広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2023年6月29日号
心を揺さぶる

平和は、強制できるものではない。それは理解することでしか到達することができないものだアインシュタインは広島へ原爆投下のニュースに深い衝撃を受けたという。
 体験から学び、歴史に触れて何を考え、どう思ったか。心を揺さぶる言葉がある。ひろしま平和記念資料館を訪れた各国首脳、著名人、ノーベル賞受賞者、世界の人々が残した「平和メッセージ」の記念碑をつくり、復興した広島の街を望む場所に設置して世界、後世へ伝えていく計画が進められている。
 5月に開かれたG7広島サミットで初めて、各国の首脳がそろって原爆資料館を視察し、それぞれ芳名録にメッセージを記帳した。広島市とロータリークラブ(RC)が協力して、そのメッセージを日本語と英語で記念碑に刻み、広島を訪問したときの様子を捉えた写真も添え、南区の比治山公園に置く予定という。
 碑は市内各所にある高さ145㌢、幅71㌢の原爆被災説明板と同じ形を想定。比治山公園「平和の丘」基本計画に基づき、近く完成する新たな展望施設などを候補地に、11月ごろを目途に10基近くを据えることにしている。 広島、山口県の72RCでつくる「国際ロータリー第2710地区」(井内康輝ガバナー)が企画した。碑の制作費を募り、完成後に市へ寄贈。市は碑の基礎工事を担う。これからメッセージ選考作業に入り、最終的に市が決める。
 外務省によると、G7首脳が記帳した内容は、
 岸田総理大臣 歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う。
 マクロン仏大統領 感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。
 バイデン米大統領 この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!
 トルドー加首相 多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。
 ショルツ独首相 この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。
 メローニ伊首相 本日、少し立ち止まり祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして希望に満ちた未来を共に描きましょう。
 スナク英首相 シェイクスピアは「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。
 欧州理事会議長、欧州委員会委員長を合わせて9人。執筆者や翻訳者の同意が必要で時間を要することも想定されるが、碑は永く残る。

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