中小企業団体全国大会が11月12日、中区基町の県立総合体育館で開かれる。全国に約3万組合を擁し、当日は各地から約2000人が参加する予定だ。今回で第77回を重ねる。広島で開く全国大会は65年ぶり、2回目。
団体中央会の全国組織と広島県中小企業団体中央会(伊藤学人会長)の共催。全国の意見をとりまとめ、国や関係方面へ表明し、併せて組合活動の功労者を表彰。同体育館B1で物産展も催す。
大会を終了後、リーガロイヤルホテルに会場を移し、約1000人が参加する「交流会」を開く。元総理の岸田文雄衆議院議員の来賓挨拶も予定。かつてない大規模な交流会を計画する。伊藤会長は、
「全国各地からさまざまな業種の人が大勢集まる、せっかくの機会を逃す手はない。顔を合わせて話すうち新しい角度、接点を発見し、思いがけないビジネスチャンスをつかんでもらいたいと考えた。むろん広島を好きになり、全国各地に広島の良さを宣伝してもらいたい」
参加者は約30分ごとに席を移動し、名刺交換や対話の機会を促す。日常を離れて出会った人、その地での出来事は印象に残りやすい。今後は広島方式の交流会が定着し、商取引のマッチングや人脈づくりの場へと全国に広がっていくきっかけになれば、その効果は大きい。
県中小企業団体中央会は12月に創立70年を迎える。会員組織で運営。経済団体としてはやや地味な存在だが、事業協同組合を中心に商店街振興組合や企業組合など会員は547組合に上る。組合に加入している企業を合計すると約3万200社になる。団体中央会の主な業務は、個々の事業者が団結、集団化することにより経済的、社会的な地位向上を図ろうとする中小企業の組織化(組合設立)を指導するほか、設立後も各組合の円滑な運営などを後押ししている。
いまはナンバーワン、オンリーワンが評価されるようになり、時代の流れが個へと振れている。革新的な技術、ビジネスモデルで短期間のうちに急成長を目指すスタートアップが脚光を集める。中小企業が助け合う組合の在り方を見直し、団体中央会も新たな運営活動が求められている。
1990年の905組合をピークに減り続け、35年間で358組合が去った勘定になる。しかし全国ネットワークを擁する団体中央会の情報力、異業種のノウハウなどにデジタル技術がかみ合うと、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性も秘めている。ひとつ奮起してもらいたい。
歴代会長の在任期間が比較的長期に及んでいることも、ひとつの特徴といえよう。初代の長尾次郎さん13年、2代目の筒井留三さん16年、3代目の内海得治郎さんは6年だったが、4代目の伊藤学さんは体調を崩して辞任された2003年5月まで13年に及ぶ。5代目の白井隆康さんは5年、6代目の櫻井親さんは4年、7代目の伊藤学人さんは12年に就任以来、今年で13年になる。遺伝子のせいか親子共に会長職を担う。
伊藤さんは広島で開催された全国大会の世話役を多く経験してきた。広島青年会議所時代は全国大会懇親会担当委員長、全国法人会総連合の青年部会連絡会議実行委員長、国内最大級の全国菓子大博覧会は大会事務局長をこなし、大成功へ導いた。全国大会での出会いを縁に、いまも交流を続ける人は多いという。