広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2019年10月17日号
追い風吹く

まるで西部流通団地の施設老朽化にタイミングを計ったように、大規模な見本市や国際会議などを誘致、開催する「MICE(マイス)」施設整備の構想が持ち上がり、本格的な検討が始まった。
 市にとって戦後、最大級のプロジェクトだった。1958年に「大広島計画」の基本構想の一つに位置付け、66年から庚午、草津、井口地区の地先水面埋め立てに着手。総事業費1000億円を投入し、16年を費やして約328ヘクタールの流通団地を造成した。完成から37年。同団地を候補地とするMICE施設整備の検討を契機として、市幹部2人や(協)広島総合卸センターなどの企業団体トップ、アドバイザーの学識者2人、オブザーバーの県や広島商工会議所、地元の井口明神学区社会福祉協議会が参加する検討会「MICE部会」が10月1日、初会合を開いた。
 座長に、卸センターの伊藤学人理事長が選ばれた。ほかに企業関係者は商工センター企業連携協議会の中村成朗会長、広島市中央市場連合会の佐々木猛会長、広島食品工業団地(協)の中村哲朗理事長、(協)広島総合卸センターの岡本俊雄副理事長、広島印刷団地(協)の喜瀬清理事長、広島輸送ターミナル(協)の樋口和之理事長、広島市西部トラックターミナル連絡協議会の佐々木哲也会長らでつくる「広島商工センター地域経済サミット」の8人。
 そもそもは組合設立40周年を迎えた卸センターが2016年にまとめた「新しい施設の整備」構想が発端になった。商業施設アルパークの南側に隣接する広島市中小企業会館・総合展示館〜広島サンプラザのエリアを対象に、老朽化が進行する両施設・機能を再配置して新たに会議場や展示場などに全面建て替えする提言をまとめた。さらに大きく構想を練り直し、17年に「商工センター地区まちづくり提案」をつくり、メッセコンベンション施設の誘致・整備を柱とする提言を県や市へ提出した。
 厳しさを増す卸売りの環境ほか、団地内の主要施設や組合員の社屋が更新期を迎え、団地全体を再整備して将来ビジョンを描く必要に迫られていたことが提言の背景にあった。伊藤理事長は、
「アンケート調査で黒字経営が80%以上あるなど、幸い当組合は堅調な企業が多いが、決して油断はできない。古くなった施設、機能をリニューアルして将来へ希望の持てる環境整備、より元気な団地、より元気な組合員を旗印に、いま組合でできる限りの力を尽くしたい」
 追い風も吹いてきた。広島商工会議所が昨年12月、西区の広島西飛行場跡地と商工センター地区を候補地に、見本市や国際会議などを開く「MICEのあり方」提言を県、市に出した。これを受けて県、市がそれぞれ調査費を予算化。市は施設の整備可能な規模・機能などに関する調査をコンサルタントに委託した。並行して市と商工センターの地元企業などで設置したMICE部会は、本年度内にあと2回開く予定。大勢の人をさばく交通アクセスをどう整えるのか、西飛行場跡地との一体的整備と絡め、アルパークや広島中央卸売市場建て替えを含めた地区全体のまちづくりに、どのような道筋が示されるだろうか。−次号へ。

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