広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
聖母マリア像が描かれた真っ赤な外壁が目を引くメキシコ料理店。12月に7周年を迎えた。陽気なラテンミュージックでアットホームな雰囲気を演出。40種類ほどのテキーラをそろえ、客の好みに合わせて提供する。
「罰ゲーム感覚で飲むものだと思われがちですが、例えばたるで1年ほど寝かせた『クエルボ1800アネホ』はコクや甘みのある味わいが楽しめ、ワインやウイスキーが好きな人ならきっとファンになると思います。基本はショットですが、ソーダ割りなども用意。スペイン語で〝酔っぱらい〟を意味する店名のように、みんなで楽しく盛り上がりましょう」
トウモロコシ粉100%のトルティーヤを使うタコスやチーズを挟んで焼いたソウルフードのケサディア、メキシコ産牛肉ステーキなど本格的な味付けのメニューがテキーラの味わいを引き立てる。
「料理は見た目ほど辛くなく、若い女性にもお薦めです。幅広い層に訪れてほしい」
1989年(平成元年)開店で、最大200人収容の大型ビアホール。開店当時の建物や内装のまま34年の歴史を重ねたレトロな空間の中、しゃぶしゃぶ、焼き肉などを食べ飲み放題で楽しめる。
「木のぬくもりを生かしたテーブルやレンガ調の壁、アンティーク風の照明などでヨーロッパのビアホールの雰囲気を再現しました。個室や個室風フロアほか、カラフルでレトロなビンゴマシーンも備えており、少人数の忘年会から結婚式の2次会まで、気軽にご相談ください」
点心や中華、肉じゃが、おでん、揚げ物など総菜からデザートまで約60種類をバイキング形式で提供。イクラやマグロ、炙りサーモンなど握りたてのすしも用意する。
「新型コロナウイルスが5類に移行して、初めての年末です。ぜひ今年は今まで会うことが難しかった友達や、家族、会社の同僚など気の置けない仲間と、おいしい料理とグラスを片手に語らう時間を心ゆくまで楽しんでほしい」
昨年9月に中区新天地から移転し、同年11月に発泡酒で醸造免許を取得した店長が切り盛りするブリューパブ(醸造所併設飲食店)。提供する8種のクラフトビールは全て自社製品で、季節ごとに風味を変えている。
「例えばエチオピア産のコーヒー豆と柑橘類の一種『ライム』を使うなど、配合の組み合わせ方が珍しいクラフトビールを用意。平均予算は3000円で、それぞれに合う料理として12種のハンバーガーとフライドポテト、サラダや肉料理なども楽しめます」
客とのコミュニケーションを大切にしているという店主。自身がカープファンということもあり、店内で試合中継が楽しめるようにとテレビを設けた。客とは試合の様子、FAや契約金の話でも盛り上がるという。
「店名の『ハングアウト』は溜まり場という意味で、お客さまにとってそんな存在になれたらと思い、名付けました。人々が気軽に集い、クラフトビールをより身近に感じていただけるような店づくりを目指します」
CAFE風車を運営する三吉屋食品(中区大手町)が手掛けるそば店。
「能美島出身の創業者が戦後に大阪のかつお節問屋に勤め、現地でそば屋を開業。店は大阪万博会場の近くにありました。その後に帰郷し、1965年に喫茶店の風車を開店。約40年前に呉駅ビルに風車と一緒に水車を構え、広島でもそば店を始めました」
熊本、長崎の削り節3種と北海道利尻昆布で取る一番だしと、白い更科系のそばを使用。大阪での味を受け継いでいる。そば以外にも、水車の特製だしを使った炊き込みご飯や和総菜など手作り料理を提供。最近は、酒2杯と日替わりおばんざい4種類が付いた「晩酌セット」が人気という。
「昼は買い物客や家族連れ、夜は仕事帰りのサラリーマンのほか女性の一人客が多い。だしを使った手作り和食で一日の疲れを癒やしてもらいたいですね。長く勤めてくださっているベテランさんが多いので、接客も料理も、できるだけ人の手を掛けてサービスを提供し続けたい」
