仕入れた食材からその日のメニューを決める「おまかせコース」を提供する仏料理店。仏、神戸で修行し、約20年前に広島に戻って独立した。
「その日にある食材をどう組み合わせるか、その時々の巡り合わせを大切にしています。常連客に地元の食材・生産者を紹介されて会いに行くことも。こうした縁がつながって生まれたジャム・ピクルスなどの『おすそわけシリーズ』は、限られた時期に大量にできる野菜を余すことなく商品化。もったいない精神からのサステナブルな取り組みにも力を入れています」
仕入れ先農家が使い道に困っていた長期熟成味噌はチョコレートと相性が良いことからガトーショコラにし、瀬戸内の粗塩をかけて提供。人気デザートとして定着し、今年1月から「ガトーシオコラ」としてECなどで販売する。
「味噌・チーズ・抹茶味の3種類に、粗塩の小瓶が付く。塩は乾燥トリュフと庄原産エディブルフラワー(食用花)を混ぜて風味が良い。残ったら、魚・肉料理にも使えます」
西風新都に本社・工場を置き、きな粉、米粉などの製造を行っている。2021年、サンフレッチェのユース寮の食事に当社の青きな粉や米粉で作ったパン粉「WA-PANKO」を採用していただいたことをきっかけに久しぶりに観戦し、大ファンに。家族全員で応援し、ホーム戦はできる限り生で見ている。今年はエディオンスタジアムのラストイヤーなので、可能なら毎試合見たい。スキッベ監督の指揮下、前線からボールを取りに行く攻撃的なプレーが魅力。試合終盤まで負けていても、最後の5分で逆転してくれるので見応えがある。
中でも昨年のルヴァンカップの決勝は忘れられない。その前週の天皇杯決勝ではJ2のチーム相手にPK負けを喫していたが、この日は途中まで0対1で負けていたのにアディショナルタイムに2点を返して悲願の初優勝を決めた。涙を流す佐々木キャプテンらの姿を見て胸にこみ上げるものがあった。本当はこの日、会場の国立競技場に行く予定だったが、体調不良により泣く泣くテレビ観戦。今年はJリーグ、天皇・ルヴァン杯の全てで優勝してもらい、その瞬間に立ち会いたい。
青きな粉の採用が縁で、当時ユースだった棚田遼選手の寮生活に密着する動画のスポンサーに。118万回再生され、広告賞を受けるなど話題になりうれしく思う。棚田選手をはじめ、若手の活躍に期待。これからも製品を通じて選手の体づくりに貢献したい。
広島にすごい会社がある。半導体装置製造のローツェ(福山市)は創業から36年間の平均成長率が21%を超えており、社員220人の平均年収は1122万円(2022年2月末時点)というから驚く。少人数の持ち株会社などを除き、新入社員を含めた全社員の給与水準は中四国地区で群を抜く。全国ランキングでも地方企業では異例の上位39位(東洋経済新報社調べ)という。
創業者で取締役相談役の崎谷文雄さん(77)は、
「さまざまな得意分野を持っている人を積極的に採用してきた。一人一人が個性を存分に発揮し、各分野でトップになれれば、会社全体でもトップになれると思って経営してきた。入社時に個人の得意分野を見定めるために、設立当初から3時間に及ぶ性格テストを実施している。そのような会社の中に身を置いて、私自身が子供の頃から好きな製品開発の仕事にずっと携わることができた。創業からいろいろとあったが、大変とは思わず、むしろ幸せだった。技術に自信を持って楽しみながら仕事のできる集団として価値の創造を究める。それを応援するための社風、仕組みづくりに努めてきた」
独立前に勤めた会社で、自身の発案した自律分散処理システム(配線数を大幅に減らし、機械部分に電子機器を組み込むシステム)の開発を頼んだが、聞き入れてもらえなかった。それで、自らやろうと40歳で会社を起こした。良いものを作ってもいずれは営業力、開発力、資金力のある大手に負ける。いい手はないか。日夜考えた結果、たどり着いたのが、世の中にないものをつくること。新聞や雑誌に新製品を発表すれば、無料で発信してもらえる。しかも自ら宣伝するよりもよほど価値が高い。他社が販売しているものと同等の製品はつくらない、世界的なニュースになる製品だけをつくると決めた。以来、超小型モータ制御機器をはじめ、世界初の製品を数多く市場投入。アルミニウムや電力などの調達コストで日本より優位性のある海外に早々と目を向け、米国、ベトナム、台湾、韓国、シンガポール、中国、ドイツへ次々進出した。現在、半導体の基盤となるシリコンウエハの搬送装置の分野で世界シェア1位に駆け上った。
経営の秘訣は案外と単純なのかもしれない。1997年に上場。日米の株主総会のやり方を調べる中で、ビジネスに向かう根本的な相違に驚かされたという。
「日本企業は株主総会で会社のやり方にケチを付けられないよう、責任を取らされないようにするため、早く終わらせることを優先しているように映る。そのせいか、質問に対して適格な回答をしていない。しかし、米国企業は株主に自社の魅力を直接伝えるチャンスと捉え、積極的な情報開示に努めている。総会後は会社見学を実施し、社員全員で歓待。改善提案を積極的に受け入れ、それを実践する。イノベーションを起こす源泉に思えた」
90年代、備後地区は人口当たりの上場企業数で全国トップの時期があった。
「備後の人は、ずけずけと良いことも悪いことも本音で語る。これは米国に近い。成長の原動力ではないか」
2月22日午後4時から、ひろしま環境ビジネス推進協議会(事務局・広島県)が広島市内で開く経営者向けセミナーで講師を務める崎谷相談役のズバリに期待。