広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2019年10月10日号
スポーツの力

精悍な男どもが激突し、ボールを追っかけ回す。アジアで初めて、日本で開幕したラグビーW杯。日本の快進撃に列島が沸き、にわかラグビーファンが増えたという。感動があり、一喜一憂しているうちに共感も生まれる。底知れぬスポーツの力なのだろう。
 カープやサンフレッチェなどのプロ球団がある広島はむろんのこと、中国5県のプロチームや関係団体、企業が賛同する「ちゅうごく5県プロスポーツネットワーク」の活動が広がり、次第に成果を挙げている。通称はスポコラファイブ。国が2016年に打ち出した日本再興戦略でスポーツを成長産業に位置付けており、25年までに15兆円の市場規模を構想。中国経済産業局が17年度から取り組むプロジェクトとして、スポコラが発足した。独立系プロスポーツ団体間や企業との連携を通じて新しい商品やサービスの開発、情報発信、人材育成などをもくろむ。
 7月にヴィクトワール広島主催で自転車ロードレース大会「広島クリテリウム」にバスケットボールの広島ドラゴンフライズや女子サッカーのアンジュヴィオレ広島、フットサルの広島エフ・ドゥのメンバーも参戦し盛り上がった。RCCアナウンサーで、プロジェクトの連携・情報発信のコーディネーターを務める坂上俊次さんは、
「カープやサンフレッチェはともかく、どこでどんな試合があるのか、よく分からないという声も多い。競技種目が違うからと互いに無関心のままではもったいない。プロチームの稼ぐ力を育み、さらにスポーツの価値を高め、都市力に磨きをかける。そうした取り組みが大切と思う。互いに刺激し合えば、活気も生まれる。広島はカープの存在でスポーツを観戦する文化、応援する土壌がある。これを利用しない手はない」
 チケットや関連グッズの販売促進などプロチームの経営基盤が強化され、街がにぎわい、産業振興につながればこの上ない。サンフレッチェは11月4日〜12月7日の期間限定で〝サンフレコイン〟の実証実験を地下街シャレオで行う。スマホのアプリを見せて買い物をするとコインがたまり、観戦チケット交換やスタジアムで特別体験もできる。さらに観戦すると店舗で優待が受けられる。観客動員と店側の集客を相互に増やしていく狙いだ。
 スポーツを取り巻く環境も随分と変わってきた。マツダスタジアムを盛り上げる女子力も半端ではない。スポーツを介在させることでビジネスの視界が広がり、新たな発想も生まれる。スポコラはここ2年間で、SNSなどによる情報発信や学生目線のコンテンツ制作、コラボ商品の試作ほか、顧客データ分析を使った集客の実証、新スタジアム構想の具体化などの活動に取り組んできた。
「関連ビジネス創出を目指し、スポーツで地域を元気にする。これがスポコラの本来の目的」(中国経産局)
 旧球場では4月にあった都市型スポーツの世界大会FISEが多くのファンでにぎわった。中区の中央公園広場へ早ければ24年にも3万人収容のサッカースタジアムが開業する。同広場は都市再生緊急整備地域にも指定されており、都市再生を強力に推進する役割が求められている。

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