注文を受けてから殻を割る貝のにぎりが人気で、県外からわざわざ足を運ぶ客もいる。古賀順二店長は、
「仕込み段階であらかじめ割っておくのが常識だが、その間に鮮度が落ちる。提供に時間がかかるが、殻の状態を見たことのないお客さまは多く、さらに新鮮な状態を味わえると喜んでいただいている」
一緒に店に立つ栁川紀之店主が魚市場で毎朝見定めた魚介類を仕入れ、貝は常時8種類以上をそろえる。例えば、これからシーズンを迎えるトリ貝は殻がやわらかいために殻付きが珍しく、出回っている大半が冷凍物。生を食べられる店は珍しいという。これからサザエやアワビなども旬を迎える。
「同じ貝でも産地ごとに殻の色や味わいが変わる。生やあぶりなど異なる食べ方も楽しんでほしい」
広島三越の地下食品売り場の一角でカウンター5席。女性客が大半を占め、夜は持ち帰りが多い。一番人気の貝のにぎり珠玉(貝8、にぎり4貫)が9020円。