広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2023年2月2日号
空海と宮島弥山

宮島に5月の薫風が吹き渡る頃、朱の回廊を歩くG7首脳の姿を写した映像が一斉に世界へ配信されることになりそうだ。折しもいま、マルチな才能を発揮し数々の偉業が伝わる空海の生誕1250年記念事業が宮島を中心に各地で繰り広げられている。
 真言宗開祖の空海と宮島弥山の関わりは深い。遣唐使として唐に渡り、その後弥山で修行。806年に開基した宮島最古の寺院、真言宗御室派の大本山大聖院(総本山は仁和寺)の吉田正裕座主は、
「私たちは空海の語った言葉を次代へ伝えていますが、生きておられたらいま、どんな言葉を発し、どんな行いをされるだろうか。改めてその教えを深くかみしめている」
 2019年、過去最多の来島者465万人超を記録した宮島はコロナ禍で一転し、閑散とした。昨年ようやく283万人に回復し、晩秋には大鳥居の修復工事も完成。空海生誕記念事業は宮島観光協会などでつくる実行委員会(椋田昌夫委員長=広島電鉄社長)が主催し昨年5月、弥山頂上付近の不消霊火堂で式典を開く。その後に山伏修験体験会、花火、能を楽しむ会、書展などを次々開催。来年3月末まで続け、宮島に人を呼び込む起爆剤にしたいと目論む。フォトコンテストや空海クイズラリーを継続しながら今年は灯籠流しや、VRも活用して御室派総本山の仁和寺と大聖院のつながりなどをテーマに紹介するシンポジウムを3月と9月に開く。5月27日には弥山で空海を法要する柴灯護摩供(さいとうごまく)を久しぶりに一般公開する。
「まずは興味を持っていただく。そして膝を突き合わせ語り合う。実父の先代座主は観光、信仰、健康の〝三こう〟に努めよと言い続けていた。1998年度広島青年会議所(JC)理事長に就いて人づくりやまちづくりなどの考え方、実体験をさせてもらったことが大いに刺激になった。岸田首相とは広島JC時代の同期で、その頃から応援している。信仰に親しみ、即身成仏の空海の教えを分かりやすく伝える。そのために五感を刺激してもらえるよう境内を整備。テーマパークのようだと言われることもあるが、時代に合った大聖院を模索し、いまを生きる人に求められる場所としたい」
 記念イベントに先立ち、ロゴマークや、平和記念公園の「ともしびの火」のもと火になっている霊火堂の「消えずの火」の灯火台と大香炉の創作を地域に求めた。ロゴは基町高校の2年生だった伊藤さんによる。1200年を継ぐ消えずの火は空海が護摩修行した際の残り火を絶やさず守り続ける。広島のものづくりに貢献したいと考え、有志が集まってスタートした〝ものづくりの火プロジェクト〟でマツダが灯火台の製作と全体のデザイン、お墓の日光が大香炉、創業者が宮島出身のマルニ木工が香炉台を担当。2017年からマツダと市立大学芸術学部との共創ゼミで学ぶ学生も参加する。
 苦難を乗り越え、人々の幸せを願った空海は庶民のための学校(綜芸種知院)を初めてつくったという。
「何よりも教育が大切だということを理解していたのでしょう。人を育てることは家庭や学校、会社、社会全ての基本。時代が変わり、どのように信仰を語り、子どもに教えるのか戸惑いがあるように思える。日々、相手に対する思いやりと感謝の心を持つことが何より大切」
 空海の教えという。

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