広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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コラム― COLUMN ―

2022年11月17日号
市信用70周年

広島市信用組合は1952年の創業から70周年。2022年9月中間期で売上高に当たる経常収益94億700万円を計上。バブル期の1991年9月期の90億6100万円を超え、過去最高になった。山本明弘理事長は、
「91年の頃は預金利息が8%、貸出金金利が10%以上という時代でした。近年は本業の収益を示すコア業務純益や経常、当期純利益などが過去最高を更新する一方、経常収益は91年実績を超えられないでいたが、低金利が続く中、30年間のブランクが解消された思いです」
 この10年を振り返ると、役職定年廃止、初の女性支店長登用=2014年、西日本豪雨の復旧対応、広支店19年ぶり新店舗=18年、営業区域を県全域に拡大=19年、JCR格付A見通しポジティブに格上げ=21年などがあった。そして13年に山本理事長が全国信用協同組合連合会の会長に就任。18年にはNHKのテレビ番組「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演し、大きな話題になった。
「預金、貸出金の本来業務に特化し、不良債権も徹底して処理。財務内容を充実したことが大きかった。矢継ぎ早に支店の新築移転、広支店の新設などの店舗拡充、初任給・給与・手当の引き上げ、基本給への振り替え、定年延長など職員の待遇改善等を行うこともできた。純利益も来期末に54億円、3年後に60億円を見込んでいます」
 当初、預金を28年3月期、貸出金を31年3月期としていた「残高1兆円達成」目標を、今年1月にそれぞれ1、2年早め、この中間期での好業績を受け、さらに預金を26年3月期、貸出金を27年3月期に前倒しした。
「毎日リアルタイムで預貸金残高を把握していますが、9月末からの3週間で、預金が34億円、貸出金が25億円増えています。今年度の事業性融資の新規開拓目標1115軒に対し、10月17日現在で666軒と順調です」
 地元金融機関が軒並み店舗統合を進める中、広支店新設ほか、新築移転・建て替えでは14年に東雲支店、16年に可部支店、17年に宮内支店、20年に駅前支店、22年に己斐支店を完了。23年7月に海田支店、同11月に五日市支店、24年6月に府中支店、同11月に薬研堀支店、25年に鷹の橋支店を計画している。
「五日市、薬研堀、鷹の橋支店は駅前支店と同様に3階建てで1階に駐車場、2階に店舗を配置する予定。新築移転の場合、土地と建屋で6〜8億円かかりますが、支店の新築移転は主に賃貸物件で行っている。34年の減価償却で家賃より安くなるという判断もある。古江、南支店も移転先の用地を探しており、新築移転完了のめどがたった後、広島市内も含め新店舗の開設を検討します」
 今後の情勢については、
「日本銀行の黒田総裁の任期満了が来年4月に迫り交代が取りざたされている。米国の金利上昇や円安もあって金利上昇の可能性がある。コロナ対策のゼロゼロ融資の返済期が来て倒産が増えることも想定されるが、破綻懸念先には100%の引当金を積んでおり、環境変化に対応できる状況です。外務力を強化し5年先、10年先も盤石の経営を進めたい」
 微塵(みじん)の油断もない。

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