広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2026年3月5日号
移住者を呼び込む

 広島県の人口減少に歯止めがかからない。何と5年連続で人口転出超過が全国最多になった。打つ手はないのか。県は本年度予算で若者の減少対策に98億円を投じたが、一朝一夕で成果は出ない。なぜ若者が広島を飛び出し、広島に戻ってこないのか。県外から人が移ってこないのか。
 少し都会的な風情があり、田舎の趣もある。瀬戸内の温暖な気候、二つの世界遺産、豊富な山海の幸、盛んなプロスポーツ、世界に展開する企業群など、多くの人を引きつける魅力がそろう。
 土木建設の新川(東広島市安芸津町)専務の新川隼人さん(43)は、自治体任せにしない民間主体のまちづくりに取り組み、成果をあげる。2021年から安芸津町への移住者支援を始め、これまでに家族連れやカップルなど5組12人の移住を実現させた。
「関東の人から良い町なのに若い人が何も活動していないと指摘された。ショックを受け、わがふるさと安芸津の魅力は何か、1人でも多く伝えたいと思い、できることから始めた。移住者との交流は何より楽しく、さらにモチベーションを高めてくれる」
 建設業の傍ら21年に新事業としてコワーキングスペースを開設。生け花教室など地域活動の場を提供し、自らまちづくりのワークショップも毎月開く。23年には地域で事業を営む人を紹介するポータルサイト「あきつとあしたに、」を開設。併せて移住希望者をネット上でスカウトできるサイトに登録し、直接的な提案活動も始めた。
 昨年3月、埼玉県から子ども2人を含む家族4人で移住した福島悟史さんは、
「広島や山口県で移住先を探すうち新川さんからメッセージをもらった。第一候補地を訪ねるついでに立ち寄ったが良い面だけではなく、課題も率直に伝えてくれているのがよく分かった。行政の担当者より地域の当事者として言葉に説得力があり、熱量と行動力に感銘。信頼できると感じ移住を決めた」
 自然体で相談に応じ、移住者側の視点に思いを寄せる。移住者の人数を増やすだけが目的ではない。新たな挑戦を生み出してくれる現役世代を増やすことに主眼を置く。
「それぞれ移住者はさまざまな経験や能力を備えている。地域に足りないところを補ってくれる。何よりも町を元気にしてくれる」
 その動きが次第に広がってきた。福島さんは東京で会社役員を務めた経験を生かし、地域商社「やぎなだ商店」の立ち上げを計画。新川専務と連携し、近郊の農水産物などを掘り起こし、商品開発から販売までを担う。2月からクラウドファンディングを始め、特産のジャガイモなどを使った「おでん」の土産物開発に乗り出した。
 移住を支援した30代の男性と20代女性が率先し、地域の魅力を語るインターネットラジオ番組「アキツカンパイラジオ」の配信をスタートさせた。新川が機材購入を肩代わり。
「当社を含め、地元の会社では働き手の確保が年々難しくなっている。面白いことをしている人の周りには、きっと面白い人が集まる。移住者との新たな取り組みが呼び水となり、地域が元気になり、そうして移住を促す好循環を生み出したい」
 行政の補助金や支援制度が移住を後押しするが、決め手は地域に住む人の力と情熱が大きい。都会では近所付き合いが希薄という。

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