広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
5月10日に新天地から銀山町に移転オープンした。コの字型にカウンター席が囲むオープンキッチンから瀬戸内海の魚介料理を中心に和食、洋食を幅広く提供する。店で仕込む自家製がんす(850円)は肉厚で食べ応えがあり、思わず酒が進むという。
「料理は全て手作りで提供。肉や魚が一番おいしい状態になるよう下処理など手間暇をかけています。サバのフライをバンズで挟むカツバーガー(950円)は、フレンチなどで使う洋風ソースに和食の調味料を加えた個性あふれる味付けの一品。女性でも食べやすいサイズにしています」
アルコールは味の濃淡や辛口、甘口など客の要望に添えるようビールのほか、日本酒20種、焼酎15種、ナチュラルワイン15種程度を常備する。コース料理(6600円〜)も用意。
「三つの個室では接待のほか、24人までの宴会にも対応します。店名はデレデレが由来の造語。酒や料理だけでなく、調理過程や空間も見て楽しみ、デレデレと酔いしれてほしい」
広島の地酒や地物料理を中心に提供。今年2月で25年目を迎えた。清酒(650円〜)は定番約20種、季節限定15〜20種を常備。旬の食材を生かし、酒に合う献立を用意する。
「これから9月頃まで県産ハモ(1200円〜)が一押しです。定番の湯引き梅肉しょうゆ添えのほか、サクサクの衣も楽しめるカツの山椒添え、ハモと大ぶりのなめこの新しい食感が楽しめるアヒージョを用意しています」
そのほか、泉州水なすとトマトのカプレーゼ(800円)は自家製カッテージチーズ、バジルソースとみずみずしい野菜の相性が抜群という。また食事を気兼ねなく楽しんでもらうため、サービスにも気を配る。
「店の規模に対して余力がある7〜8人のスタッフを毎日配置。人件費はかかりますが、お客さまを待たせない工夫です。また配膳順、言葉遣い、笑顔といった接客の基礎もしっかりと指導。大切な接待でも安心して使えるよう努めています。いつ誰と来ても間違いない店として楽しんでほしい」
店主の病気のため、昨年に閉店したお好み焼き店「YU―SUN(ユーサン)」の経営を引き継ぎ、1月に屋号を変えてオープンした。
「優しく職人かたぎな前店主の人柄にほれ、20代の頃から通っていた大好きな店を守りたい一心で、20数年勤めた運送会社を退職。知人が営むお好み焼き店の冨士山(西区)とゆりちゃん(安佐南区)でイロハを学んだ。キャベツの甘みを引き出す切り方など、2店の良いところを採り入れている」
看板メニューはユーサンでも人気だった「お好み焼きグラタン」(1300円)。グラタンをイメージし、肉玉うどんにホワイトソースなどを入れる。今春からサルサソースをかけるメキシカンな肉玉そばも始めた。砂ズリとニンニクの芽、みそホルモンなど鉄板焼きもそろえ、夜は酒を楽しみながらゆっくり過ごす客が多い。
「活気にあふれ、ふらっと気軽に入れる店が理想。富山や鹿児島からのリピーターもおり、今後もできる限り毎日営業してファンをつくりたい」
茶懐石の様式を取り入れた日本料理を提供する。5月5日、中区新天地から移転オープンした。面積を3倍ほどに拡張し、細長いエントランスを抜けた先にカウンター4席と2人・6人用の個室を設けた。
「個室が増えたことで、祝い事や接待にも利用してもらいやすくなった」
岡山と京都の日本料理店で修業し、2017年に独立。野菜は京都の農家から直接仕入れるなど食材選びにこだわり、味付けは薄味で質素に仕上げる。茶釜を据え、締めは抹茶と和菓子を楽しんでもらう。出張で茶事への料理提供に応じる。自身も京都で茶道の手習いを始め、今も稽古を続ける。
「とにかく真面目に、こつこつと。京都での修行時に厳しく教わった。料理だけでなく、掃除や人付き合いを含めて、今もその教えを信条にしている」
