広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    日本銀行広島支店長に就任 / 中村 武史 氏
    NEWSな人
    投資やM&A積極化で増収増益 27年までに売上高300億円へ / アシードホールディングス 河本 大輔 社長
    モータースポーツで魅力発信 eスポーツからレーサー選抜 / マツダモータースポーツ体験グループ 久松 忠輝 マネージャー
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
福来軒 / 藩棟さん・王梅さん

4月に創業6周年を迎えた町の中華店。中国山東省出身の夫妻が経営する。3月に数件南側に新築移転した。
「前の店は狭くていつも行列になっていたので席数を倍に増やし、団体利用も受けられるように8人掛けの席も設けました。それでも昼は行列ができ、うれしい誤算です」
 料理を担当する夫の藩さんは中国でホテルに勤務後、20年前に来日した。友人を頼って広島を訪れ、中華や和食の店、居酒屋などで十数年経験を積んで独立した。唐揚げ、焼き餃子、五目焼きそば、八宝菜、天津飯など、幅広い年齢層になじみのあるメニューを、経験を生かして日本人に合う味付けにしているという。メニューのほとんどを1000円以内で提供。ランチでは人気の麻婆豆腐と炒飯のセットなどを、宴会利用にはコースメニューを用意する。
「休日は家族連れやグループの利用が増えてうれしい。移転後からのお客さんはもちろん、遠くからも来てくれる常連さんも大事にしていきたい」

    INFORMATION
  • ◆住所:中区吉島東1-12-24
  • ◆電話:080-5892-5888
  • ◆座席数:50席
  • ◆営業時間:午前11時〜午後2時半、5〜10時半
  • ◆定休日:火曜定休
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
SEND Hiroshima / 佐々木 亜由美 代表

袋町公園のそばでアロマキャンドル専門店を運営。ワークショップは年間で計約1万人にご利用いただいています。予約なしで参加できるため、観光客にも人気です。25歳で上京し、長らく地元を離れていましたが、好きなことにチャレンジしたいと2020年に帰広。カープが大好きなことも戻る理由の一つになりました。
 東京時代は神宮や名古屋など、多い時で週1回は球場で観戦。逆に広島ではチケットが人気で取りにくいので頻度が減ってしまっています。その分試合がいつでも見られるよう、店舗にはテレビモニターを設置。ガラス越しに外からも見えるため、経過が気になる方が入店するきっかけになることも。昨年は元カープのターリー投手が外からのぞいていたため、中に入ってもらい一緒に試合観戦。堂林選手が今永投手からホームランを打ったのを見届けると満足げな表情で去って行きました。今年は開幕後にDeNAの度会選手、5月中旬にはカープのシャイナー選手が来店。シャイナー選手がキャンドル作りをしている間に急いでユニホームを買いに行き、無事にサインしてもらいました。福屋とそごうで売り切れだったため、球場まで走ったことを伝えると、なんと開幕戦で使ったバットをプレゼントしてくれ、とても感動しました。早く1軍復帰して活躍してもらいたいですね。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
矢野さんお別れの会

何をやってもうまくいかない人生だったー。昨夏に登壇した講演会の冒頭、自らの半生をそう振り返った。100円ショップ最大手の大創産業(東広島市)創業者の矢野博丈さんが2月12日に80歳で逝去。5月27日に市内ホテルであった「お別れの会」に政財界人ら約1500人が集まり、在りし日をしのんだ。
 1972年に矢野商店を創業し、昨年末時点で日本を含む世界26の国と地域に5350店を展開。一代で売上高5891億円(前2月期)規模に育て上げた。しかし、その人生は事業失敗や倒産、借金、夜逃げ、度重なる転職、火災に遭うなど苦難の連続だったという。
「ある結婚式で、お坊さんの祝辞が印象に残った。艱難(艱難)辛苦。生きているといろいろなことが起きるが無駄は一つもない。これを乗り越えるのが人生。失敗に負けないようにとエールを送った。自らの人生を振り返ると、もはや運命の女神に憎まれているとさえ思っていた。確かに見方を変えると、またかまたかと苦労を重ねたことは運が良かったのかもしれない。それからはそう考えることにした。ありがとうございます、感謝、ついている。この言葉を何度も何度も繰り返した。そうすると本当に良いことが起こり出した。ありがとうは魔法の言葉。すぐに良いことをまねるのは、経営者にとって必要な資質だと思う」
 自己否定、危機感も並外れていた。順風にあって商いに徹頭徹尾厳しく、決して物事を甘く見るような言葉を発することがなかった。創業時に「安物買いの銭失い」などと幾度となくたたかれた。消費者の厳しい視線を肌で感じてきた経験がそうさせるのだろう。いつも社内外で経営の厳しさを語り続けた。まだ売上高が800億円台だった頃、2000年の産経新聞記事(要約)で、
「今、調子がいいことを、将来も調子がいいと錯覚してしまうことが怖い。お客さんの商品に飽きるスピードは驚くほど速い。常に緊張感を持って、いいものを生み出し続けないと生き残れない」
 変化し続けるニーズ、期待に応え続けることが、経営継続と同義だった。大創の急成長を支えた源泉は、紛れもなく開発力にある。売価100円という上限がある中で仕入れ先との交渉を「格闘技」と言い放った。
 取り繕わない自然体も魅力だった。本社オフィスをあちこちと歩き回り、社員や仕入れ先などに声を掛けて回る。一方、怒る時は徹底的に怒った。社長の心掛けを問われたときに、
「私は怒ります。強い会社はどこも社長は怒っている。一生懸命になったら怒ります。でも怒ると会社がギスギスするから、社員にダジャレを言ってごまかす。それでぱっと雰囲気が明るくなればいい。ダジャレは一種の緩和剤ですね」(1999年毎日新聞)
 2018年に次男の靖二さん(53)が社長のバトンを引き継いだ。大学を卒業し、イズミで16年間、食品バイヤーなどを経験。15年に大創産業に入る。
 お別れの会委員長として礼状に「世界の生活インフラとして社会の発展に貢献」すると抱負を述べる。社長就任後も新ブランド「スリーピー」を含めた国内外への出店ペースを加速。5月に東南アジア、中東圏への輸送を担う自社最大のグローバル物流拠点建設を発表した。チャレンジ精神は遺伝子なのだろう。

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