広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2022年8月25日号
チャンスを逃すな

2025年に大阪万博が開かれる。その場所は後にカジノやホテル、劇場や国際会議場、展示場やショッピングモールなどを備えたIR(統合型リゾート)になる。このため、多島美とともに多くの都が点在する西瀬戸は世界につながる、と切り出す。
 広島総合卸センターは「組合街づくり事業」として、
「広島湾に位置する商工センター地区は、周辺の市町に短時間でつながる交通網や西瀬戸の島々につながる草津港があり、その港には周辺の産品が集まる広島中央卸売市場がある。今後MICE関連施設や中小企業会館の建て替えなどの新たな機能とともに、広島の西の玄関口として再生することができれば、西瀬戸共生圏の生業や産品が集まり循環する新たな広島のSDGs(持続可能な開発目標)の拠点になる」
 日本有数の流通団地を擁する西区の商工センター地区を西の玄関口として、大胆な構想を描く。
 団地中心部にある「広島市中小企業会館・総合展示館」と「広島サンプラザ」の両施設は老朽化が進み、にぎわい施設を備えた中央市場の建て替え計画も控える。団地をリノベーションする絶好のチャンスを逃す手はない。
 中央部には東西方向に広島南道路が走り、その道路は海沿いの広島高速3号線や広島呉道路とつながる。中山間の北方向はバイパスを介して山陽自動車道、中国縦貫自動車道につながる。JRと路面電車の乗降場となっている新井口駅(将来はコンコースを共有する橋上駅とする)から約15分で広島駅に着く。草津港は今後、漁港+観光港として一般の海上交通が入港できるようになれば、おだやかな瀬戸の海を楽しみながら都心や宮島などの島々に行くことができる。
 タイミングも周辺環境も申し分なく、何より地元が前向きで、ここは行政の出番。大規模な展示場や国際会議場の建設などは市に要望するほかないが、本来の目的である卸機能の拡充をはじめ、ユニークな提案も盛り込む。
 その一つ。「アクティビティセンター」では広域都市圏の行政関係、民間事業者、まちづくり団体などが西の玄関口街づくりや新たな連携事業を考え、流通・消費拠点としてヒト、モノ、カネ、情報が循環するローカル経済の醸成を目指す。このほか、MICE関連施設に隣接する第5公園とアクティビティセンターに隣接する第6公園、新井口駅と草津港をつなぐ歩行者専用ルート(ペデストリアンデッキ)や西部周遊緑地をファーマーズマーケットなどのローカルイベントに活用できる公共空間とするなど。
 来訪者の動線と物流などの業務動線を階層分けする歩行者専用ルート(ペデ)を新井口駅から草津港の間に設け、そのルートにつながる西部周遊緑地などに来訪者が街を回遊するパーソナルモビリティルート(自転車やキックボードなどのルート)を設ける。
 MICE施設のバスターミナルやアルパーク、レクトなど集客拠点施設をつなぐ循環型交通(バス)を設けて新井口駅と草津港の間の歩行者の移動を容易にし、将来は自動運転する循環型バス、鉄道、船、地区内情報がシームレスにつながるスマートモビリティの実現を目指す。次号へ。

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