小学5年で「江夏の21球」に魅せられ、野球に興味を抱いた。35歳で独立し、雑誌やフリーペーパーなどでカープ関連記事を執筆している。
最近で特に印象深いのは、本誌のカープサンフレッチェ特集(2023年3月30日号)の新井貴浩監督への取材。就任してすぐの沖縄・春季キャンプ中に、組織づくりや選手育成など新井流の「リーダーシップ論」をテーマに話を聞いた。当初は「自身の監督像」を模索しており、その答えが出ないままキャンプ入り。しかし、その中で「自分が感じたまま、選手にうそをつかず、取り繕わず、真っ正面から自分の言葉を伝える」ことを決心したそう。その背景には「選手は将棋の駒ではない、感情がある生身の人間だ」という思いがある。都度モチベーションを高める声掛けをし、選手の特長を引き出す。この姿勢に、現役時代に人一倍努力し、さまざまな苦境を乗り越えて一流に上り詰めた彼の信念を感じた。選手も若手・ベテランやスタメン・途中出場に関係なく、与えられた場で自身の役割を自覚し、起用に応える活躍を見せている。これが下馬評を覆し、昨季(リーグ2位)〜今季の躍進要因だと確信している。
交流戦を貯金2で乗り切り、夏場のペナントレース後半戦に入る。終盤の疲労がたまる時期に、リーグ優勝へのいくつかのターニングポイントを迎えるだろう。その際、彼の言葉や采配がいかにチームを底上げするのか。一試合、一場面たりとも目が離せない。