広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    ひろぎんITソリューションズ社長に就任 / 柳田 剛 氏
    NEWSな人
    地域と歩み70周年 贈答品の周辺需要開拓へ / 大進本店 山本 紘史 常務
    MX―30のPHEV発売 ロータリーを発電に活用 / マツダ 上藤 和佳子 商品本部主査
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
Oishi吉山 / 縄稚 ここの 店長

ケータリングサービスなどを手掛けるイベントス(中区舟入中町)が2016年にオープンした。農産物直売所を併設し、契約した地元農家の出荷農産物は全量を買い取っており、規格外品や出荷後3日を過ぎた野菜は料理し、季節や旬を感じられるブッフェで提供している。
「例えば夏はナス、冬は大根ばかりの時季もありますが〝〇〇づくし〟と銘打ち、家庭でもマネしやすいようなメニュー構成にしています。その中でも一番人気は〝大根餅〟。大根が大量にあり、おでんにしても消費が追いつかない時に和食担当のシェフが、すりおろした大根と片栗粉を混ぜて餅にするレシピをひねり出しました」
 持ち帰り用の総菜売り場も新設。店内では管理栄養士考案のレシピを置き、農産物の購買につなげている。
「地元の野菜を地元で生かし、農家の収入を増やすという吉山のビジネスモデルを他の地域でも展開し、生産者を支援したい。そして、遠方からも人が集う価値のある場所をつくりたい」

    INFORMATION
  • ◆住所:安佐南区沼田町吉山942-1
  • ◆電話:082-830-4141
  • ◆席数:60席
  • ◆平均予算:2000円前後
  • ◆定休日:火曜
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
エンブ・モップ / 大下 高男 社長

東区牛田新町でオリジナルウエア刺繍(ししゅう)・プリント制作の「ココスタイル」を経営しています。カープ承認のつなぎ販売のほか、ファンのユニホームにメッセージを刺繍するケースが多いです。「これからも健康第一に百歳まで元気に生きてください」など親へのメッセージのほか、赤いユニホームやTシャツの背番号を「60」にした還暦祝いのプレゼントも人気があります。
 妻の両親が中区の中の棚で始めた刺繍店が発祥で、刺繍データプログラム制作会社として1986年創業。法人化し93年に現社名に。アパレルブランドや有名キャラクターの刺繍工場を経営していましたが、アパレル生産の海外移転で、企業や個人向けのオリジナルウエアに方向転換しました。カープ関連では倉義和コーチが現役時代に練習着に背番号を刺繍するため来店されたり、会沢翼捕手のお母さんから応援Tシャツの受注を受けたこともあります。元サンフレの槙野智章さんも友人のTシャツ制作で来店されました。昨夏の甲子園で準優勝した下関国際高校の選手の関係者から記念のタオルなどの注文もありました。広島テレビの「完全カープ主義」のTシャツなど、企業からの受注も多いです。
 近大福山高校時代は卓球部で中国大会に出場。前職のシンコーでは卓球のほか草野球チームに所属。今は娘からもらった津田恒美投手のユニホームを着て、マツダスタジアムの年間指定席に通っています。小学6年の孫のソフトボール応援も楽しみです。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
冒険王の挑戦

何気ない母と子の会話からひらめいた。チャンスと捉え長年の家業だった家具販売を諦めて玩具販売へ転換する覚悟を決めた。これを契機に冒険王(安佐北区可部)は25歳以上の男性を主なターゲットにした、新しい形態の大型玩具店「ホビーゾーン」を大型商業施設内へ多店舗展開し、ぐんぐん業績を伸長。
 31期の2023年5月期決算は13.8%増の売上高67億9929万円、3期連続で過去最高を更新した。今期は売上高76億円、経常利益5億円の増収増益を見込んでおり、全国業界で次第に頭角を表してきた。店舗の大型化戦略や売れ筋商品の絞り込みが成果を上げ現在、1都2府29県に66店舗を配す。
 もともとは地元の可部に根差した家具店だった。家族連れの来店客がじっくりと品定めする間、退屈になる子どものために玩具を用意。さぁ帰ろうとしても、夢中になった玩具から手を離してくれないため、売ってほしいと懇願されることがしばしばだったという。堀岡宏至社長(40)の祖父で、創業者の孝之さんには人を喜ばす工夫があった。しかし家具業界はやがて斜陽になり、二代目を継いだ現会長の洋行さんは家具に見切りをつけ、売ってほしいとせがまれた玩具で勝負に出た。それから31年。22年に三代目に就いた宏至さんは、
「顧客の声に耳を澄ませる。創業精神はこの先も変わることのない商いのよりどころ。洋行会長は現場主義を徹底し日夜創意工夫に明け暮れた。人口減など環境変化に目を凝らし店づくり、品ぞろえ、組織づくりにまい進したい」
 家業に打ち込む父、洋行さんはプライドを持てる職場づくりに努め、社員を家族のように愛していた。そうした姿が印象深く、やがて家業を継ぐ決意を促したのだろう。
 大学を卒業後、電子カルテ業界2位の医療情報システム会社で16年間にわたり開発に携わる。仕事は充実していたが、開発プロジェクトの終了を機に「家業を継ぎたい」と父親に伝えた。洋行さんは会長に就くにあたり、尊敬する先輩の経営者から実践すべきアドバイスを受けた。
「社長の言うことは全て肯定すること。会長の仕事は応援団に徹すること。勝つように応援する。相談を持ちかけられた時は話を聞くだけ。答えは社長が自分で見つける。それが間違っていると気付けば自分で修正すればいい。苦難を乗り越えて初めて本物の答えが身に付く」
 家具店をやめると伝えた地元の有力者から「親不孝者」と叱られた。くさびとなって記憶に打ち込まれているという。地域へ貢献する心が大事と諭された。
 国内の玩具市場は新たに大人をターゲットに拡大し、22年度は9529億円と過去最高を更新。冒険王も上昇気流に乗せるが、決して平たんな道ではなかった。〝捨てる〟経営も決行。新規172店に退店76。専門化を進め、高付加価値商品を扱う店づくりに大きくかじを切った。地域1番店の大型商業施設内を中心に、売上高100億円が現実味を帯びてきた中、主力商品を絞りパズル・ゲーム、ミニチュア、プラモデルを〝三本の矢〟とし、欲しい商品がそろうホビーゾーンならではの販売戦略を打ち出す。
 最強のテナントを目論んでおり、大型商業施設から来店客の動員につながるホビーゾーンの出店要請が相次ぐが、油断などない。目標は業界日本一と定めている。

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