広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    巻頭特集 ひろしまユニコーン10プロジェクト
    NEWSな人
    本川町にビール醸造所稼働 「スムージーサワーエール」製造 / ハングアウト 三羽 健太郎 代表
    22年の最優秀マーケターに選出 フェラーリの価値向上に寄与 / エム・オート 花本 英之 エムオート・イタリアマーケティングマネージャー
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
すしこば / 前市 朋志 店長

胡町の「すし家こばやし」の姉妹店で、8月に10周年を迎える。胡町電停から流川通りに入ってすぐに店を構え、ビジネスパーソンや国内外の観光客など幅広い層が来店する。
「気楽に楽しんでもらうために、接客や雰囲気づくりを工夫しています。軽い晩酌のほか、板前との会話を楽しむ人と一緒にお酒を飲ませてもらうことも。全てのお客さんが気持ち良く帰れるお店を目指します」
 すしネタは、毎日状態が良いものを仕入れて常時30種類以上をそろえる。酒は日本酒を中心にビールやワイン、カクテルなどノンアルコールを含めて約20 種類。一品物は県外客向けにウニホーレンや、春の山菜、夏の小イワシなど季節を感じられる食材を使った天ぷらなどを提供する。
「時期によって人気の品は変わるが、トロタクは一年通してよく出ます。ノリを内側にする『裏巻き』で握り、外側には大葉を散らしているので酒のつまみにも合う。県内外から15銘柄をそろえる日本酒との相性も抜群です」

    INFORMATION
  • ◆住所:中区胡町5-7 ウインザービル1階
  • ◆電話:082-248-0458
  • ◆座席数:20席
  • ◆平均予算:7000円
  • ◆営業時間:午後5時〜翌午前2時
  • ◆定休日:月曜
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
寺越愼一税理士事務所 / 寺越 慎太郎 税理士

西区観音本町に税理士事務所を構えています。子どもの頃、よく親に連れられて旧市民球場に出掛けていました。レフトスタンド側の席が多く、好きな山本浩二さんを間近で見られたのがうれしかった。父親が飲み干したビールの紙コップの底を抜き、メガホン代わりにして声を枯らして応援していましたね。修道高時代は放課後に友達と市民球場へ。当時はまだ紙吹雪が許されており、滞空時間の長いものをつくろうと切り方を工夫していたことが懐かしい。
 どうやら頑張っている人の背中に〝声援を届ける〟のが好きで、昔からスクワット応援や選手応援歌を覚えて歌うのが私の観戦スタイル。関西学院大学時代はほとんどが阪神ファンの中、広島弁丸出しで現地のカープファンと会話する私に、「お兄ちゃんは何者」と不思議がられることもありました(笑)。マツダスタジアムでも思いっきり声援を届けられるパフォーマンスシートがお気に入り。周りの方たちもほかの席よりも熱量が高く、1球ごとに一喜一憂できます。
 いよいよ待ちに待った球春到来。大学同窓の黒原拓未投手に期待しています。SNSでカープネタを投稿しているので、天気のように話を振られることもしばしば。カープのグチや不満も吐き出してしまいますが、それも常に勝利を信じて真剣に応援しているからこその裏返し。その証拠に、優勝の瞬間を目の前で見ようとシーズン終盤のチケットを押さえてありますよ。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
潰してはならない

間葉系幹細胞(MSC)を用いた再生医療の産業化を目指すツーセル(南区、日浦敏樹社長)は、広島大学発の医療ベンチャー企業として2003年4月に設立。今春で20周年を迎えた。
 人の骨髄や滑膜などから採取できるMSCは骨、軟骨、心筋、脂肪、神経など多種類の細胞に分化できるという。同社は損傷した膝軟骨を再生できる医療技術の研究開発に挑み、途上で大赤字を抱え、新たな資金調達を必要としたが、金融機関は深刻な財務状況から判断して融資決定に二の足を踏んでいた。
 知人からツーセルの窮状を聞いた広島市信用組合の山本明弘理事長は、真っ先に同社研究室を訪ねた。
「再生医療を通じて世界の医療や人々の健康に貢献するという経営理念を高々掲げ、臆することなく目的に向かって没頭する姿に共感した。ツーセルの再生医療技術が実用化されると膝軟骨だけでなく、さまざまな疾患の治療に応用されることが期待されているという。広島で生まれたベンチャー企業から誕生する製品によって、世界中の人々が救われる高い技術力、将来性があるのに、地元の金融機関としてここで引き下がるわけにはいかない。いつかは広島経済をけん引してくれるスタートアップを応援する使命があり、地域経済に資金が循環する仕組みが必要です」
 速やかに3億円の融資を決定した。
 その後、この膝軟骨再生細胞治療製品は大手の中外製薬とライセンス契約を締結。多額の契約金が入り、借り入れの全てが返済された。
 もう一つ。親子二代で40年にわたり、パンの製造・配達を続ける会社が赤字、繰越欠損、債務超過の窮地に陥っていた。すでに他の金融機関から3億円の融資を受け、その返済のために所有する土地の売却を迫られていた。しかし売却に時間がかかり、返済期日までに間に合わないという一刻を争う事態。急きょ広島市信用組合に土地売却までのつなぎとして、緊急融資の話が持ち込まれた。
 山本理事長は朝早く、パン工場を訪問。親子3人が手慣れた様子で黙々と作業をしている。パンの香りと熱気に、工場での仕事がどれだけ大変かが伝わってきた。この会社は地元の学校や病院に幅広く卸す。子どもの小遣いでも買える価格帯で、高齢者や病気の方も食べられるやわらかさがあった。その場で食べてみると、おいしい。
 儲けは少ないが、40年続けてきた実績がある。儲けるためだけでなく、地元の人々の暮らしを支えるための仕事でもあり、地域になくてはならない工場だと直感した。ためらうことなく3億円の融資を実行。その後、土地も売れたため、その会社は資金繰りの悩みから解放され、本業に専念できる余力が生まれた。現在は新たに工場を設け、事業を広げている。そして相変わらず地元の学校や病院にパンを配達している。
 こうした事例は枚挙にいとまがないという。厳しい状況に置かれている金融機関が多い中、全国の信用組合のうちトップを走り続ける。投資信託や生命保険などの手数料ビジネスには目もくれず、愚直に本業を貫く。地道な営業活動を重ねて信頼をつかんだ。同信組の経営の原点に「地元のお金は地元で活かす」という考えがある。日ごろから顔と顔を合わせる、フットワークを利かしたシンプルな現場主義を続ける。

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