広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    第80回 スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・広島大会 / 崔 希美大会実行委員長
    NEWSな人
    グローバル生産体制を再編 遠隔操作などのコト事業拡大 / コベルコ建機 山本 明 社長
    創業60年、たゆまぬ挑戦誓う ヘルスフード、海外事業強化 / あじかん 足利 直純 社長
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
松珈琲 / 戦 爽爽 夫人

旅行業を手掛ける夫妻が事務所と同じビルの1階にあった老舗喫茶店を引き継ぎ、3月に再スタート。戦爽爽夫人は、
「銀座の喫茶店で働いていたという前オーナーが故郷に戻り1975年に開業。こだわりの自家焙煎(ばいせん)コーヒーと昭和の喫茶ブームで店は繁盛したが、20年前から月2回の豆売りのみ。それでも市内外から多く常連客が訪れていた」
 店を畳む張り紙を見て、他の飲食業を始めようと不動産に問い合わせたところ、前オーナーが事務所まで話しに来てくれたという。コーヒーの奥深さや焙煎のこだわり、常連客への思いを聞き、この店を引き継ごうと決心。王雲峰(おううんほう)マスターは松珈琲の深煎り焙煎の仕方やハンドドリップでの入れ方などを直接学んだ。
「丈夫な〝松〟のように100年続く店が目標。焙煎後は毎回試飲し、お客さまに喜ばれる味を出すと決めている。店の味を受け継ぎつつ新しい発想をプラスしたい」
 看板メニューの「松ホットサンド」は創業期から使う銅板で手作りする。昔ながらの喫茶店にあるようなナポリタンを新メニューに加え、サラダとコーヒーが付いたランチセットも好評という。

    INFORMATION
  • ◆住所:東区光町1-11-5
  • ◆電話:082-569-4901
  • ◆席数:22席
  • ◆営業時間:午前10時〜午後9時
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
福幸 / 本岡 正規 社長

竹原市で酒類販売卸売業を営んでいます。1866年に乾物屋として創業し、昭和に入ってから酒を扱うようになりました。私が5代目で、次代は5年後をめどに娘の里佳子に継承予定。親子そろって大のカープファンで、娘にはホームランは打たなくても良いが堅実に売り上げを積み上げる、打率の高い経営者になってほしいと話しています。
 本格的にカープを応援し始めたのは高校生の頃から。ちょうど山本浩二さんや衣笠祥雄さんの全盛期で、チームにも勢いがあったので広島県民はみな熱狂。印象深いのは大学受験の模擬試験の最中に、先生が日本シリーズのスコアボードを黒板に書き写して速報を伝えてくれたことです。日本一になったときは生徒会長が音頭を取り、万歳三唱しました。
 特に大好きだった山本浩二さんの後輩になりたいと思い、法政大学に進学。カープには人生の進路を左右するほどの魅力があり、いつも経営の参考にしています。自宅のリビングのような感覚で野球観戦できる寝そべりゾーンやバーベキューシートなど球場に足を運びたいと思わせる仕組みづくり、ファンを熱狂させる体制、アルコールの売り方などが見ていて面白い。今はメジャーに行きましたが、鈴木誠也選手も応援しており、ニュースでもっと取り上げられるように頑張ってもらいたい。新井貴浩さんが監督に就任し、今からワクワクしています。広島県民は熱しやすく冷めやすいとよく言われるので、若手を中心とした強いチームをつくり、常に球場を真っ赤に染めてもらいたい。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
共感力を高める

ウクライナ市民を巻き添えにし、容赦がないロシアの覇権主義。大国の米中は世界の安全保障をめぐり、しのぎを削る。共感と対立。その相克を調和させる知恵はないのだろうか。市民レベルで親善交流活動を続けるNPO法人広島ベトナム協会が10月17日に20周年を迎えた。
 広島に来た留学生や現地の福祉・教育施設、枯れ葉剤被害者らの支援、ベトナム文化の紹介、交流イベントなどを行う。設立来、理事として運営に携わってきた上久保昭二理事長は、
「感慨深い。協会の奨学金で卒業した若者も多い。その子たちが成長し、自信と勇気を持って人々の役に立つ姿は心強く、元気をもらう」
 8月にはフック首相(現国家主席)から、文化交流の促進や関係強化に寄与したことが表彰された。協会設立の代表世話人で、不二ビルサービス社主の森元國行名誉会長も同様に表彰された。周年記念誌に思いをつづる。
「18歳だった1943年にサイゴン(現ホーチミン市)の南洋学院に入学した。在学中に日本の企業に就職して現地勤務していたが、45年に徴兵で無線通信隊に配属。敗色が濃くなるとラオスの山中まで退却し、戦後はサイゴンの邦人キャンプに収容された。つらい日々だったが、現地の人々は大変親切で、絆が深まった。ベトナムにいたい思いがあったが、上司に呼ばれて46年に帰国。今日の私があるのもベトナムの人々のおかげだと感謝している」
 その後、広島YMCAの相談を受け、75年から留学生への奨学金活動に携わる。91年には南洋学院の同窓生と「日越文化協会」を設立し、現地の大学内に無料の日本語学校を開講。広島ベトナム協会の活動と合わせ、実に50年近く支援を続ける。
 市内ホテルであった周年記念式典には約100人が集まり、森元さんと林辰也名誉理事に特別功労感謝状を手渡した。上久保理事長は、
「設立当時、県内のベトナム人留学生は十数人だったが、いまは1300人。在留者全体で1万3000人を超え、国籍別で最多となった。彼らと接して国際感覚、視点を学ぶことが多い。一方、一部の企業が技能実習生を搾取していた報道を目にすると胸が痛む。当協会はまだその問題に手を打てていないが、心の通う交流を通じて解決の糸口を探っていきたい」
 来年は日越外交関係樹立50年。来賓の松井市長は、
「昨今の世界情勢は人間の本質の悪い面が出ている。動物と人間が違うのは言語を駆使し、それによって共感できること。負の方向ではなく、正の共感力を高めるべき。成熟社会では皆が協力しないと持続不能に陥る。文化の違いはお互いさま。多様性を認めながら壁を乗り越えていかなければならない」
 コロナ禍のマスク不足が深刻だった2020年7月にはベトナムから同協会へ1万2500枚のマスクが届く。枯れ葉剤による結合双生児として知られるドクさんが所属する、日系旅行会社の会長からだった。さっそく県内留学生に配布し、喜んでもらったという。
 広島のベトナム進出企業は約40社。共感の糸を断ち切ってはならない。さらに関係が深まるよう期待したい。

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