広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2021年3月25日号
初の100億円突破へ

車産業は100年に一度の変革期という。電動化や自動運転などの技術革新はどこまで進むだろうか。
「われわれは常にユーザーの心に視点を合わせている」
 とは、軽自動車の販売と車検・修理で業績を伸ばすサコダ車輌(佐伯区)の迫田宏治社長。販売価格は商圏内最安値で値引きしない。独自の営業戦略を展開し、着々と階段を上ってきた。
「どんなに車の機能や性能が進化しようと、商いの原点は変わらない。わが社にとって一番大事なことはユーザーから『ありがとう』と言ってもらえるか、どうか。ここが勝負どころ」
 と言い切る。今9月期決算は車販売6000台、車検1万6000台の目標を掲げ、1983年に創業以来、初の売上高100億円突破に挑戦する。
 前期も売り上げ100億円達成の目標を立てたが、14期連続増収をもってマイナスに転じ、売上高約89億円にとどまった。消費増税前の駆け込み需要の反動に加え、コロナ禍が響いた。だが、臆するところはない。新車状態に近い高年式・低走行の未使用軽自動車販売を主力に、FC車検最大手コバック加盟店では中四国九州初となる車検年間1万台以上を4年連続でクリア。さらに顧客層を広げ、徹底してユーザーから支持されるサービスを見極めてきたという自負があるのだろう。大台を視野に入れ、決して手を緩めない。リーズナブルな価格で車を販売し、車検を提供する。その代わり納車引き取りを極力避け、過剰なサービスは一切なし。この大本を押し通してきた。
 1月に安佐南区に4カ所目の指定車検工場「コバック広島祇園店」を開設。既存の石内、舟入、東広島と合わせて4工場体制を敷く。いかに規模が大きくなろうと慢心はかけらもない。社員教育には格別に力を入れる。接客を一つ間違うと、客は去る。普段から人間力を磨く努力が欠かせないと話す。
「営業にノルマはない。しかし頑張った社員を正当に評価する制度を設け、ふさわしい待遇を用意。縁あって入社した以上、みんな家族同然。人生はいつも順風満帆というわけにはいかない。行き詰まり苦しい時、どうやって乗り切るのか。難所を越えて初めて成長した自分を確認することができる。『仕事を通して自分の人生を幸せにする』という決意こそ何より大事。気持を新たに向学心、向上心、そして油断なく仕事、人生に向かってほしい」
 熱血漢だが、人情家。一からたたき上げてきた特有の経営観がある。少子高齢化が進み、車を求める世代も減ってきた。こうして真価が試されるときに差し掛かり、中小企業の強みを発揮するチャンスと言う。企業規模が大きくなるにつれて、自分の仕事だけやっていればいいという感覚が忍び寄ってくる。
「当社のモットーは、1人1人が責任感を持って頑張る。その結果、会社がもうかる。社員が潤う。そのサイクルが循環して雇用を守ることができ、社会貢献もできる。三方よしで成り立つ構造をつくる使命がある」
 社員の平均年齢は27歳。今春は新人16人が仲間に加わり、さらに若返る。2年後に40周年。ますます意気軒昂。

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