湯来温泉街でイタリアンバルだった店を引き継ぎ6月、地元のジビエと県産カキがメインのカフェ&バーとしてリニューアルした。
「地元の野菜やこんにゃくを使ったサラダ、みそ汁、ミントをたっぷり使ったモヒートなど当店に足を運べば湯来を存分に楽しめます。間近で川のせせらぎが感じられるバルコニーでは、イノシシ肉の炭火焼きも提供。脂身がありながらもさっぱりとした味わいで、油っこいのが苦手なお客さまからもおいしいと好評です」
結婚を機に移り住んだギリシャでは、地の物にこだわる料理の考え方に感銘を受けたという。
「知人の紹介がきっかけでこの地を知り、ギリシャと時間がゆったり流れるところが似ていて居住を決意。右も左も分からず不安だらけでしたが、来店時に住民の方から花を頂くなど、人が温かく、この町と出合えて本当に良かったです。今後は湯来に恩返しをするために仕入れ食材を一層増やし、地域に根付いた店を目指したい」
広島ドラゴンフライズの2013年発足からパートナー(支援企業)を務めており、社員みんなでこのたびの優勝を喜びました。2連覇を期待する人が多いでしょうが、余計なプレッシャーを与えては本末転倒。個人的には肩肘張らずに良い試合をしてもらいたいですね。当社は物流が本業。今後も試合用機材を運ぶ〝ドラフララッピング〟トラックで全国を駆け巡り、多くの人の目にとまる広告塔を意識したい。
スポーツは大切なことを教えてくれます。実は12年の日本陸上競技選手権大会800メートル走で優勝した久保瑠里子は私のめいっ子。そのひたむきに努力する姿から、アスリートの世界の厳しさや壁を乗り越えたときの感動、周囲に与える夢や希望について身近に感じました。日本歴代2位のタイム達成時には打ち震えましたよ。
こうした経緯もあり07年からほぼ毎年、少年ドッジボールの「KUBOXTドリームカップ」を開いています。今年は12月に廿日市市のサンチェリーで実施し、28チームが参加予定。子どもの生き生きとした様子には大人も元気づけられます。
広島出身で北米プロアイスホッケーのNHL選手を目指す、小学6年の堀江虎太郎くんを応援するプロジェクトにも協賛。当社副社長で弟の真也は日本アイスホッケー連盟の理事などを務め、彼を指導したことも。今は練習場が整った北海道で暮らしていますが、「広島から世界へ」と話しているそう。夢の実現を祈っています。
少子化もなんのその。高校向けに国語の副教材を制作する尚文出版(西区横川町)が好調だ。7月期決算で前期比10%増の売上高15億9000万円を上げ、過去最高を更新した。コロナの影響を受けた期を除き、数十年にわたって右肩上がりを続ける。
何より手堅い。どこに経営のコツがあるのか。水野理朋社長(54)は、
「特別なことは何もない。時代に連れて変化するニーズを敏感につかむ。決してうわべだけではない、本物の教材を作る。その一点をコツコツと積み重ねてきた」
2月に常務から昇格し、社長に就く。心づもりはあったが、社長交代のタイミングは予定より早まった。3月に創業者で父親の左千夫さんが75歳で逝去。3年前から抗がん剤治療を続けていたものの意欲は衰えず。今期も社長続投の意思を示していた。
生前、気さくに取材に応じてもらった。売り上げと利益の捉え方について、
「前期よりも1円でもいいから売り上げを増やそうと、社員に言い続けてきた。急成長は必要ない。しかし上に向かうか、下がるのか、その差はとても大きい。業績が伸びないと、社員の給料を上げられない。良い本を作るという経営方針がぶれることはない。適正に評価してもらい、そうして適正な利益を頂く。その利益はさらに良い本を作るための手段になる」
わが利益を優先することなく、一貫して誠実なものづくり精神が脈打つ。1982年の創業。すんなりと事業が軌道に乗ったわけではなく、食べ物が買えないほど貧しかったことは、当時、中学生だった理朋社長にとって忘れがたい記憶。何事もおろそかにしない心が養われたのだろう。
創業時以降、思わぬ別れや意図せぬアクシデントなど幾多の苦い経験を経て、ひたすら良い本を作るという信念にたどり着いた。編集部だけではなく、営業を含めた社員全員を「国語の専門家」とし、地方の出版社が大手に立ち向かう気迫をにじませる。生徒の役に立つ。国語を好きになってもらう。これを基本方針に据えた。業界の常識を幾つも覆した。創業当時、A5判(小判)の問題集が主流の中で、生徒が余白などに書き込みをしやすいB5判(大判)の利便性に着目してシリーズ化し、主力商品に育て上げる。また、古典の文法書と問題集の2冊を業界で初めて1冊にまとめるなど、生徒と先生の要望をくみ取り、創意工夫に労を惜しまない社風が今も息づく。
「やってみると他愛もないことも、まずそれに気付き、最初にやることに意義がある。他社にまねされることはあるが、当社がまねすることは許さない」
創業者の口癖だった言葉を胸に刻む。営業手法にもこだわる。全国の高校を各地の営業社員が訪ね歩き教材の良さを先生に直接伝える。そこでつかんだ先生の感想やアドバイスを制作に反映させる。
少子化に加え、来春の大学入試改革、学校現場のデジタル化など教育を取り巻く環境は急速に変化している。
「この10年ほどで子どもの人数は3分の2に減った。正直背筋が寒くなるが、現実から目を背けてはならない。伸びる余地は十分にある。良い本と誠意は必ず通用する」
来春に授業用デジタルコンテンツを発売し、市場開拓に挑む。今期の売上高目標は16億5000万円。1円でも売り上げを伸ばす志がある。