効利用に必要な作業などを数十年かけて行う「廃止措置」を世界中で展開していく。
ニューケムは1960年に設立し、廃止措置技術などで世界的に高い評価を受けている。ドイツで最初の商業用原発の廃炉を成功させ、現在も5基の廃炉プロジェクトを抱える。カールシュタイン・アム・マインという地域にある同国初の原発の跡地に本社を構えており、その廃炉と原状復旧も手掛けた。
マツダ(毛籠勝弘社長)は「ブループリント」と銘打つ組織風土改革をこれまでの間接従業員に加え、本年度下期から生産現場などの直接従業員向けに順次実施する。従来のピラミッド型(組織の上位から現場に向かって広がる)意思決定プロセスを覆し、現場の社員が主役となる企業風土を醸成する取り組みで、昨年10月から1万2000人超の間接従業員がプログラムを受講。カーボンニュートラルなどで時代が大きく変わる中、人的資本経営で組織の隅々まで挑戦や共創を促していく。
自動車業界は100年に一度の変革期にあるとされ、コネクティッド・自動化・シェア・電動化の頭文字を取った「CASE」と呼ばれる技術革新などが求められている。とりわけ電気自動車分野では米国のテスラや中国のBYDといった新興メーカーが台頭したほか、ソニーなど異業種から参入を表明した例もある。こうした状況下でより競争力を高めるため、マツダは「人」が最も重要なリソースと定義。2022年11 月公表の経営方針では、30年までの生産性倍増を目標に掲げている。
ベンチャーの(合同)リモット(佐伯区五日市中央、香西俊吾代表)は、観光案内システム搭載の立ち乗り型電動三輪モビリティーサービスを全国の行楽地で本格展開する。広島トヨペットなどが大久野島(竹原市)やひろしまゲートパーク(中区基町)近辺で行っていた、同モビリティーの貸し出し事業を引き継ぐ。9月14日からの鳥取砂丘周辺を皮切りに、東京や神奈川、愛媛でも計画。現地の観光関連企業などと連携してエリアの回遊性を高め、消費を促す狙い。
リモットはトヨタ自動車から広島トヨペットに出向し、同事業を担当していた香西代表らが1月に設立。GPS内蔵の専用端末が音声などで観光スポットを案内するというサービスの骨子は変わらないが、トヨタ地域ディーラーの枠を外れたことで展開エリアや車両の選択肢が広がった。鳥取では走行安定性に優れたストリーモ(東京)製の電動三輪モビリティーを採用している。
6月27日の株主総会と取締役会で専務から昇格した。小出克己前社長からバトンを継ぎ、新たな成長戦略を打ち出す。その原動力となる〝空環創造マルチブランドカンパニー〟を掲げた。新たなマーケット開拓を中心に経営戦略を聞いた。
-マルチブランド戦略を掲げた狙いを教えてください。
自社工場で海外有数のブランドを複数、ライセンス生産する独自のビジネスモデルは同業他社にない強みだ。米ブランドベッド「サータ」は国内独占販売権を持ち、日本に合った規格で製造販売し50 年以上になる。仏ブランドソファ「リーン・ロゼ」は40年以上、独ブランドの布張りベッド「ルフ」は通算30年の実績がある。新たにベッドとインテリアのブランド導入に向け、現在、海外の提携先と交渉中だ。「ドリームベッド」やウオーターベッド「ウォーターワールド」の自社ブランドも含め、選んでもらえるラインナップを充実させ、訴求力を高める狙いだ。
精米プラントで世界トップメーカーのサタケ(東広島市西条西本町、松本和久社長)は、中食産業の拡大や海外和食ブームを受けて炊飯設備「SILK(シルク)」の販売を強化する。コンビニやスーパーの総菜を一括で作る食品工場などの業務用で業界唯一の加圧式IH方式を採用。2012年の発売から国内70ラインに導入し、現在の同業務用シェアは15%。30年までに50%に引き上げる計画だ。
シルクは電磁加熱で釜内を加圧し、米を対流させながら炊く。1・2気圧、106度で米の芯まで熱することで、時間の経過による風味の劣化や水分量低下、加熱のばらつきを抑制。IHはガス調理に味が劣るという通説を覆し、冷めてもおいしいご飯が炊けるという。
東友会理事長を兼任。増設した同社湯来工場などの状況や、マツダ、オンド、広島アルミニウム工業と共同出資で設立した「MHHOエレクトリック ドライブ」(南区小磯町)の動向などを聞いた。
-湯来工場増設の状況はどうですか。
2019年にマツダ向けの第7世代商品群の排気系部品生産のため、延べ4392平方㍍を増築。今回は沼田工場(安佐南区)から、少量・旧型のドアの生産設備や倉庫を移管するため、1235平方㍍を増設しました。湯来工場はマフラーなど排気系部品の工場でしたが、今回ドアの生産を始めました。沼田工場は、共同出資で設立した「MHHOエレクトリック ドライブ」向けの電動駆動ユニットの部品生産を行う拠点にします。
労働力の全体的な減少や東京への一極集中などを受け、県内の自治体は企業が副業人材を活用するための支援策を打ち出している。副業や兼業を認める事業者の増加を追い風に、大都市圏などで働く優秀な人材と県内企業のマッチングを図るほか、採用費を補助する例も。官民一体となった取り組みで経営課題を解決し、地域の産業振興を目指したいとする。
広島県は今年度、人材サービス業のみらいワークス(東京)と共同で二つの事業に取り組む。「大都市圏等プロフェッショナル人材と県内企業等マッチング業務」では9月25日に東京、11月13日に大阪でイベントを開催。企業プレゼン、個別相談などを通じて副業や転職を考える人材を誘致する。また「中山間地域外部人材活用支援業務」は広島市北部エリアや庄原市、江田島市など県内14市5町の中小企業を対象としたセミナーの企画・運営に加え、外部人材を実際に受け入れるためのサポートも行う。