広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    中国財務局長に就任 / 中村 広樹 氏
    NEWSなひと
    ラムネと漬物作り百年 伝統を継ぐ、新商品開発も / 中元本店 中元 裕子 社長
    支部設立10周年記念イベント 海外ビジネスの醍醐味を発信 / (社)WAOJE広島支部 江坂 典彦 実行委員長
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
野の花館 / 丸山 拓一郎 代表

代表の両親が定年退職後の2009年に開業。23年に手作りした新棟で営業するカフェやギャラリーに加え、ミニコンサートなどを開く「音楽堂」を備える。
「地域の憩いの場として、気軽に交流できる空間を目指しています。ギャラリーでは絵画などの展示に加え、町内会の会議や呼吸体操・介護予防教室などにも開放。11月19、20日はペルシャじゅうたんの魅力を学ぶ勉強会を予定しています」
 音楽堂は桜材フローリングと珪藻(けいそう)土の壁、屋根の角度のバランスから「響きの美しい空間」と専門家からお墨付きを受けた。10月19日には平木速人さんをはじめとするプロ奏者による「昼下がりのジャズライブ」を開催。毎月第1・3水曜日には大人向けのピアノ教室を実施している。
「家族のミニコンサートやプロ指向者の練習といった引き合いも。表現したい方々に寄り添い力になれるよう、世話好きなオーナー一家がおいしいコーヒーとともにお待ちしています」

    INFORMATION
  • ◆住所:安佐北区口田南7-46-3
  • ◆電話:090-5704-1988
  • ◆平均予算:コーヒー500円ほか
  • ◆営業時間:午前10時〜午後5時
  • ◆定休日:月・火曜定休
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
Office K-Plus / 河原 真治

中区光南に事務所を構え広告代理業を営んでいます。近年はeスポーツに注目しており、学生たちと一緒になって「シニアeスポーツ体験会」をトリニティカレッジ広島医療福祉専門学校(中区幟町)で月1回開催。高齢者に新しい事への挑戦と若い世代との交流機会を提供し、孤立防止や生きがいづくり、認知機能の維持などに役立ててもらうのが狙いです。4月に行った初回では、テレビ各局に取材していただくなど、関心の高さを感じました。
 きっかけは介護事業者向けにパンフレットなどを作成していた時のこと。各社とも深刻な人材不足に直面しており、何とか若い世代との接点を広げて人材確保やサービス認知の向上を図れないかと考えたことでした。同時に広島は若者を中心に転出超過も深刻。eスポーツは若い世代に人気があり、市場規模も年々拡大しています。県内でeスポーツをもっと盛り上げ、「広島でも自分のやりたいことができる」と思えれば、学生の地元定着にも寄与できると思っています。
 広島では中四国を代表するプロ「広島 TEAM iXA」があります。ストリートファイターシリーズや鉄拳などの格闘ゲームで、地方から世界を舞台に活躍。日本がeスポーツ後進国と言われる中、学校や自治体などと連携し体験会や講演活動も積極的に行っており、新しいスポーツ文化を広げようと精力的に取り組んでいます。eスポーツを通じ広島の抱えるさまざまな問題を解決する糸口を見いだしたい。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
安芸灘の誇り

日本は古来、海藻類を多く食生活に取り入れてきた。ワカメ、コンブなどは和食の名脇役として、料理の腕の見せどころという。もう一つ。ヒジキはヨウ素やカルシウム、マグネシウム、鉄分、食物繊維を多く含み、血液を固まりにくくする作用で動脈硬化、血栓を防ぐ健康食としても根強い人気がある。
 しかし国内に流通するヒジキの90%が韓国、中国からの輸入。このままでは天然ヒジキのおいしさが失われてしまう、何とかせんといけん。呉市近海の安芸灘で取れた新鮮なヒジキの販路開拓、新製品開発に奮闘する松島やの北尾悦子さん(69)は、
「一時はスーパーに卸していたこともあったが、この20年は仕入れがままならない状況になり、やめると決意。ところが、どうしても安芸灘のヒジキでなくてはと多くの声を受け、心を奮い立たせた」
 呉市豊浜町の豊島出身で、実家はタイ一本釣りの漁師。20年ほど前から毎年、冬場になると母親から乾燥ヒジキをもらい受け、友人や知人にお裾分けしていた。そのうちあちこちから「売ってほしい」という声が出始めた。そもそも売る気はなかったが、友人から背中を押されて、飛び込み営業した先が、道の駅がある舞ロードIC千代田。海の幸だから山あいの千代田で扱ってもらおうという単純な発想だったが、たまたま知人の農家が栽培する豊島レモンを扱っていた縁もあり、とんとん拍子で話が運んだ。
 その後、その道の駅が広島市内スーパーへ移動販売するときもヒジキを扱ってくれるようになり、商いとして軌道に乗り始めた。
 近年、瀬戸内海の海水温のせいか、漁獲量は年々減り、捕れる魚の種類も変わりつつあるという。北尾さんは3年前、ヒジキの不作に見舞われた。相手は自然。なすすべなく受け入れるほかないが、今年もそろそろヒジキの収穫時期を迎える。寒の季節の12月から2月にかけ、身が引き締まり、色や食感も格段に良くなるという。
 品質の良さを認めてくれる人が多いのだろう。着々と販路を広げている。現在は特定の漁師から限られた収穫量で商品化。県が推進する「ひろしま里山チーム」の500登録者・約50団体の産品を集め、そごう広島店である〝さとやまマルシェ〟にも出品を重ねる。4年前には実家の屋号〝松島や〟ブランドでパッケージを刷新。売れ行きは2.5倍に急伸した。百貨店の訴求力もさることながら品質に加え、デザインの大切さも学んだ。
 湯崎英彦知事は、
「里山、里海には四季折々の自然が織りなす豊かな恵みや伝統文化などの地域の魅力があふれている。ぜひその魅力に触れてほしい」
 希少な天然ものヒジキを昔ながらの鉄窯製法でゆで上げた後、天日干しで磯の香り豊かに仕上げる。乾燥ヒジキのほか、炊き込みご飯のもとに続き、せんべいも商品化。OEM先も開拓した。今冬、そごう広島店から初めてギフト展開に乗り出す。
「乾燥ヒジキをつくる工程で出る、細かな芽を何とか生かしたいと作ったのが炊き込みご飯のもと。さらに細かなヒジキも使い切りたいと考えたのがせんべい。食の豊かさは心の豊かさと信じています」
 原材料の量に限りがあるから商品アイテムを増やしヒジキとの接点を広げ、販路を広げる。「安芸灘の誇り」があるから先へ、先へ進む。

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