イズミが発行する正社員向け広報誌「ゆめCan NEWS」(季刊)の取り組みが徐々に成果を挙げている。男女共に働きやすい職場づくりの目的を掲げ、「意識改革」、「人事制度改革」、「教育」の3つのプロジェクトを推進する。広報、環境整備、教育の3チームで編成し、2014年9月から始めた。広報誌は山西泰明社長のインタビューや女性管理職による座談会、女性社員の声などを掲載し、一緒に働く仲間の思いも伝えながらプロジェクト推進の役割を担う。
同社の正社員約2900人の男女比は6対4。パート、アルバイトは1万人を超え、女性中心の職場でもある。ゆめCanプロジェクトがスタートした時の女性管理職の割合は7%だったが、向こう20年間で20%に引き上げる数値目標を定める。それから5年たって管理職約670人のうち女性管理者は約70人(8月末)を数え、その割合は二桁を突破した。広報課長で、プロジェクトリーダーを務める飛子(とびす)晴美さんは、
「女性の管理職を増やすと同時に、子育てなどのために辞めなくても済むような制度を設け、退職率を減らすことも主要なテーマです。環境整備チームは従業員アンケートなどで課題や問題点などを抽出し、どうすれば解決できるのか、具体的な対策を提案しています。育児をしながらキャリアを積んでいける環境や制度を整えていくことが大切だと思います。こうしたこまやかな取り組みが一人一人の意識改革につながり、やがて職場に新たな活力が生まれてきます。女性が働きやすくなれば、男性にとっても働きやすい職場になるのではないでしょうか」
ワーキングマザー座談会や女性リーダー育成研修会なども主催してきた。配偶者の転勤や柔軟な働き方を選択して離職した人のリキャリア制度はこれまで40歳以下としていたが、主任以上は45歳以下、次長以上の管理職は50歳以下に引き上げられた。参観日や子どもの急な病気、介護のためなどの半日有休、割高な休日保育を利用する場合は1日4000円を上限に半額補助する制度もできた。
16年8月には管理職者向けに「ワークライフバランスマネジメントハンドブック」を作成。妊娠報告を受ける際の受け答えをはじめ、産休〜育休間の不安感を取り除く配慮や声掛けとともに復職を促す面談時期など、管理職者によって対応に差異がないよう「両立支援プログラム」のスケジュールを組んでいる。今年7月に熊本のゆめタウン光の森に、社員やテナント従業員向けに企業主導型保育園を初めて開園した。安心して楽しく働ける便利な店づくりを目指して、今後も開園を検討する構えだ。
「生活と仕事を調和させるワークライフバランスは企業の成長につながり、多様な人が活躍できる環境を整えることで、事業活動にも多様な視点を生かせると思います」
一段と人手不足が厳しさを増す中、女性の活躍こそ企業の成長戦略を支える大きな力になってきた。妊娠報告を受けたときに「困ったな」ではなく、心から「おめでとう」と自然に言える職場環境を整え、途切れることのないキャリア形成が可能な職場づくりが求められている。