広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2020年4月9日号
そのときに備える

いつ終息するのか、誰も答えられない。今年に入り、あっという間に企業経営を取り巻く人、物、金のありようがいっぺんした。3月ごろから地元の金融機関に融資申し込みが殺到しているという。これまでは借り手を探すのにひと苦労だったが、一晩明けると融資案件を山ほど抱え、大わらわ。若手行員には初めての出来事だけにこれから先、取引先の関係をどう築くか、その転機にもなりそうだ。
 工場の一時休止に踏み切ったマツダの取引先企業は、
「原則、県外からの来訪者はお断り。いまは新型コロナウイルスの感染者を出さないという対策に集中している。社員の雇用を守るため、やむなく派遣社員やアルバイトの契約を解除。目先の急場をしのぐほかないが、いつか注文が戻ってくるまで怠りなく準備を整えている」
 あおりを受け、人材派遣会社では派遣先の開拓に汗を流す。つい先ごろまで多くの企業が人手不足できゅうきゅうとしていたのが、まるで嘘のようである。
 広島経済の現況や見通しについて、ひろぎん経済研究所の水谷泰之理事長は、
「経済への懸念すべき事項やそのレベルは日々変化している。いまや世界の経済停滞が明らかになり、市場も大きく混乱。国内消費の減退も明らかで、多くの事業者の資金繰りに大きな支障が生じ、パート従業員などの生活基盤が揺らいでいる。
 県内経済に大きな影響力を持つマツダが、国内工場の生産一時休止に踏み切った。その経過は、1月に中国が新型コロナウイルス感染で大変な状況になりサプライチェーンに問題が発生するため部品供給に懸念が生じ、2月になると社員の感染防止対策に追われる状況になった。
 その頃国内ではインバウンド観光客の急減も加わり、国内消費の不振が現実味を帯びてきた。海外、特にアジア諸国への出張が事実上不可能になり、企業活動全般に大きな支障が及んだ。
 3月になると全世界的な自動車の販売不振といった未曾有の要因が重なった。同社にとって工場の一時休止は苦渋に満ちた判断だったのではなかろうか。
 現時点で世界経済にどれだけの影響があったのかさえも把握されていない。まして今後どのようなダメージを受けるのかを予測するのは困難。いつのときもそうだが、そのときに入手できる情報の限りで、ベストの意思決定をするしかない。これから先を見通すのは難しいが、これまでの経過や現状を冷静に見て合理的に判断することが大事ではないだろうか。やがては今回の事態の対応や危機管理意識などからテレワークの浸透やサプライチェーンの分散化などの、新たな経済発展につながる動きも出てくるに違いない。いまを踏ん張り、そのときに備えたい」(3月31日)
 新春号の本欄で、2020年の注目ポイントの一番に東京五輪、そして米国大統領選挙、第5世代移動通信システムを挙げ、穏やかな成長が続くという同研究所の経済予測を載せた。まさかである。東京五輪は1年延期になり、米国大統領選挙も混迷を深めている。わが国、わが社だけでは成り立たないという現実にぶつかり、世界はどのように対応していくだろうか。

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