広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    【巻頭特集】インド市場に挑む 県内企業の進出戦略
    NEWSなひと
    知財支援で特許庁奨励賞 中四国の弁理士で初 / 松本特許事務所 松本 文彦 弁理士
    マリンレジャー普及へ 体験型のフェア開催 / デルタマリン 児島 一成 営業部長
ニュース一覧
+ 続きを読む +

グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
Ten.to-Sen / 椙本 正樹 オーナー

廿日市の住宅街でひときわ目を引くログハウスのカフェで、昨年11月にオープンした。県内の創作和食店で総料理長を経験したオーナーシェフが腕を振るう。
「和食中心の主菜や副菜など10種のメニューを盛り付けるランチプレートが特に人気で、いつ来店されても新鮮な気持ちで楽しんでもらえるよう定期的に内容を変更します。店名に込めた『気持ちが結び合う大切な空間』づくりを心掛けています」
 木のぬくもりを感じる110平方メートルほどの広い店内には、間隔にゆとりを持たせたテーブル席を備える。手作りのバスクチーズケーキを目当てに訪れる人も多いという。
「40〜50代の女性グループがメインの客層ですが、オープン当初にたまたま足を運ばれたグルメ系ユーチューバのSNS投稿を機に、県外からのお客さまも増えています。これからも長く愛される店を目指して、夜メニューも充実させるほか、接客にも磨きを掛けたいですね」

    INFORMATION
  • ◆住所:廿日市市宮内2200ー1
  • ◆電話:050ー8885ー5024
  • ◆座席数:40席
  • ◆営業時間:午前11時〜午後4時、午後5時半〜8時
  • ◆定休日:水曜
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
他者のために

こんな仕事、辞めてやる。20代半ばで血気盛んな頃、顧客からのクレームに腹を立てた。しかし原因は、ごみ収集車を正しい場所に止めていなかった自分にある。ハッと目が覚め、未熟さを恥じた。
 心機一転、その日から仕事に魂を込め、不思議な力が湧いてきたという。2月11日付で廃棄物処理のタイヨー(安芸区船越南)社長に就任した加藤勇樹さん(48)は、
「人生の大きな転機だった。地元の高校を卒業後に流川でホストも経験。給料が高かった当社ドライバーに転職したが、心のどこかで世間からもてはやされる仕事ではないと感じていた」
 しかし意識が変わり、動きも改まった。少しずつ顧客から感謝されるようになり、成果を上げる仕事の面白さに気付く。そうした体験を社内で話すと周りも変わった。現場のリーダー、そして本部で部長級の仕事を任されるようになった。
「十数年前、リサイクル推奨の機運が一気に広まった時期があった。当社にとっても大きなチャンスと捉え、大規模な設備投資を実行。だが、うまくいかなかった。その設備を生かし、商機をつかむための人の力が足りなかった」
 父親の後を継ぎ、2016年に就任した元山琢然社長(現会長)が経営立て直しの陣頭指揮に立った。当時、常務執行役員だった加藤さんも全力を尽くし改革、改善へまい進。日夜、没頭した。
 どうすれば人の力を集められるか。人手不足を背景に求職者優位の〝売り手市場〟へと移る中、女性を起用する考えが浮かんだ。産業廃棄物処理は力仕事が多く、女性に向かないと社内外の誰もが思っていたが、その業界常識を破り、18年に全国でもいち早く企業内保育園を開設。社員は子を無料で預けられ、主婦やシングルマザーが安心して仕事に打ち込めるよう体制を整えた。休憩所もきれいにし快適な社内環境へ刷新したほか女性専用ユニホームも導入。この取り組みが口コミで広まり、いまは総勢約100人のうち女性が4割を占める。
「不人気とされる、われわれの業界は特に、人がいないから採れないという声をよく耳にする。しかし働きたくても働けない事情を抱えた人は少なくない。そうした人が活躍できる場をつくることが重要だと思う」
 社内副業制度も設ける。例えばスポット案件の注文が入った時、業務量に余裕のある人や、少しでも給料を稼ぎたい人が気軽に手を挙げられるようにした。多様なニーズに応えられるだけでなく、仕事を楽しみ、達成感を得てもらうことが大きいと話す。
「仕事のやりがいを大切にしている。顧客や取引先の満足はむろん、働く人の満足度を高めることが企業経営の一番の目的。売り上げや利益などの数値目標は本来の企業目的を達成するための目安に過ぎない。いまはその土台作りの期間。まずは安全と法令をきちんと守る。そして皆が自然と他者のために行動する〝かっこいい〟組織にしたい」
 創業75年。創業家以外からの社長は初めてだか、
「元山会長はオーナー的視点で先々を考え、物事を大きく捉える懐の広さがある。教わることが多い。DXや人事戦略など、外部の専門家の力も生かしながら12年後、私が60歳を迎えたとき、良い経営状態でバトンを託したいと考えている」
 人生の転機が糧になり、本物を求めてきたのだろう。

一覧に戻る | HOME