広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム
シンコーが売上500億円突破 円安や舶用ポンプ需要増で順風
船舶用ポンプ製造のシンコー(南区大州、筒井幹治社長)は、2024年10月期の売上高が前年比46.8%増の508億円となり、初めて500億円を突破した。主力の舶用ポンプ、荷役装置のほか、陸上タービンなど全ての商品群で売上高が増加。また海外売上比率は83%で、円安も好業績に寄与した。今期も受注好調が続き、売上高565億円を計画する。
GA社が宇品に185戸の大型分譲マンション
分譲マンション「ソシオ」シリーズのGAパートナーズ(中区八丁堀、松岡裕仁社長)は12月、商業施設「イオンみゆき店」近くの南区宇品御幸1―87―1に同シリーズ最大となる総戸数185戸の「ソシオ宇品御幸」を着工した。2025年3月下旬に販売を始め、27年1月下旬に完成、2月下旬に入居開始を予定する。
人生安心サポートセンターきらり 26年夏完成、地域食堂備え高齢者や学生ら入居 舟入に多世代交流ビル
高齢者の後見人引き受けや資産管理などを行う(社)人生安心サポートセンターきらり(中区基町、橋口貴志理事長=司法書士法人ありがとう代表)は、中区舟入幸町9―19で7階建ての多世代交流施設「きらりビル(仮)」建設プロジェクトに乗り出す。2026年夏ごろの完成を予定。
マテリアルゲート 30〜32年の上場目指す 約3億円のNEDO補助金採択、新メモリ素材開発
広島大学発スタートアップのマテリアルゲート(東広島市鏡山、中野佑紀社長)は12月12日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援事業で補助金2億8000万円が採択され、コンピューターメモリ消費電力の約90%削減につながる「単分子誘電体メモリ」の実用化に向けた開発を加速する。環境負荷の低減に訴求力があり、2025年から薄膜コンデンサ(蓄電器)などの拡販に取り組み、30〜32年の上場を描く。
ドロップチップ 地図アプリ上に情報設置し人流促進 〝マップ型メディア〟の確立目指す
アプリ開発のドロップチップ(中区東平塚町、林聡社長)は来年1月15日、スマートフォンの地図上にさまざまな情報を融合できる体験型のプラットホームサービス「droptip」を全面刷新する。共有機能を強化し、例えばお気に入りの飲食店リストを地図上で友人に共有するなど、マップ版のSNSのような使い方を想定。法人・団体向けの第1弾で広島県中小企業家同友会東広島支部への導入が決まった。
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  • 常石造船がばら積み船を進水 世界初のメタノール二元燃料
  • 穴吹工務店ら3社 150戸超の大型マンション 福山駅近く来年1月着工
  • 人生安心サポートセンターきらり 舟入に多世代交流ビル 26年夏完成、地域食堂備え高齢者や学生ら入居
  • マテリアルゲート 30〜32年の上場目指す 約3億円のNEDO補助金採択、新メモリ素材開発
  • ダイヤ工具の呉英製作所 大阪営業所を開設
  • ドロップチップ 地図アプリ上に情報設置し人流促進 〝マップ型メディア〟の確立目指す
  • 広島ホームテレビ 自治体情報の発信サービス
  • ビーシーシー 書類電子化サービス
  • 広銀が三幸社の私募債 福山工高に寄贈
  • 広島県 アスパラでスマート農業実証試験 べジタリア、県立大など連携し栽培暦・ロボット活用
  • ひろぎんHD下期経営者アンケート カーボンニュートラル実施は3割
  • マツダ10月の世界販売 5カ月連続で増加
  • ダイヤ石油がFC加盟で開業 業務レンタカー三原糸崎店
  • 広銀がシーエルリンクに サステナブル融資1億円
  • 広島松下幸之助経営研 ヒロマツ会長が講演
  • 冠婚葬祭のユウベルグループ 〝ナシ婚〟層の掘り起こしへ 福山で他社とウエディングチーム
  • 東洋観光が出店 ジ・アウトレットに豚肉料理店
  • やまひろが発売 彩りの梅風味冷凍うどん
  • 銀山町にオープン バー「セレノカエロ」
  • 池田糖化工業が発売 鉄分配合の乳酸菌食品原料
  • 西條鶴醸造が純米原酒発売 女子大生デザインのラベル
  • 11月の県内倒産件数 前年と同じ12件
  • ケンシン財団が選定 県民文化奨励賞に2者
  • 中小企業経営革新計画 11月は6件を承認
  • 柏原工業私募債 もみじ銀と寄付
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トップ対談
KGモーターズ 楠 一成 社長 × キーレックス 藏田 亮祐 社長
                       

