広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2023年2月16日号
広島にドローン教習所

いつの間にか飛んできて爆発が起きる。AP通信などはウクライナ・ロシア戦争で自爆型ドローン(小型無人航空機)が軍事拠点に突撃する映像を流し、世界をあっと驚かせた。テクノロジーがどのように使われるのか。常に危うさもはらんでいるが、日本ではドローンの有効活用をめぐり、さまざまな取り組みが始まっている。
 昨年12月にドローン操縦の国家資格制度がスタート。同年6月に義務化された機体登録と併せて、所有者の把握と危険な機体の排除、安全でモラルある運航などを徹底させる狙いだ。国家資格の試験方法は自動車免許と似た仕組みで、各地に開設予定の教習所(無人航空機操縦者 技能証明登録講習機関)の修了者には実地試験が免除される。4月をめどに県内で初めて日本無人航空機免許センター(JULC、東京都千代田区)の広島教習所を開設するヒトライト(hitolight、西区小河内町)社長の浦中彩子さん(37)は、
「個人利用だけでなく企業でも、いまだコンプライアンス(法令順守)の意識が十分に浸透していない。飛行可能な空域などが厳格に決まっており、それらを守らずに墜落させて人身事故を起こせば大ごとになる。一等ライセンスの取得者は、これまで禁止されていた他人の上空でも飛ばせるため、一人一人の倫理観がさらに重要になる。子どもたちは飛行機を見て喜ぶが、ドローンを目にして怖がる社会にしてはいけない」
 2008年に北九州市立大学法学部を卒業し、フォトスタジオに入社。6年後に転職した建設コンサル会社では、カメラマンの経験を生かして現場のドローン航空撮影に携わる。機体製造で世界トップのDJI(中国)のキャンプ(講習)マスターの下で「DJIキャンプ インストラクター」資格を取得。社内のドローン運用ルール策定や操縦者育成を7年間経験し、国土交通省のテックフォース(緊急災害対策派遣隊)職員など計約200人への指導実績がある。安全意識を広めるためにパイロット育成事業で独立を決め、今年1月6日に会社設立した。
「ドローンと出会って夢中になり夢を追いかけてきた。DJIキャンプマスターの本山哲男さんや中村佳晴さんから勇気をもらい、踏み出すことができた。ドローン運用方法の考案に迷っていたときには他のマスターを交えて相談に乗ってくれ、自信が足りなかった私を後押ししてくれた。人脈も広がり何物にも代えがたい財産となっている」
 JULC広島教習所の正式開講に先立ち、1月から「ドローンパイロットスクール広島」の名称でDJIキャンプや独自講座などを始めた。企業向けのコンサルティングも手掛け、ドローンを事業に活用する方法や社内の機運醸成、運用ルールと社内規約の策定などをアドバイスする。写真測量技術や画像処理、データ解析などの個別トレーニングも用意。初年度の受講生120人、5年後に年間300人を目指す。
 国土交通省の検討会はトラック運転手など物流の担い手不足解消を目指し、ドローンによる荷物配送ガイドラインを2021年度に策定。他人の上空を飛ばせる国家資格の創設を受けて22年度に改定した。離島や山間部では既に日本郵便やヤマト運輸が荷物配送の実証実験を行っている。空の平和利用に寄せる期待は大きい。

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