広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2021年1月7日号
間違いなく回復する

未曾有の年だった。1年前には米大統領トランプが再選されるかどうかは経済がポイント、東京五輪の経済効果は大きいなどの経済見通しがしきりだったが、全て新型コロナで塗り替えられた。急激に世界経済が縮小。そのダメージはリーマンショックを大きく超える。さて今年の世界、日本、広島県の経済見通しはどうか。シンクタンクのひろぎん経済研究所(中区)の水谷泰之理事長は、
「ほぼ間違いなく回復する。しかし、そのスピードはワクチン次第。米国は昨秋以降の感染拡大と経済活動の制限が続いていたが、ワクチンの接種が始まり、明るさが見えてきた。中国は昨年もプラス成長を維持。中国国内の経済活動に大きな問題がなく、とりあえずは順調だろう。わが国でも、そろそろワクチン接種のスケジュールが見えてくると思われる。何とか落ち着かせて、東京オリンピックが開催できれば、世界中の空気もがらりと明るくなる」
 バイデン政権は減税から増税へ。対外政策ではアメリカファーストから国際協調へ。西側諸国は一安心。中国への厳しい姿勢は変わらないが、貿易や関税での損得の問題ではなく、香港や中国国内の人権問題のほか、露骨な覇権の誇示を牽制すべく、法に基づく国際秩序に関心が向く。
「中国も対抗して安全保障上の観点から輸出入の制限を打ち出している。中国ビジネスではその製品について、米国での使われ方や米国でのライセンス契約など、両国での規制内容に注意しておく必要がある」
 菅内閣はどうか。
「アベノミクスを継承するとしているが、単純な継承ではなく、従来の政策からの発展が期待される。安倍内閣での有識者審議組織の未来投資会議を、菅内閣で成長戦略会議に再編。カーボンニュートラルに向けたグリーン戦略をトップの位置にもってきた。しかしグリーン戦略はコストがかかり大変と消極的な人も多い。確かにわが国のエネルギー政策の転換が必要であり、大規模な投資が必要だが、ここでの投資と新しい技術が、次の成長エンジンになるからこそ、成長戦略会議のトップにもってきたのだろう。これはデジタル・トランスフォーメーションと並び、あるいは一体となって、いまからの経済政策の基幹となる」
 1970年初頭、米国のマスキー法(排ガス規制)を最初にクリアしたのはホンダ。以降30年、ホンダは米国の自動車市場を席巻した。
「時代に適応した新しい技術を持つ者が、次の時代の王者になる。少子高齢化を嘆くだけでなく、未来を信じて前へ進む。やらなきゃ」
 ポストコロナのほかには、地銀再編、行政デジタル化など多彩な項目が目を引くが、これらはいままでの延長線上で、いままでにできていなかった目録。次に「足腰の強い中小企業の構築」が独立した項目に登場。日本商工会議所の三村会頭やデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社長)らによる議論に基づく、しっかりとした政策が提案されてくるものと期待。
 衆議院の解散がなければ、秋に衆議院議員の任期が到来する。状況次第で前回の総裁選で次点になった方に期待が集まる。県内経済やマツダのことなど次号で。

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