厳選したニホンウナギを使う専門店。今年1月に2周年を迎えた。名物は一匹分約30センチを切らずに使う「一本うな重」(3200円)。一度焼いた身を蒸し、たれに付け再び火に掛ける関東風の調理法で香ばしく仕上げる。
「たれは無添加にこだわり、大崎上島の岡本醤油醸造場が木桶で2年熟成した醤油に、みりんときび砂糖を混ぜる自家製。広島で愛されるお好み焼きソースのような甘さを意識しています」
米は安定した品質の単一原料米で、冷めてもおいしい県産あきさかりを使い、テイクアウトにも対応。花見などのぜいたくしたい日や会議、接待などで利用できるよう、重箱のような厚い包装で高級感を出す。
「酒はうなぎの甘い脂に合うふくよかな味わいの熟成酒や、さっぱりとした辛口など県内外の日本酒約30種を常備。午後3時からは、うな肝串と蒲焼、白焼き一切れずつに、ワンドリンクが付くセット(1500円)も提供しています。飲み会前の一杯など、気軽に使ってもらえたら」
やったる。ファイティングスピリットが素晴らしい。特有の直観なのか、これはと思ったら、ちゅうちょしない。
不動産業のNo.1都市開発(南区)は、2023年2月に東証のプロ投資家向け東京プロマーケット(TPM)に上場し、当初目的を達成して昨年に上場廃止。経営基盤強化へ手応えを得たようだ。
TPMは12年に東証子会社として独立(後に吸収合併)。株主数や売り上げ、利益といった数値的な上場基準がなく、中小にとって成長資金の調達や信用力をつける登竜門の意味合いもある。22年から上場数が急拡大し、3月現在170社に上る。首都圏や大阪が大半だが、同社は広島で唯一、TPMに挑戦した。
25年5月期売上高は5億4500万円、純利益6800万円。資金調達が目的ではなく、組織経営やESG(環境・社会・企業統治)の体制づくりが狙いだった。溝部孝志社長(63)は、
「上場の看板を背負い、厳格な規律が求められるプレッシャーは大きい。しかし会社の信用力を高め、将来にわたり持続させていく第一歩と位置付けた。社会が求めるビジネス領域を広げ、さらに企業価値を充実させたい」
後継者の不在も課題だったが、組織的な経営への移行によって次の世代に引き継ぐための道筋が付いたという。
山あり谷あり。さまざまな職業に就いた。山口県の高校を卒業後、最初に選んだ仕事は全国チェーン飲食店のコック。希望する東京配属の見通しが立たず、20歳で美容関連商品の営業に転職。競合品との違いや利用者の反響を説明し、1年目から月間売り上げ1000万円を達成。トップセールスになった。その後、知り合いの住宅会社の社長に誘われて転職。経験を積み1993年に起業した。
「商品の特長を明確にする。顧客にとっての利益や利点を示す。実績で自分自身の評価や証明を積み上げていく。この三原則を大切にしている。潜在ニーズはあるが、そこに〝ない〟ものを見つけ出す。ターゲットを明確にすれば、価値は生まれる」
全国で商業施設の誘致などを手掛けてきた。不動産コンバージョン(転換)にも積極的に取り組み、使われていない土地や建物に新たな用途を与えて価値を生み出す。例えば、農村の広い古民家は一般に買い手が付かないが、別荘や一棟貸しホテル用に外国人投資家に販売する。そうした柔軟な発想が、不動産を流通させる勘所なのだろう。
これはと思ったら実行。レンタル収納庫「収まるくん」は都市部の収納需要の高まりを背景に約90カ所となり、室数で全国20位、県内1位の規模に成長した。自社不動産も多く保有し、工場や商業店舗、駐車場などに賃貸するストック型ビジネスが安定した収益源となっている。
今も全国の物件情報を日々確認し飛び回る。不動産の価値は数字だけでは測れない。自らの目で判断する姿勢は創業来、変わらない。
「広島だけでなく、故郷の山口県宇部市での事業展開や、母校への備品寄贈で恩返しができるようになった。こみ上げる思いがある」
昨年12月には同市の西岐波中学校に空気清浄機を寄贈。25回の寄付型私募債などを通じた取り組みで、10回目となる同校のほか小学校や幼稚園でも行う。中学吹奏楽部の練習をのぞくと、3年前に贈ったトランペットが使われていた。感動をもらった。