住宅業界が重大な転換期を迎えている。4月末に国土交通省が発表した2024年度の新設住宅の着工数は81万6018戸。前年度比2%増と3年ぶりプラスに転じたものの、06年の約129万戸に比較すると約60%の水準まで激減している。何より人口減少による影響が大きく、さらに業界の生き残りを懸けた厳しい戦いが続く。
12月で創業40周年を迎える創建ホーム(竹原市)は24年12月期で売上高84億4000万円を計上。これで4期連続増収とし、過去最高をクリアした。ハウスからライフへ。新たな旗印を掲げ、リフォーム分野や家具・インテリア販売のほか、外構・エクステリア工事などの周辺事業も手掛ける。水回りなど小中規模の改修工事を手掛ける子会社の住宅工房創(東広島市)は前年比9.8%増の5億2000万円を売り上げる。衣食住に視野を広げ、今期決算でグループ年商100億円突破を目指す。
どんな創意工夫があったのか。創業者の山本静司会長(78)は、1985年に人口が増え続けていた東広島で創建設工業を起こす。87年には竹原に創建ホーム本社を構える。数字はむろん、小さな出来事もおろそかにすることがなく、隅々に目の行き届く経営を心掛けた。130人ほどいた社員の日々や週間の行動予定などの確認を一日たりとも怠ったことがないという。よほど基本動作を徹底したのだろう。創業来、黒字を続ける経営基盤を築き上げた。
2023年12月に2代目を継承した長男の山本慎社長(52)は、
「役員から新入社員まで全員が一丸になり、良い緊張感の中で責任感を育んできた。こうしたたゆまない日々の積み重ねで創建ブランドを創り上げることができたと自負している。累計7500以上に及ぶ顧客の思いを一つ一つ形にしてきた経験は、何事にも代え難い財産です」
創業精神を引き継ぎながら40周年を「第二創業期」の出発点に位置付ける。
「時代のニーズがどこにあるのか洞察し、そこに事業を合わせていく工夫、変わる勇気を持つことが大切と教わってきた」
県央に位置する東広島を重要拠点に据え、本部移転のプロジェクトを推し進めた。21年に開業した複合施設「ライフ&カルチャーマーケット L/C」はリフォームやインテリア、エクステリアまでワンストップで提案できるようにした。衣食住を巡る多様なイベントも開く。幅広い顧客との接点づくりに生かすとともに人材の確保、育成にもつなげているという。
「本部と複合施設でしっかりとした営業体制を構築。支店を置く広島や竹原、三原、福山エリアに波及効果が生まれると見込んでおり、徐々に成果が見えてきた」
24年の供給数250戸のうち、東広島は97戸の実績を挙げる。21年立ち上げたブランド「創建リフォーム」は定期イベントなどで認知度を高め、売上高11億8000万円を計上。家具販売は法人営業にも取り組み、1億4000万円を売り上げた。
誰もが意見を出しやすい職場環境にも心を配る。役員とワンオンワンで面談をする機会を年数回設ける。新卒・中途採用を合わせて期末までに35人増のグループ総勢200人を計画。若手の役員登用も進める。高々と〝創建イノベーション〟を掲げ、第二創業へ踏み出した。