スタートアップのKGモーターズが、一人乗り小型モビリティーの量産工場「ミボット・コア・ファクトリー(MCF)」を東広島市西大沢に構えると発表した。重要パーツの一つであるボディー製造は、マツダ一次サプライヤーのキーレックスが協力。資本参加を含めてKGの事業計画にいち早く賛同し、両社の協業の下で来年秋の量産開始を見据える。設備搬入が始まる前の工場で、両社の社長に協業の経緯、今後の展望を語ってもらった。

【トップ対談】 KGモーターズ / 楠 一成 社長 キーレックス / 藏田 亮祐 社長 ―協業を依頼したきっかけは。 楠 藏田社長とはもともと同年代の知人関係にある。協業先を開拓する中で2022年2月頃、最初に提案を持ちかけた。
 これまでに試作やコンセプト発表はできても、量産の壁を越えられないEVベンチャーをたくさん見てきた。特に難易度が高いのがボディーで、そもそもモノコックボディー(ボディーと骨格の一体設計)に対応できる企業が限られる。この壁を越えるためにも、最初の最も重要な提案だった。 ―提案を聞いた感想は。 藏田 赴任先のタイから帰国して間もない頃で、24年の創業100周年に向けて次の事業を模索していた。楠社長の人柄は知っており、素直に「協力したい」と思った。
 振り返ると、当社は1992年発売のAZ-1(軽自動車初のガルウイング装備)の生産を手掛けた経験がある。部品メーカーの当社が完成車を仕上げた最初で最後の出来事だ。あの経験を当社の誇りのように感じ、完成車を造りたいと考えている社員がいまだに一定数いる。ただし当社が完成車で事業を成立させることに現実的には難しさを感じていたため、KGからの提案にチャンスが来たとも感じた。
 スタートアップとの協業は初めて。社内に楠社長のことを知らない人もいたので、慎重に進めないといけないところもあった。 ―協業の決め手は何でしたか。 藏田 楠社長との関係性をベースに、外部投資家のKGへの評価を聞き、メディアへの多くの露出などを見て判断した。最終的には、これまで存在しなかった製品に対する期待感が決め手になった。一人乗りの小型モビリティーという新たな選択肢を消費者に提供できる価値は大きい。 ―モビリティー開発のスタートアップが広島で事業を行う意義は。 楠 広島でないと、間違いなくここまで来られなかった。自動車産業の基盤があるだけではなく、行政や地元企業の協力が得られたのは大きい。広島に製造拠点を構えることは、今後を含めても当社の強みになり得ると思っている。 ―工場をこの場所に決めた理由は。 楠 県内で広く探したが、見つからなくて途方に暮れていた。あっても金額に合わなかった。そんな中、東広島市の方が協力的に動いてくれてこの場所の紹介を受けた。実際に工場を見て即決した。 ―ミボットの予約受注が1000台を突破しました。手応えは。 楠 当初は8月末の予約開始から4カ月ほどで1000台の達成を想定していた。わずか1カ月での達成は大きな成果だ。
藏田 大手自動車メーカーのような宣伝をほぼしない中での、この反響には正直驚いた。
楠 うれしい半面、緊張感も高まっている。今はきちんとした品質の製品を届けるために、発売までのマイルストン(中間目的地)を確実に刻むことに集中している。

―量産へのスケジュールは。 楠 来年秋の量産開始に向け、試作を繰り返している。これまでの仮設計を基にした車両から、量産性や組み立てのしやすさなどを考慮した最終形態に近づける。12月末に詳細な仕様を含めた次の試作車を発表予定だ。これを世に示し、より多くの期待を集めたい。
 工場には来年3~4月頃から本格的に設備の搬入が始まる。
藏田 社内にプロジェクトチームをつくり、他の業務と兼務する形で20人ほどが携わっている。車体の設計開発をキーレックス・ワイテック・インターナショナルが支援し、当社は量産するアッセンブリーラインの設計を進めている。
 量産開始後は当社でプレス・溶接した部品をMCFに運び、この工場の一画に当社が入る形でボディーのアッセンブリーを担う。 ―生産体制を順次拡張予定です。 楠 初年度の300台を皮切りに、次年度に3000台、さらに1万台の生産を目指す。広い敷地を生かし、ストックヤードの拡張や生産ラインの増設などで、最終的にはこの場所で年間10万台規模の生産に対応できる試算だ。
藏田 当社の既存工場の生産台数を考えると、1万台でもかなり少ない。ミニマムでの生産を実現しようとすると、いろいろな工夫が必要になる。設計段階から一緒に車体を開発させてもらえるので、そういったアイデアを落とし込める環境はありがたい。
 量産当初は手作業中心から始める。台数が増えるにつれて段階的に機械化を進める。これにより当初の設備投資を最小限に抑えつつ、効率化を図っていく。

