広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
貝好きが集まるカウンター6席のすし店。注文を受けて殻を割るため鮮度は抜群。歯ごたえの良さや、種類ごとに異なる香りも楽しめる。春は年間を通じて種類が最も豊富な季節で、常時13種類ほどを扱う。
「仕込みの時に殻は割っておくのが通常。直前に割ると手間はかかるが、最高の状態で貝を楽しんでもらえる。貝専門を掲げる店でも、これだけの品数と鮮度を保つのは珍しいと思う」
流通量の少ないオオミゾ貝や北海道産の特大ホタテ貝「潤帆(じゅんほ)」などが旬を迎える。殻で流通しにくいトリ貝も5月から仕入れが始まる。ホタテは薄切りせずに提供するなど食べ応えにもこだわる。常連からは〝貝を食らう〟と評されるほどだ。
「まずその見た目の豪快さに驚かれることも多い。北海道や日本海側などの生産者を直接訪ね歩き、仕入れルートを開拓してきて今がある。首都圏を含めた県外からの常連客も多い」
4月から、午後3時以降は要望の多かったアルコールの提供を始めた。
ベーカリーショップのアロフト(呉市)が昨年11月にオープンした中華料理店。牛肉とピーマンの細切り炒め、小エビのチリソース煮、マーボー豆腐といった家庭的なAコース(5000円)や、気仙沼産フカヒレの姿煮、牛サーロインの四川唐辛子炒め、スモークダックなどのぜいたくなCコース(1万円)などを提供する。
「人気メニューは、しびれる辛さがやみつきになるマーボー豆腐。香り付けには本場・四川省産の唐辛子や山椒を、辛さはトウバンジャンを惜しみなく使うことで引き立てます。中には顔の汗が止まらなくなるお客さまも。辛党の方にはさらに激辛にもできますので、ぜひチャレンジしてほしい」
同所に以前あった呉四川飯店の常連客も訪れるという。好評の声がある一方、愛のある厳しい意見も耳にすることがあるとか。
「長年にわたり地元の方に支持されてきた同店の味に近づけるという方法もありますが、新たな味で愛される店を目指したい」
3月10日開業のスリランカカレー店。会社勤めの傍ら、2020年頃から宅配やイベント出店で本格カレーを提供していた代表が脱サラした。
「現地でHOTELは食堂という意味。昨年12月の退職後に渡航してスパイスや米などを仕入れたほか、店内の装飾品、食器も調達。スリランカの雰囲気を感じてもらえたら」
元々は南インド風カレーを作っていたが、数年前に福岡で食べたスリランカカレーにほれ込み、その店のノウハウを習った。パラパラとした米の周囲にココナツをベースにした複数の味のカレーや副菜が並ぶ。それらを好きに混ぜて食べるのがお勧めという。
「日本と同じ島国だからか、かつお節なども使われており見た目以上に食べやすい。中身やトッピングは定期的に変わるので、都度新しい味が楽しめます。いろんな混ぜ方を試してほしい」
4月からは夜の営業を開始。ドリンクは現地の定番ビール「ライオンラガー」や濃厚なミルクティー「キリテー」などをそろえる。
飲食店経営などの東洋観光(中区田中町)が1966年にひろしま国際ホテルで始め、現在は同区堀川町で営む和食店。3月24日、2店目をミナモアに開いた。
「仕切り付きの鍋ですき焼きとしゃぶしゃぶを同時に楽しめる『すきしゃぶ』の会席(夜6600円〜)などを提供。肉は黒毛和牛A5サーロイン、国産牛リブロースなど4種から選べる。長年つぎ足す甘めの割り下と、さっぱりとした特製ぽん酢は肉本来のうま味を引き立てる。既存店で人気の天ぷらなども用意。今後、瀬戸内の食材をふんだんに使う会席も始めたい」
茶室をイメージした和モダンな内装。ロールスクリーンで仕切り、ゆったりと過ごせる広めのテーブル席と、つなげると最大34人の宴会に対応できる個室を設けた。
「小イワシ、穴子といった広島らしいメニューや地酒も充実させた。真心を込めたおもてなしで海外、県外のお客さまに和食や瀬戸内の食の素晴らしさを伝えたい」