明治初期建築の古民家で、作庭家の重森三玲が手掛けた庭園を眺めながら、フレンチを楽しめるレストラン。
「空き家になっていた桜下亭の素晴らしさを知ってもらいたいと、14年前に開店。和と洋のギャップとコントラストで、驚きや感動を味わってほしい。日本庭園を眺めながら引き戸を開けると、じゅうたんの上に白基調のテーブルと透明な椅子などモダンな空間が広がります。ここだけの雰囲気を存分に楽しんでください」
ランチとディナーはコースを各2種類用意し、2カ月に1度メニューを刷新する。県内の契約農家から届く採れたての野菜や、専属の目利き人が草津港で買い付ける魚介類など地物に加え、フレンチに合う欧州産の食材も空輸で仕入れる。
「四季折々の表情を見せる庭園に合わせて、料理にも旬の食材を取り入れます。これからの季節は一層赤みを増す庭の紅葉とともに、カモなどのジビエ料理を提供。五感を使って晩秋の趣を感じてもらいたい」
10月12日にオープンした。料理は穴子カツレツ、焼きガキといった広島らしいメニューを中心に約70種、ドリンクでは県産クラフトビールや若者に人気の韓国焼酎などをそろえる。
「観光客から仕事帰りの方まで客層はさまざまです。名物の『赤いがんす』は、自然由来の原料で着色したパン粉を使用。カキは生でも提供していますよ。飲み放題で好評なのは、20種の日本酒を飲み比べられるセルフコーナー。亀齢や雨後の月など地元の銘柄だけでなく、他地域の酒も味わえます」
明るい雰囲気の店内は4人掛けテーブル11卓とカウンター10席に加え、最大40 人まで対応の座敷を備える。
「お通しがないのも特徴です。午後6時から平日は午前1時、金〜土曜と祝日前は午前2時まで営業しているので、ちょっと飲み足りないという方が気軽に立ち寄りやすい。変わり種の、瓶ごと氷で包んだウイスキーで作るハイボールをはじめ、幻の日本酒と言われる十四代(山形県)など幅広いラインアップをお楽しみください」
東洋観光グループのイーシーエー(安佐南区)が「居酒屋風ファミリーレストラン」をコンセプトに同区中筋と高陽(安佐北区落合南)で展開する。
周りを気にせず、我が家のようにくつろいでほしいと、ほぼ全ての席をゆったりとした掘りごたつの個室に。それぞれに藤原、佐藤といった名字の表札をかけ、家の雰囲気を演出している。
「毎朝仕入れる新鮮な魚介を使った刺身やすしが自慢。そのほか、麺類、丼、焼き鳥・唐揚げをはじめとしたつまみ、ハンバーグなどの洋食から離乳食まで300種以上をそろえる。季節ごとにメニューを刷新し、何度来ても飽きないよう工夫している」
親子や三世代で訪れる人が多く、ママ会、飲み会などでもよく使われる。50人程度の宴会に対応するほか、カラオケ付きの部屋もある。
「落とした際に店員を呼ばなくて良いように座席に箸を置くなど、お客さまの声に耳を傾け、細かいことから改善を続ける。アットホームな接客に努め、地域の方の憩いの場にしたい」
7月に創業5周年を迎えたベトナム料理店。同国出身の夫妻が本場の味を伝える。
「実家は鶏フォー専門店で中学生の頃から店を手伝い料理を覚えました。今も毎日スープの味をチェックします」
チャン代表は大学卒業後、ハノイの高級レストランに勤め、2008年に日本の接客を学ぶため来日して広島YMCA専門学校に留学。市内のホテルなどで働く中、ベトナム料理を知らないという声を受け、自ら店を開くことを決意。18年に念願をかなえた。
「当初は母国から呼んだシェフと一緒に営業。ハノイの料理は南部よりあっさりした味付けで、抵抗なく受け入れてもらえてうれしかったです」
鶏や牛肉のフォー、バインセオなど代表的なメニューは一通り用意。コースのメインにもなる炒めエビチリ、牛肉の赤ワイン煮込みなどもある。
「平日は仕事仲間、週末は家族でいらっしゃるほどファンになってくださった常連さんもいます。ベトナムの味をぜひ一度、お試しください」