―スタートアップとの協業で感じた難しさは。 藏田 一番はスピード感だ。量産に向けたスケジュールが通常の自動車開発の半分ほどで進んでいる。社内からは「無理じゃないか」といった声もあったが、なんとか対応している。このスタートアップ特有のスピード感のある決断と行動力に引っ張られている部分もあり、良い刺激になっている。 ―キーレックスに期待することは。 楠 今後は、特に信頼性を担保する部分で力を貸してもらいたい。今の予約段階はまだお客さんが乗っていない状況。つまりミボットへの期待感だけで予約をしてくれている。いざ乗ってみてその期待感と全く違ったり、すぐに壊れたりしたら、世の中に広げるのは難しくなる。培ってこられた技術力に信頼を寄せており、この協業を非常に心強く思っている。
藏田 楠社長の言う通りで、ボディーの品質は乗っている人の安全や命に関わる。そこを担う責任は重い。しかし、この領域こそが当社が長年培ってきた技術・ノウハウを発揮できる部分であり、しっかりと貢献したい。
楠 これまでの小型モビリティーは「小さいから安全性の確保は無理」という思想で造られたものが多い。当社は「小型でも安全」という新たな価値提供にチャレンジしようとしている。 ―資金調達の計画は。 楠 来年2月頃に新たな資金調達を予定している。これは量産化に向けた今後の山場となる。調達目標は大きいが、これが達成できれば、次のフェーズへ進むための強固な基盤を築けると考えている ―今回の協業を通じて、お互いにどんな未来を描いていますか。 藏田 自動車の上流工程に踏み込める貴重な経験をさせてもらっている。スタートアップとの協業で、社内に新しい風も吹いている。社会に新しい価値を提供する製品を一緒に作り上げたい。
楠 今後も無茶を言うかもしれないが(笑)、一緒に挑戦し続けたい。

プロフィル

キーレックス / 藏田 亮祐 社長 1983年10月30日生まれ、広島市出身。2009年に入社。タイの合弁会社の社長、副社長を経て、23年6月から現職。 KGモーターズ / 楠 一成 社長 1982年4月25日生まれ、呉市出身。2018年からユーチューブチャンネルで動画配信を開始。22年にKGモーターズ設立。

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話題のお店を取材!
ダイニングバー大起 / 竹間 大介 代表

今年5月に開店した、和・洋創作料理の居酒屋。翌午前5時まで営業する。和風の店構えにカウンター席中心の落ち着ける店内には、会社が応援する若手ゴルファーの写真が壁面に並ぶ。
「ディナータイムはお酒と楽しむ料理を提供し、午後11時からはバータイムで軽食を用意。2、3次会のほか飲食店の勤め帰りの方に、深夜でも手仕込みの料理が食べられると好評です」
 洋食と和食出身の2人が、サーモンのじゃがいもパリパリ巻き、ホタテの塩辛アンチョビ風など、季節の食材を使ってメニューを考案する。
「前日までに予約すれば希望の食材を使った料理もお作りします。味の好みなども気軽に伝えてください」
 週替わりのおすすめ日本酒は料理に合う辛口が中心。洋食に合わせてワイン、ウイスキーも数銘柄をそろえる。
「お客さまに喜ばれる店づくりを目指し、深夜まで料理を出せるよう時間交替制を採用した。勤務条件の改善は人手不足解消につながる。若い世代にアピールして料理人を育てていきたい」

INFORMATION
  • ◆住所:中区新天地1-3広島第3ビル新館1階
  • ◆電話:082-909-9777
  • ◆平均予算:3000〜4000円
  • ◆座席数:カウンター8席、個室(喫煙可)6席
  • ◆営業時間:午後5時〜翌午前5時
  • ◆定休日:水曜
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経営者が語るスポーツ「愛」
ネクストギア / 竹内 一起 代表