昨年8月開店の創作和食居酒屋。島根県出身の店長が、海鮮や牛肉など故郷の食材を使う一品料理と同県26蔵の日本酒(90ミリリットル600円〜)を中心に提供する。
「中でも日本海のモサエビの刺身(3尾900円)が人気。甘エビよりサイズが大きく、濃厚な甘みとうまみ、弾力ある食感に酒が進みます。私の地元、飯南町の赤名酒造の純米酒『絹の峰』と合わせるのがお薦め。フルーティーな冷酒が料理を引き立てます」
同町産の牛乳と地域ブランドサツマイモ「森の絹」を使うアイス(500円)も用意。イモ由来の自然な甘みと牛乳のコクでスイートポテトのような味わいが楽しめる。また、長時間座っても疲れないよう、カウンターにはリビング用のイスを設けた。
「自宅のようにゆったりと食事や自身の時間を楽しんでいただけます。常連さまで週に一度、読書するために訪れる方も。『ただいま』、『おかえり』と言い合える家族のような間柄を増やしていきたい」
広島電鉄の白島電停から至近の日本料理店。幻の高級魚とされる天然クエを中心に提供する。2008年の開業以来、価格以上の満足感が得られる店を評する「ミシュランビブグルマン」に2回認定された。
「『クエを食ったら他の魚は食えん』と言われるほどで、一番脂がのる冬から春先は特に絶品です。刺し身もおいしいですが、お薦めはクエ鍋(1人前7700円)。素材のうま味を最大限に味わってほしいので、つゆは昆布だしや日本酒で整えたシンプルな味付けに。熱を加えて、ギュッと引き締まってプリプリとしたクエの身は格別で、食材のうま味が凝縮したつゆで作る雑炊もたまりませんよ」
鍋料理に合う日本酒にもこだわる。黒龍酒造(福井県)の大吟醸「龍」(1合2420円)をはじめ、「しずく」や「八十八号」など数種の限定銘柄を通年でそろえている。
「食材の良さを引き出すメニューづくりに徹し、海外から訪れた人にも和食の良さを伝えたいですね」
昨年7月に開いた創作ビストロ。日本・フランス料理店で計10年間修行したシェフが両国の技法を生かし、東広島産鹿ロースとフォアグラを使ったロッシーニをメインに据えた季節のディナーコースなどを提供する。
「食卓になじみのない鹿ロースはくせや臭みがなく、ジビエが苦手な方でも食べやすいと好評。また、仕入れ野菜の3割を占める廿日市市産は風味の持ちが良く、炒める技法が多いフレンチとの相性が良い。味付けにも宮島蜂蜜や吉和のワサビを取り入れるなど、とことん地物にこだわっています」
夕食難民が現れるほど終日観光客でにぎわう宮島に比べ、対岸の宮島口は通過点に過ぎず滞在時間が短いという。ふらっと立ち寄った客にも満足してもらえるよう、瀬戸内産鮮魚のポワレなど40種類以上の単品メニューに加え、予約なしでも提供できるコースを用意する。
「旅や特別な日の思い出の一つとしてお客さまの記憶に残る、そんなビストロであり続けたいです」
「社会で活躍できる起業家の育成」がコンセプトのカフェ。会議や交流会などのほか、セミナー開催希望も随時受け付ける。3月26日午前10時からは、脂肪肝による健康への影響を伝える「肝活」やフェムケアをテーマにしたセミナーを開く。
「飲食店という場所を活用し〝人のつながり〟を生み出すことで、社会の問題をビジネスで解決しようとチャレンジする方々の発信の場を目指しています。さまざまな方の〝やってみたい〟を仲間づくりで後押ししたい」
ランチ時はカレーランチ(750円)や鶏の照り焼きランチ(820円)など約10種類を用意。自社農園で育てた野菜が食べ放題の「サラダバー」(390円)ほか、ご飯・みそ汁のお替わりが自由。毎月、来店客一人につき10円をスポーツチームや児童養護施設など地域の子ども支援団体に寄付する取り組みも行う。
「当店の取り組みに共感していただける方を対象に出資も募っています。こんなお店を一緒に育ててみませんか」