市内では珍しく、ハラル(イスラム教徒向け)、ビーガン(完全菜食主義者)に対応し定期的に来店がある。対応できる店が限られるため、インバウンド向けの情報発信に力を入れる。
4月に15周年を迎えた完全会員制のバーで、家と職場を結ぶ「居心地の良い第三の場所」がコンセプト。店内には三つのスペースがあり、ゆったり飲めるバーカウンターではビールやカクテルに加え、スコッチを中心に70種類以上のウイスキーを取りそろえ、女性スタッフがもてなす。掘りごたつ風のソファ席がある流川最大級のルーフトップテラス(最大30人収容)では予約制でBBQなども用意。世界の有名ゴルフコースを100カ所以上備えたシミュレーションゴルフを楽しめるスペースもある。
「扉の解錠に顔認証システムを導入するなど、設備やおもてなしで特別な空間づくりに努めています。会員さまは経営者や上場企業の支店長などが大半。お一人さまから、気の合う仲間同士などといった団体利用まで、特別な夜を演出します」
常連が多く通うという系列店の「UNICO」は5月20日の21周年にあたり、19〜22日に周年イベントを開催する。
貝好きが集まるカウンター6席のすし店。注文を受けて殻を割るため鮮度は抜群。歯ごたえの良さや、種類ごとに異なる香りも楽しめる。春は年間を通じて種類が最も豊富な季節で、常時13種類ほどを扱う。
「仕込みの時に殻は割っておくのが通常。直前に割ると手間はかかるが、最高の状態で貝を楽しんでもらえる。貝専門を掲げる店でも、これだけの品数と鮮度を保つのは珍しいと思う」
流通量の少ないオオミゾ貝や北海道産の特大ホタテ貝「潤帆(じゅんほ)」などが旬を迎える。殻で流通しにくいトリ貝も5月から仕入れが始まる。ホタテは薄切りせずに提供するなど食べ応えにもこだわる。常連からは〝貝を食らう〟と評されるほどだ。
「まずその見た目の豪快さに驚かれることも多い。北海道や日本海側などの生産者を直接訪ね歩き、仕入れルートを開拓してきて今がある。首都圏を含めた県外からの常連客も多い」
4月から、午後3時以降は要望の多かったアルコールの提供を始めた。
ベーカリーショップのアロフト(呉市)が昨年11月にオープンした中華料理店。牛肉とピーマンの細切り炒め、小エビのチリソース煮、マーボー豆腐といった家庭的なAコース(5000円)や、気仙沼産フカヒレの姿煮、牛サーロインの四川唐辛子炒め、スモークダックなどのぜいたくなCコース(1万円)などを提供する。
「人気メニューは、しびれる辛さがやみつきになるマーボー豆腐。香り付けには本場・四川省産の唐辛子や山椒を、辛さはトウバンジャンを惜しみなく使うことで引き立てます。中には顔の汗が止まらなくなるお客さまも。辛党の方にはさらに激辛にもできますので、ぜひチャレンジしてほしい」
同所に以前あった呉四川飯店の常連客も訪れるという。好評の声がある一方、愛のある厳しい意見も耳にすることがあるとか。
「長年にわたり地元の方に支持されてきた同店の味に近づけるという方法もありますが、新たな味で愛される店を目指したい」
3月10日開業のスリランカカレー店。会社勤めの傍ら、2020年頃から宅配やイベント出店で本格カレーを提供していた代表が脱サラした。
「現地でHOTELは食堂という意味。昨年12月の退職後に渡航してスパイスや米などを仕入れたほか、店内の装飾品、食器も調達。スリランカの雰囲気を感じてもらえたら」
元々は南インド風カレーを作っていたが、数年前に福岡で食べたスリランカカレーにほれ込み、その店のノウハウを習った。パラパラとした米の周囲にココナツをベースにした複数の味のカレーや副菜が並ぶ。それらを好きに混ぜて食べるのがお勧めという。
「日本と同じ島国だからか、かつお節なども使われており見た目以上に食べやすい。中身やトッピングは定期的に変わるので、都度新しい味が楽しめます。いろんな混ぜ方を試してほしい」
