良い食材をシンプルに調理して提供する鉄板焼き店。政界、球界、角界の常連が多いほか、数年前から国内外の動画サイトに取り上げられ、推し配信者が訪れた〝聖地〟として巡礼する客足が途絶えないという。
「私の故郷、庄原のブランド比婆牛A5のコウネ、カルビ、ハラミ、サーロインステーキなどは塩コショウでさっと炒めます。ホルモンは韓国産のピリ辛みそ炒めもお薦めです」
酒は生ビール(700円)をはじめ酎ハイ、ワイン、マッコリなどを幅広く用意するほか、海外で高い評価を受ける安納芋焼酎、酔神伽羅蜜(すいじんきゃらみつ、1杯900円)を中四国で唯一取り扱う。
「締めにぴったりのお好み焼き肉玉そば(1000円)は、キャベツよりも先に麺を乗せる昔ながらの焼き方。調理時間は長くなりますが、おいしいと思うので続けています。仕入れが難しい双子卵も特徴。鉄板越しに料理を待つお客さんに見て楽しんでもらうためのこだわりですね」
佐伯区楽々園にある当館は1991年の開館以来となる天井耐震化などの大規模改修工事を行い、リニューアルオープン。大体育室のLED化や床の張り替えも実施し、84台分ある駐車場も水はけの傾斜をつけたアスファルトに再整備。明るく使いやすくなったと好評です。主催事業はピラティス、パワーヨガ、小学生向け水泳教室などが人気で、トレーニング室は高齢者の利用も増えています。12月13日にはパラスポーツのブラインドサッカーの親子体験を行いました。
三原市出身で、1987年に当時の岡山県立短大体育科を卒業し、統合前の広島市体育振興事業団入り。西区、安佐南区や安芸区のスポーツセンターで勤務し、指導員や地域スポーツ振興担当コーディネーターなどを務め、昨年4月に当館館長に就任。91年の中区スポーツセンター時代は東京・立川市市議の広島視察時に同市発祥の「ミニテニス」を紹介され、同僚と2人で広島での普及に取り組みました。バドミントンコートで小さなラケットとビニール製のボールを使い、生涯スポーツとして愛好者が増えています。94年広島アジア大会の翌年に第1回市スポーツ・レクリエーションフェスティバルを担当し、運動会種目選定などに携わりました。
就職後もバレーボールのクラブチームに所属し全国大会に出場。ミニテニスの審判や指導員資格も取得しました。家族や職場でJT、カープ、ドラフラなどの観戦も楽しんでいます。
今週号で2025年の最終号。ほぼ時を重ね県政、広島商工会議所のリーダーが新旧交代し、街中では新駅ビル・ミナモアの開業が話題を振りまいたほか、紙屋町・八丁堀エリアの再開発事業は高層複合ビル・カミハチクロスが27年開業へ向け動き出した。カープはさておき、今年は何があったかと思い浮かべる年の瀬を迎える。
やはり城によく似合う。3月末に広島城三の丸整備等事業として、第1期商業施設が共用開始し開放的な和風建築に5店が軒を連ねる。その一つ。抹茶やスイーツを楽しみながら武家文化、茶道の美意識などに触れることができる「SOKOCAFE(ソウコカフェ)」は浅野家の家老を務め、400年以上にわたり武家茶道を伝える上田宗箇流が初めて監修した。城へ戻り、カジュアルなカフェスタイルを採用。変えてはならないものと変えなくてはならない不易流行を体現する。果たして流祖の宗箇さんがどう受け止めただろうか。
17代目を継ぐ若宗匠の宗篁さん(47)は、
「2年程前に提案を受け、思いを巡らした。カフェの気軽さと、崩してはならない茶道の品格をいかにバランス良く折り合いをつけるのか、これからも問い続けていくテーマだと思う。25年前に茶道人口は600万人。いまは180万人に減り、茶の湯の魅力を伝えていく工夫も大切。できるだけ多くの人にオープンな雰囲気で気軽に茶の湯に親しんでもらえる機会にしたいと考えました」
店内は床の間や釣釜、宗箇の時代から伝わる練り香も線香仕立てにするなど工夫。家元好の抹茶を、伝来の黒織部釘抜文茶碗や、上田家茶事預りの12代野村餘休作と10代祖休作の御庭焼茶碗のデザインを再構築した新作茶碗でもてなす。
かつては上田家の屋敷があった城内で家紋のあるカフェが伝統文化を醸し、若い人や外国人観光客に人気という。
「カフェを通して地元の伝統文化を掘り起こし、新たな価値を生み出す。そして、世の中の動き、空気を感じ取る機会になる。外国人の表情にも興味津々。改めて考えさせられます」
被爆を免れた古文書を掘り起こし宗箇の武勲と茶の湯の関係をひもとくなど、広島の武家文化を体系化。どんな企画ができるか構想を巡らす。
カフェを運営するCOCON(中区)の神尾正博社長は、
「27年春に2期エリアの三の丸歴史館が供用開始する予定。文化と歴史が織り成すスペースとして厚みを増す。カフェが歴史をたどる憩いの場になり、思いをはせるひとときを楽しんでいたきたい」
いま世界が日本文化に関心を寄せている。都心のオープンな空間で広島の歴史や文化に触れることができる試みは街に元気を呼び込む大きなヒントになりそう。
江戸期の書院屋敷、茶寮を廊橋でつなぐ構成を再現した西区古江東町の上田家上屋敷は過去に国内外から多くの賓客を迎えた。宗篁さんは新たなチャレンジにも余念がない。ライブ配信によるウェブセミナーや動画も手掛け、今月28日は稽古場のあるNY、独、仏を同時に結び5回目となるライブ配信も計画。
「上田家に関する古文書を調査している。戦国を生き抜いた宗箇が何を語るのかDXで何かできないか考えている」
伝統文化の継承も時代とともに変遷し、新たな光を放つ奇貨としたい。