中区銀山町でキックボクシングジムを運営している。関西出身だが、前職で広島に転勤して以来、サンフレを応援。9月に開業してすぐにPRサポートショップに登録し、ポスターなどを飾っている。
 広島で初めて居を構えたのが広域公園近くのAシティで、普段から選手の姿を見かけるなどサッカーが身近だった。当時はボランティアなどの地域活動に参加するたびにチケットをもらえたので、妻や子どもを連れて頻繁に観戦。新スタジアムでも声援を送っている。
 サンフレ一筋で、今年引退した青山選手が好きだ。日本代表の試合を終え、チームの合宿に合流する青山選手と新幹線で同じ車両になったことがあり、気さくに話していただいたことで一層ファンになった。
 近年は出場機会が少なかったが、青山選手がベンチにいるだけで一気に士気が上がり、選手の動きや雰囲気が変わるのを感じた。劣勢でも決して諦めず最後の1分まで声を上げ続ける姿勢には頭が下がる。試合に負けてうつむく選手に「次がある」と声を掛けていた姿も印象的だ。自身はピッチに立てずとも、選手の痛みや苦しみを自分事として捉え、同じ立場で戦っている気持ちを持っているのだろう。私の本業であるトレーナーのあるべき姿を学んだ気がする。
 今年は残念ながらシャーレを掲げることはかなわなかったが、来年はコーチとしてチームを優勝へ導いてくれると期待している。

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記者が注目する話題|こぼれ話
世の役に立つ

元日の能登半島地震に緊張感が走った。師走を迎え、韓国ユン(伊)大統領の非常戒厳宣言に続く大混乱や、シリアのアサド政権崩壊のニュースにも驚かされた。2025年早々、米国のトランプ大統領が待ち構えている。世界、日本にどんなニュースが飛び出してくるだろうか。
 スポーツ界は大谷翔平選手をはじめ、明るいニュースがあった。カープの大失速で、3位に浮上した横浜ベイスターズが何と日本一を制覇。三浦監督が感動で顔をゆがめたテレビ中継に見入った。話題はがらりと移るが、22年にディー・エヌ・エー(東京)グループに入り、7月に社長交代したデータホライゾン(西区)の内海良夫会長(77)に話を聞いた。IT事業に懸ける情熱は冷めやらず、生涯を貫く命題なのだろう。
「改めて本丸のデータヘルス関連事業をてこ入れすることが私のなすべき仕事と肚をくくっている。管轄の厚生労働省の担当者らをはじめ国の機関に働き掛けていく」
 と決意をにじます。
 1972年に広島大学理学部を卒業後、コンピューターの可能性に賭け、起業。82年設立したワイエス企画を現社名に変更した2000年以降は医療分野へ専念していく。健康寿命の延伸と医療費の適正化を使命と定め、医療情報データ分析・活用を武器に、アウトカムを重視したデータヘルスケア関連事業に全力を注いだ。8年後、東証マザーズ上場を果たす。 
 全国に先駆け、数百万円の医療費がかかると言われる透析治療の患者数を減らした呉市の取り組みに示唆を受け、PDCAに沿った効率的、効果的な保健指導に着眼したビジネスモデルを確立。国策として全国自治体へ広がっていった。
「1年後に1割が透析に至る腎不全(4期)患者を優先的に指導することが、データヘルスの原点で重要なポイント。だが、近年は指導の成果が見えにくい早期腎症期(1・2期)の指導に偏っており原点に戻したい。運動や食事、生活習慣は看護師や保健師、管理栄養士が指導する領域で、医療分野ではないが、医師からの勧奨が不可欠。医師会との連携協力を深めていく」
 本来は、保険者に診療報酬を請求するためのレセプト。傷病名や診療行為、服薬などさまざまな医療情報を目的に応じて整理・分析。メンテナンス体制を整えてきた。20年以上をかけデータベースとして蓄積しながら「宝の山(ビッグデータ)」へと変貌させた価値は大きい。現在、主力の市町村国保向けデータヘルス計画作成支援業務は500件以上に及ぶ。その着眼点が、事業化するための専門的な知見と実行力を持った当時の広島大学の森山美知子教授と呉市の中本克州副市長との出会いを引き寄せた。 
 全ての人に関わる健康。レセプトデータ活用のパイオニアと、プロ野球球団も持つゲームなどを開発するエンターテインメントの強みが化学反応を起こし、さらに元気で長生きできる人生の応援団へ、もうひと踏ん張りしてもらいたい。もう一つ。新たな命題が見えてきたのか、個人で農業参入を構想しており、北海道に広大な耕作地を手当し、新しい種まきを計画する。
「現状の自給率を考えると、これからは農業だと思う。世の中に貢献しない会社はやがて淘汰される。社会貢献こそが会社存続の最大の武器」
 着眼し、自ら動く。創業精神はなお健在だ。

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