広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2025年11月20日号
広島を引っ張る

とうとうガラスの天井を破った。日本で初めて、女性の総理大臣に就いた高市早苗さんの支持率が高い。いきなり外交に大奮闘し連日、ニュースや各局の報道番組で話題をさらう。隣りの国からX(旧ツイッター)に物騒な投稿があったという。しかし言うべきは言う。考え抜き、言ってはならないことは言わない。そこら辺りの加減が暫く、周囲をはらはらさせそうだ。何しろ近い国につわもの3人がそろう。
 広島県知事選は11月9日の投開票で前副知事の横田美香さん(54)が初当選。中国地方初の女性知事が県政を引っ張る。呉市出身。東京大学法学部卒。1995年農林水産省に入り富山県副知事、内閣官房内閣審議官などを経て2025年4月に副知事。新しい風に期待したい。
 広島経済界は6年ぶりにリーダーが交代した。11月4日にあった広島商工会議所の議員総会で、広島ガスの松藤研介会長を新会頭に選任。就任会見で「前例にとらわれることなく、常に新しい挑戦を続けた池田前会頭の広島活性化に向けた熱い思いを大切に継承していきたい」と意欲をにじます。副会頭は、ひろぎんHDの部谷俊雄社長、中国電力の皆本恭介副社長、オタフクHDの佐々木直義社長、福屋の大下洋嗣社長、マツダの菖蒲田清孝会長(再)。専務理事に西本尚士事務局長が昇格。女性初の正副会頭は、まだ先になりそう。
 広島の県政と経済界リーダーが時を同じくし新旧交代。互いに言うべきことは言う。そうした意見交換を通じて広島を元気にする原動力へつなげてもらいたい。
 松藤会頭は1959年11月27日生まれで南区出身。83年に関西大学経済学部を卒業し広島ガスに入る。秘書部長や取締役常務執行役員エネルギー事業部長などを経て2017年に社長、24年から現職。家族旅行やスキューバーダイビング、カメラなどの趣味がある行動派。社長就任時の本誌インタビューで、
「地域社会から信頼される会社を目指す。受け次がれてきた経営理念を踏襲していくことが使命だと考えている」
 と実直である。
 広島ガス出身の会頭は山内敕靖さん、深山英樹さんに続き松藤さんが3人目。戦後80年。歴代の会頭出身企業(社名・肩書は就任時)を順に並べると、
①中国電力(鈴川貫一社長)
②広島機帆船運送(中村藤太郎社長)
③広島銀行(伊藤豊副頭取)
④フジタ(藤田定市社長)
⑤中国醸造(白井市郎社長)
⑥広島総合銀行(森本亨社長)
⑦広島電鉄(伊藤信之社長)
⑧マツダ(河村郷四専務)
⑨中国新聞社(山本正房社長)
⑩中電工(村田可朗社長)
⑪広島銀行(山田克彦副頭取)
⑫広島ガス(山内敕靖社長)
⑬中電工(中野重美会長)
⑭マツダ(山崎芳樹相談役)
⑮広島銀行(橋口収頭取)
⑯中電工(池内浩一会長)
⑰広島銀行(宇田誠会長)
⑱広島電鉄(大田哲哉社長)
⑲広島ガス(深山英樹会長)
⑳広島銀行(池田晃治会長)
 松藤会頭は歴代21人目になり、広島銀行や公益性の高い企業のトップがずらりと名を連ねる。
 会頭は中国地方商工会議所連合会会頭、県商工会議所連合会会頭や日本商工会議所副会頭も兼務。物価高対応、中小企業向け伴走型支援などを優先課題に挙げる。27年完成へ建設中の中区基町の高層ビルへの移転を控える。持ち前の行動力に期待したい。

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