広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2021年10月14日号
顧問は総理大臣

いまの時代が求めているリーダーは私だ。岸田文雄後援会の伊藤学人会長(イトー会長)は、総裁選の出陣式であいさつした岸田候補のこの言葉に驚いたと言う。
「強く自分を押し出すようなタイプではないとずっと思っていた。文雄さんとは30年以上になるが、誰に対しても人当たりがよく、これほど強い調子の言葉を聞いたのは初めて。昨年9月にあった総裁選に敗れ、この1年によほど大きな決心があったのではないか。目つきや身ぶりその姿勢に、国を背負って立つ気迫がひしひしと伝わってきた」
 伊藤学−学人の親子2代にわたり、岸田家とのかかわりは深い。1978年8月19日号の本誌で、
 −前中小企業庁長官の岸田文武氏の衆議院選挙に立候補が本決まりとなるにつれ、いまから後援会づくりが始まるわけだが、それに先立ちこのほど田中、森本、山根、中野といった財界人が集まって後援会長に原幸夫氏(元広島通産局長、現中経連副会長)、副会長に伊藤学氏(イトー社長、商議所副会頭)をそれぞれ内定した−とある。
 副会長を引き受けた伊藤学さんは、
「西部流通団地では特に岸田長官のお世話になったし、中金会(組合が融資を受けている商工中金の取引先の会)の世話もしているし、それに岸田さんの先代(岸田正記(まさき)代議士=文雄氏の祖父)の時はクルマ(選挙カー)にまで乗った因縁もある」
 その後に原さんを継いで83年から2005年まで後援会長を務めた。その間に次の出来事が起きる。
 1992年8月4日に65歳で亡くなった岸田文武代議士の後継者選びが進展。10月早々には有力候補に見られていた長男の文雄氏が正式に出馬表明を行う段取りに。手続き的には岸田文武後援会が総会を開いて擁立を決議。文雄氏がこれを承諾する形が取られるが、水面下で動きを開始していた伊藤学会長は、
「後援会の総会を開く前に宮沢総裁と増岡県連会長の了承を取り付けておく必要がありますので、一緒に行っていただく県議会と市議会代表の人選をお願いしているところです。表だった動きは四十九日の喪が明ける9月20日以降になりますが、遅くとも9月末までには上京して宮沢、増岡両先生の了解を取り付けたいと考えています」
 学さんに任せておけば大丈夫と人望を集め、広島総合卸センター初代理事長として機微に通じ、人を包み込む温かさと公正公平に徹する厳しさがあった。05年11月20日に亡くなり、十七回忌を迎える。後任の杉原昭三会長を継いで14年から後援会長を務める学人さんは、
「自民党総裁になった日、総理大臣に就いた日は仏前で親父に報告。そりゃ喜んでいると思う。03年から卸センターの顧問を受けていただいているが、何しろ総理になられてそのまま受けてもらえるのかどうか、連絡待ち」
 岸田総理は経済政策で新しい日本型資本主義の実現へ、競争を重視した新自由主義からの転換を打ち出す。
「いまの時代はむろん、新しい時代が求めるリーダーシップを果断に発揮し、長期政権を願っている」
 総選挙は10月19日公示、31日に投開票。次号へ。

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