広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2022年1月6日号
予測困難に備える

長期予報によると、この冬は寒気の影響を受け、厳しい寒さとなりそうだ。さて、広島経済に暖かい風が吹くだろうか。広島銀行系のひろぎん経済研究所(中区紙屋町)の水谷泰之理事長は、
「コロナの新たな変異株の出現やワクチン効果低減などのリスク要因がある中で引き締めたり、緩めたりしながら経済は回復すると見ている。しかし、業種によって大きく異なるし、タイミングは予測困難。コロナ出現当初を振り返ると、1月は中国から部品が来ない、2月は国内の工場が動かない、3月になると海外で売れない、などと感染が広がる地域によって全く違う影響が短期間に現れた。その後ワクチン接種で欧米が回復すると急激な需要回復に生産や物流が追いつかない、ワクチンが遅れた東南アジアからの供給が止まるといったように経済の流れは複雑。サプライチェーンを読み解くことはコロナの影響だけでなく、いまから世界経済と自社のつながりを理解する上で極めて重要ではなかろうか」 
 急激な変化にどう対応すれば良いのか。飲食や旅行などが急回復したときに人手は大丈夫か、殺到する注文をこなせるのか、そのとき慌てふためくようでは後手に回る。予測困難だからこそ、備えに万全を期すという経営の力量が問われることにもなる。
米中対立と日本
 バイデン大統領は就任後、パリ協定への復帰、WHO脱退の撤回までは矢継ぎ早に実施したが、TPP加盟は進んでいない。アフガン撤退作戦の不手際で支持率ダウン。西側同盟の盟主としての信頼に傷がついた。秋の中間選挙を控え、米国が不安定になる可能性が高いと指摘する。
 一方で中国は「中華民族の偉大な復興」を掲げ、習近平の個人崇拝を強化。こうした「民族と独裁」に西側諸国が警戒感を強める。「共同富裕」を口実にした企業統制に注意する必要があり、日本は米中の報復合戦に巻き込まれないよう、情報収集と戦略の熟慮を求められよう。
岸田政権はどうか
 岸田内閣の経済政策の影響がどう出るか。新しい資本主義の具体化はまだこれからだが、成長戦略のグリーンとデジタル化は菅政権から引き継ぐ政策の中心。中でも「デジタル田園都市構想」では地方からのデジタル実装を目指していることが注目される。そのほか、企業のイノベーションを促す政策としてトーンが少し変わった産業政策、これに新しく経済安全保障が加わった。グリーン、つまりカーボンニュートラルへ向けた動きは今後より具体的になってくるだろう。だが、電動車一つとっても充電インフラ、電力需要の大幅増、電源構成の脱炭素化など、産業の垣根を越えた課題が山積。経営者としては、自社がつながっているサプライチェーンからプレッシャーがかかってくることを想定した対応が必要となってくる。油断できない。
 新年はコロナへの警戒を怠らないようにしながらも、国家間の対立が少しでも緩和され、地球温暖化など人類共通の課題やデジタルを用いた生産性の向上など、わが国の重要課題に前向きに取り組んでいける1年になることを期待したい。

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