4月からは夜の営業を開始。ドリンクは現地の定番ビール「ライオンラガー」や濃厚なミルクティー「キリテー」などをそろえる。
飲食店経営などの東洋観光(中区田中町)が1966年にひろしま国際ホテルで始め、現在は同区堀川町で営む和食店。3月24日、2店目をミナモアに開いた。
「仕切り付きの鍋ですき焼きとしゃぶしゃぶを同時に楽しめる『すきしゃぶ』の会席(夜6600円〜)などを提供。肉は黒毛和牛A5サーロイン、国産牛リブロースなど4種から選べる。長年つぎ足す甘めの割り下と、さっぱりとした特製ぽん酢は肉本来のうま味を引き立てる。既存店で人気の天ぷらなども用意。今後、瀬戸内の食材をふんだんに使う会席も始めたい」
茶室をイメージした和モダンな内装。ロールスクリーンで仕切り、ゆったりと過ごせる広めのテーブル席と、つなげると最大34人の宴会に対応できる個室を設けた。
「小イワシ、穴子といった広島らしいメニューや地酒も充実させた。真心を込めたおもてなしで海外、県外のお客さまに和食や瀬戸内の食の素晴らしさを伝えたい」
昨年8月開店の創作和食居酒屋。島根県出身の店長が、海鮮や牛肉など故郷の食材を使う一品料理と同県26蔵の日本酒(90ミリリットル600円〜)を中心に提供する。
「中でも日本海のモサエビの刺身(3尾900円)が人気。甘エビよりサイズが大きく、濃厚な甘みとうまみ、弾力ある食感に酒が進みます。私の地元、飯南町の赤名酒造の純米酒『絹の峰』と合わせるのがお薦め。フルーティーな冷酒が料理を引き立てます」
同町産の牛乳と地域ブランドサツマイモ「森の絹」を使うアイス(500円)も用意。イモ由来の自然な甘みと牛乳のコクでスイートポテトのような味わいが楽しめる。また、長時間座っても疲れないよう、カウンターにはリビング用のイスを設けた。
「自宅のようにゆったりと食事や自身の時間を楽しんでいただけます。常連さまで週に一度、読書するために訪れる方も。『ただいま』、『おかえり』と言い合える家族のような間柄を増やしていきたい」
広島電鉄の白島電停から至近の日本料理店。幻の高級魚とされる天然クエを中心に提供する。2008年の開業以来、価格以上の満足感が得られる店を評する「ミシュランビブグルマン」に2回認定された。
「『クエを食ったら他の魚は食えん』と言われるほどで、一番脂がのる冬から春先は特に絶品です。刺し身もおいしいですが、お薦めはクエ鍋(1人前7700円)。素材のうま味を最大限に味わってほしいので、つゆは昆布だしや日本酒で整えたシンプルな味付けに。熱を加えて、ギュッと引き締まってプリプリとしたクエの身は格別で、食材のうま味が凝縮したつゆで作る雑炊もたまりませんよ」
鍋料理に合う日本酒にもこだわる。黒龍酒造(福井県)の大吟醸「龍」(1合2420円)をはじめ、「しずく」や「八十八号」など数種の限定銘柄を通年でそろえている。
「食材の良さを引き出すメニューづくりに徹し、海外から訪れた人にも和食の良さを伝えたいですね」
昨年7月に開いた創作ビストロ。日本・フランス料理店で計10年間修行したシェフが両国の技法を生かし、東広島産鹿ロースとフォアグラを使ったロッシーニをメインに据えた季節のディナーコースなどを提供する。
「食卓になじみのない鹿ロースはくせや臭みがなく、ジビエが苦手な方でも食べやすいと好評。また、仕入れ野菜の3割を占める廿日市市産は風味の持ちが良く、炒める技法が多いフレンチとの相性が良い。味付けにも宮島蜂蜜や吉和のワサビを取り入れるなど、とことん地物にこだわっています」
夕食難民が現れるほど終日観光客でにぎわう宮島に比べ、対岸の宮島口は通過点に過ぎず滞在時間が短いという。ふらっと立ち寄った客にも満足してもらえるよう、瀬戸内産鮮魚のポワレなど40種類以上の単品メニューに加え、予約なしでも提供できるコースを用意する。
「旅や特別な日の思い出の一つとしてお客さまの記憶に残る、そんなビストロであり続けたいです」