広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2022年4月21日号
ユニコーン呼び込む

昭和と令和を比較すると、江戸時代から明治に移った時よりはるかに大きな変貌を遂げたという話を、広島県庁の職員さんから聞いたことがある。近年、ビジネス界では神話に登場する伝説の生き物になぞらえたユニコーン企業が世界を席巻。創業からわずか10年のうちに企業価値1000億円以上の大企業へ急成長を遂げた神話的な話を聞くと納得するほかない。
 だが、ユニコーン企業は米国539社、中国174社、インド64社に上り、対して日本は10社という調査報告(3月)がある。残念ながら広島県内には存在しない。これをみすみす看過できないと湯崎英彦知事が発奮。今後10年間で発行済み株式総額10億ドル(約1000億円)以上への急成長が期待できる非上場企業10社をつくる目標の「ひろしまユニコーン10」プロジェクトを打ち出した。
 一体何を、どう支援するのか。2022年度当初予算に総額約100億円を計上。企業の成長段階に合わせて10個の支援メニューを並べる。中区の交流拠点キャンプスやクラウド上でビジネスマッチングなどが可能なイノベーション・エコシステムサイト構築、実証フィールド、創業前後や急成長期のアシスト、先駆的に推進するデジタル変革、資金獲得、環境・エネルギー/カーボンリサイクル、健康・医療関連分野への進出、海外ビジネス展開、県への企業移転(本社機能移転で最大1億円)などを後押しする。決して予算は少なくない。
 インターネットが人と人のつながりに革命を起こし、ユニコーンを呼び寄せた。日本は大きく立ち後れるが、ようやく政府は今年、スタートアップ創出元年と位置付け27年までに100社を目論む。広島県商工労働局の川野真澄総括官は、
「ユニコーン創出を目指すことで挑戦しやすい環境、挑戦が当たり前の土壌・文化が生まれる。ユニコーンの存在が地方で企業や人材の集積を生み、新たな挑戦の着火剤となる。プロジェクトへの参画や問合せが多数届いている。広島が日本をけん引する気概を持ってイノベーション・エコシステムを育んでいきたい」
 中国地域ニュービジネス協議会(中国NBC)と広島県情報産業協会は3月、経団連の南場智子副会長(DeNA創業者で同社会長)を講師に経営者セミナー「日本経済再興のために必要なこと〜人材の流動化とスタートアップの重要性」を開いた。発奮した経営者も少なくなかったのではなかろうか。中国NBCの内海良夫会長(データホライゾン社長)は、
「スタートアップに必要な条件は三つ。一番に〝志〟だ。これをなくして全てが成り立たない。それから資金援助と経営の原理原則。米国にはエンジェル投資家やMBA(経営学修士)の仕組み、再起のチャンスなどが与えられており、企業を育てる環境や風土がある。日本のビジネス環境は程遠いが、今からでもすぐできることがある。志のある人、世界の荒波に乗り出す勇気を持った人にチャンスを与え、応援する風土をつくる。自分でもやれると、心を突き動かされるような環境を整えることが大切ではないか」
 啐啄(そったく)同時。小さな船もまた大きな海がなければ世界へこぎ出すことができない。

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