流川で飲んだ後の締めのうどんが売りの和食店「獅子奮迅」の別館として2021年10月にオープン。別館は県産カキとコウネ、しゃぶしゃぶをメインに提供する。
「流川で生まれ、流川で育ったと自負しています。雇われホストを6年、オーナーを10年経験した後、手に職を付けたいと思い料理の世界へ。料理人の友人に弟子入りし、包丁の持ち方から魚の構造、味付け、盛り付けなどを必死に学んだ。天然物しか使いたくないという師匠の思いを受け継ぎ、だしや豆腐、漬物など全て一から作っています。カウンター越しに見えるお客さまの笑顔が一番の原動力です」
しゃぶしゃぶには本店秘伝のうどんだしを使用。広島菜と一緒に食べるのがお薦めという。開店2周年を記念して10月23〜28日はしゃぶしゃぶを半額で提供する。
「これからの季節は世羅の松なめこや松きのこの天ぷらもお薦めです。県内の日本酒を多くそろえているので、飲み比べも楽しんでもらいたい」
8月に10周年を迎えた。名前通り目立たない隠れ家的な場所に立地する、スペイン・イタリアを中心とした地中海料理の店。地元の魚貝類で作るアヒージョや、スペイン産のイベリコ豚を使用する溶岩焼きグリルが定番。地元野菜や珍しい生ポルチーニ茸などを使った季節ごとのアラカルトメニューが豊富で、アルコールはワインやビール、サワーなどをそろえる。20〜30代の女性やグループ客が中心という。
「これまでを振り返って一番苦しかったのはコロナの時期。週末の予約がゼロになっても、社員を抱えているため休業もできず、時短したり昼間に時間を移したりして営業を続けました」
空いた時間で食材やメニューの見直しを行う中、昼営業用に素早く食べられて同店らしさのある一品として、期間限定の「オマールそば」を出した。
「発売当日のお客さまのインスタグラム発信で話題になり、コロナ後の来客にもつながって本当にありがたかったです。これからも工夫しながらお客さまのニーズに答えていきたい」
地元政界や主要企業の幹部たちの社交場だった創業65年の老舗クラブの名を継ぎ、2017年に開店。8月で7年目に入り、10月3日付で、寺島あかりさんと森田蘭さんが小ママに就任した。営業後に空いているおいしい飲食店を探しているというあかりさんは、
「歴史ある店の名前に恥じないよう、二人でママをしっかりとサポートし、サービスの質をさらに高めたい」
七つのボックス席を備えるメインホールに加え、カウンター、15人までの貸し切りに対応するVIPルームを備える。落ち着いた雰囲気の店内は「上質な大人のための空間」がコンセプトで、接待需要が多い。一人で着物を着られるよう、着付けを学んでいるという蘭さんは、
「創業者が残した言葉『どれだけ働いたかを言うよりも、どんな心で働いたかを自らに問う習慣』を心に刻み、23人のキャスト一丸となってお客さまに楽しんで帰ってもらえるような店づくりに邁進します」
ケータリングサービスなどを手掛けるイベントス(中区舟入中町)が2016年にオープンした。農産物直売所を併設し、契約した地元農家の出荷農産物は全量を買い取っており、規格外品や出荷後3日を過ぎた野菜は料理し、季節や旬を感じられるブッフェで提供している。
「例えば夏はナス、冬は大根ばかりの時季もありますが〝〇〇づくし〟と銘打ち、家庭でもマネしやすいようなメニュー構成にしています。その中でも一番人気は〝大根餅〟。大根が大量にあり、おでんにしても消費が追いつかない時に和食担当のシェフが、すりおろした大根と片栗粉を混ぜて餅にするレシピをひねり出しました」
持ち帰り用の総菜売り場も新設。店内では管理栄養士考案のレシピを置き、農産物の購買につなげている。
「地元の野菜を地元で生かし、農家の収入を増やすという吉山のビジネスモデルを他の地域でも展開し、生産者を支援したい。そして、遠方からも人が集う価値のある場所をつくりたい」