広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2021年4月1日号
顧問として力を発揮

人間五十年 下天のうちをくらぶれば夢幻の如くなり
 信長が好んで演じたと伝わる幸若舞「敦盛」の一節である。当時の平均寿命のことではなく、人の世の50年は下天に比べると、たったの一日に過ぎないという。いまの時代も過ぎ去ってしまえば50年はあっという間。しかし人生100年時代を迎えると、働き方や定年後の暮らし方なども一変するのではなかろうか。中国新聞社グループで人材総合サービスのメイツ中国(中区胡町)は、管理職経験のある60代を対象に「顧問倶楽部」という新たな人材紹介事業に乗り出す。
 人口減に突入し、さまざまな職場で働き手の不足が深刻化。それでも慣習なのか、定年を迎え、優れた人材もまた職場から去っていく世代交代を繰り返す。企業は技術の伝承、後継者の育成などに四苦八苦。一方で定年後に週に数日程度、やりがいのある、社会に役立つ仕事に就きたいと考えている人は案外、多いのではなかろうか。同社は、フル勤務では考えられない広範囲での可能性を探り、無理なく働ける方法を提案する。経営企画や財務、人事、営業、生産管理などに高度な専門スキルや豊富な管理職経験、人脈を持つ人らを顧問として登録。的確に助言、指導してくれる人材を求めている企業との間を「顧問契約」でつなぐ仕組みをつくる。働き方は多種多様。こうした事業は首都圏で先行しているが、中国地方ではまだ珍しいという。
 3月26日に専用サイトを開設し、これから幅広く登録者を募る。既に成約した事例もある。自動車メーカーの営業管理職経験者は、新たな販路開拓を考えている物流会社との間で条件が一致し、顧問契約。埼玉県内の製造業の工場長経験者は、広島本社の埼玉工場と顧問契約。遠隔地のため管理が行き届かず、現場の改善が急務となっていた。現工場長を育成し、生産能力を向上させる役割を担う。広島県内の基盤装置メーカー管理職経験者は、管理部門全体の最適化を目論む建設コンサルタント企業と顧問契約。原則1年更新で、出勤は週1、2日程度、報酬月額は30〜40万円程度を予定。
 経営者はいつも有能な人材を求めており、事業発展のチャンスをうかがう。新事業を立ち上げたいが、しかし任せられる人材は社内にいない。「経営者の右腕としてマネジメントに携わる人材を探している」、「海外展開などによる新たな販路拡大を考えている」、「ECサイトを立ち上げ顧客開拓したい」、「生産・開発現場で新たな手法や価値を生み出したい」などのさまざまな経営課題の解決に“伴走支援”し、顧問として力を発揮。求人と求職の双方のさまざまな希望や条件をできるだけ多くプールして出会いの場を提供する新たな仕組みにより、まだまだ元気で意欲のあるシニアに活躍の場を提供する価値は大きい。
 本当かと思うが、海外の研究報告で、2007年に日本で生まれた子どもの半数が107歳より長く生きるという推計もある。国は人生100年時代に向け、介護人材の処遇改善やリカレント教育、そして高齢者雇用の促進などの政策目標を掲げる。次の時代が何を求めているのか、いま一度、働き方や人生設計を見直してみるときか。

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