おでん酒場るつぼ(中区中町10―10)で中華メニューを担当し、2023年7月に姉妹店を開いた。
「広島や東京の中華料理店で修行し、特にチャーハンを作るのが好きだった。ラーメンやカレーなどのように専門店があれば面白いと思い、ずっとやりたかったのが実現した。1人でできる小規模な店も希望だった」
基本のチャーハンはパラパラしすぎず、しっとり目に仕上げる。塩、こしょう、しょう油といった定番の調味料だけを使ったすっきりした後味が特徴。焼き豚、牛バラキムチ、納豆などの具材でアクセントを加える。ラー油から手作りする麻婆あんかけは、だれもが食べやすいように辛さを控えめにしているという。
「メニューにバリエーションが欲しくて季節の食材を使った月替わりメニューを作ったら、月始めに毎回来店してくれる常連さんも。角煮と栗、鶏肉と白菜のゆずあんかけなど具材の組み合わせを考えるのは楽しい。お客さんにも飽きずに楽しんでもらいたい」
広島電鉄の鷹野橋電停近くのつけそば店「麺鮮醤油房 周月」2号店で、2023年2月にオープン。濃厚なタレに麺を絡めて食べる「油そば」をメインに提供する。
「麺の香りや味わいにこだわりたいと、鷹野橋店内に設けた製麺所で毎日仕込んでいます。主力のちぢれ太麺に加えて、中広店では特殊な切り刃を使って中心部にあえて芯を残した平打ち麺も用意しました。一層食べ応えがあると好評です」
しょうゆダレには熱処理をしていないしぼりたての生揚げしょうゆやホタテ油を配合。チャーシューやメンマなどの具材にもこだわり、いずれも国産品を使う。自家製ラー油で〝味変〟も楽しめるという。
「タレのベースを白湯(パイタン)スープに変えるなど差別化しており、鷹野橋店と食べ比べされるファンもいらっしゃいます。細部まで手を抜かないことで、唯一無二の一杯が生まれる。〝今日も麺がうまい〟を合言葉に、最高の味を追求し続けます」
旬の材料を生かした和食に加え、10種類程度を用意する釜めしが売り。1月17日、流川から南区上東雲町5―6に移転オープンした。
「入居していたビルの老朽化などを受けて決断。席数が増え、ゆったり過ごしてもらえるようになりました。前の店の特徴だった、かがまないと入れない低い間口と丸形の窓枠は、あえて新店でもテーブル席で再現しています」
ランチには2000円前後の釜めし定食のほか、4800円の「うにの釜めし定食」なども。夜は野菜、魚介、肉といった多様なメニューをそろえ、ドリンクの種類もビールから日本酒、ワインなど幅広い。コース料理は6500円から対応し、釜めしの中身によって8500円などのプランもある。
「繁華街から離れてしまいましたが、変わらず来てくれる常連さんもいてありがたい。近所の人と話していると、この辺りは酒を飲める店が少なかったという声も聞いています。新しいお客さまとの出会いに期待。飲まない方には駐車場2台分も備えています」
飲食やアパレル店長を経験した代表が、昨年11月に開いた創作和食店。午後9時までは彩り豊かな日替わりのおまかせコース(8800円)だけで、以降は一品メニューも扱う。
「北広島町の契約農家の野菜や垰下牛など県産を中心に、和食店に20年以上勤めた磯部正之大将が目利きした旬の新鮮な食材を使用。刺し身、焼き物といった定番に加え、和食の要素を採り入れた肉まん、手作りケーキなど創意工夫を凝らし、何度来ても新しい味に出合えます。約20種から料理に合わせて薦める日本酒も好評です」
接待や記念日のほか、女子会の利用も多い。価格以上の満足度を提供したいと、一人一人に合わせたきめ細かい接客を心掛ける。
「店名の通り、心に響く料理やおもてなしを心掛け、お客さまに〝口福(こうふく)〟を届けたい。末永く愛される店に育て、ゆくゆくは多店舗展開できればうれしい」
今後、数量限定のすしコースなども始めたいという。