広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2019年6月13日号
まさか、まさか

セ・リーグ首位で交流戦に突入。今季は滑り出しでまさか、8連勝からの快進撃にまさか。やきもきしたが、ようやく落ち着いてきた。もう忘れているかもしれないが、ここまで10年間のカープの足跡こそ、まさか、まさかである。2009年、マツダスタジアムに本拠地を移し、新球場効果で観客動員数は187万人に急増。その後4年間は平均で160万人を切り、少し停滞したが、14年に190万人へ急回復した後は、
 15年=211万人
 16年=215万人
 17年=217万人
 18年=223万人
 連日スタジアムは真っ赤に染まり、なかなかチケットが手に入らない。
 一方で、チーム成績はスタジアムに移転後も相変わらずBクラスに低迷。だが、13年に3位でクライマックスシリーズに進出し、これが起爆剤になった。15年には大リーグから黒田博樹投手、阪神から新井貴浩選手が復帰。ファンは沸騰し、選手も躍動。まさかの3連覇である。
 球団経営も一気に好転。カープ女子をはじめ、全国規模で新しいファンを獲得し、入場料収入はむろん、グッズ収入、スポンサー収入などもコイの滝登り。そもそも新スタジアム建設に始まり、観客動員数の増加、選手の活躍、チームが強くなれば、さらにファンは沸く。まさに好循環をつかんだ球団経営の選球眼、機動力、制球力がさえる。しかし飽きっぽい広島気質。これから先、まさかにならぬよう願いたい。
 広島カープが成功した要因は何か。サンフレッチェ広島の山本拓也社長が「ⅠCHⅠGAN(いちがん)力 強いクラブチームのマネジメント」と題し、5月28日にあった広島経営同友会(三村邦雄会長)の第723回月例会で講演した。
 主題はチームの構造改革。17年12月に社長に就いた際、久保允誉会長から「強い組織づくり」を託された。当時のありさまについて、
「フロントはプロではなくファン、自分の好きな仕事をしている。他人、他部署と連動しない、その批判は評論家レベル。サッカー界しか見ていない、知らない。全体的にマイペースでゆっくり。いろんなことを諦め始めている」
 手厳しい。社長就任後の初出勤日のスピーチで、
「昨年の15位という成績は監督、コーチ、選手がもたらしたと思っている人がいるなら、今すぐその考えを撤回してほしい。チームの成績はフロントがもたらす。これからはフロントがチームを勝たせよう。現場(選手)と一体になって仕事をしよう」
 素早く手を打った。ジョブローテーションの実施、顧客戦略部の創設、各部署から選出したバーチャルチーム立ち上げ、社長との定期的な一対一の対話、練習グラウンドでのフロントミーティング開催など。その結果、上昇志向が増し意欲が向上。目的が明確になり笑顔が増えた。仕事中は上下関係なし。勝敗に対する責任感が増したなど、フロントと現場の「一丸力」が発揮されるようになったという。ようやくサッカースタジアム計画も動き始めた。新スタジアムを契機に好循環をつかんだカープ研究に余念がなく、強いチーム、ファンづくりに全精力を注ぐ。カープとのダブル優勝なら最高だ。

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