広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
中区の新天地公園から至近のコーヒー店。まとわりつくようなミルクの余韻が楽しめるラテや、苦みの少ないすっきりとした味わいのドリップコーヒーを目当てに、若い女性も足を運ぶ。田中裕士オーナーは、
「独特な酸味が苦手で全く飲めなかった20代中頃、当時勤めていたカフェでバリスタという仕事を知り、のめり込むように。凝り性な性格からか、〝コーヒー情
勢〟を知りたいと訪れた東京で出会ったエスプレッソに感銘を受け、苦手な人も気軽に楽しめる店を開きたいと決心。苦み・酸味・コクのバランスが取れた一杯を求めて飲み会の締めに利用する人もいます」
ニカラグアやエルサルバドルなどの生産者から直接仕入れた豆を自家焙煎。焙煎度合いや風味など客の好みをヒアリングして出す一杯を機にコーヒー好きになる人もいるという。
「生産国や精製、抽出方法などで味わいが変わり、奥が深い。当店でしか飲めない一杯を提供できるよう、まい進します」
2021年11月に30周年を迎えた洋食店。創業者シェフの田中恒士さんが考案したデミグラスソースで作るたんシチューやハンバーグなど、3世代で楽しめる料理を提供。創業者の長女でシェフの前園文子工房長は、
「デミグラスソースは野菜を炒めてチキンブイヨンで煮込んだものを濾こ すという作業を4回繰り返し、数日かけて作ります。予約なしでもわざわざ足を運んでくださったお客さまをお断りすることがないよう、十分な量の仕込みをしてお待ちしています」
西洋のアンティークを取り入れており、フランス風のしゃれた内装で、4姉妹のうち3人が店に携わり、看板を守る。
「飲食店はさまざまな方でにぎわうからこそ、お客さまにエネルギーを提供できます。長く愛されるためには、懐かしい老舗の味を守るだけではなく、変わり続けることも必要です。常によりおいしい料理、サービスを提供するために、今後も改良を重ねていきたい」
姉妹で営むおばんざい店。流川通りのフレイアビル1階突き当たりに店舗を構え、4月3日で1周年を迎えた。姉の田中水城さんが調理場を担当し、エビのチーズ春巻きやポテトサラダなど、旬の食材で家庭的な温かみのあるおばんざいを提供する。
「料理が好きで本格日本料理や居酒屋、和食、焼き肉など、さまざまなジャンルを経験。料理に飽きがこないよう趣向を凝らしたメニューを月替わりで提供しています。肩肘張らず、おいしいお酒を片手にほっと一息つけるくつろぎのひとときを過ごしてもらいたい」
予約なしで立ち寄れ、一軒目のほか飲んだ後のシメとしての利用も多い。テーブルや掘りごたつの個室に加え、カウンター4席を用意し、姉妹との会話を楽しみに訪れる常連が多いという。接客を受け持つ田中沙紀さんは、「姉の夢を応援しようと介護職を辞めて2年間、市内の有名店で経験を積みました。私たちもお酒が好きなので、ぜひ一緒に乾杯しましょう」
2016年から営むA5ランク和牛専門の焼き肉店。小林基岐オーナーは高校卒業後に食肉卸に入社し、肉の解体に従事。その後、市内の複数の焼き肉店の厨房で経験を積んだ。
「A5の中でもサシと赤身のバランスが良く、肉質が軟らかいメスを主に仕入れています。オリジナルのブレンド塩で肉そのものの味を感じてほしい」
隠れ家のような店構えから記念日や接待利用が多く、シャトーブリアン入りの「肉匠コース」(7000円)などが人気。仕入れ網を生かし、カイノミ、インサイドスカートなど珍しい部位も扱う。和牛の原種で年2回だけ入荷する天然記念物の見島牛を楽しみに、随分前から予約する客もいるという。
「肉の特徴や産地、お薦めの食べ方のほか、ビールからワイン、日本酒、ウイスキーまで豊富にそろえる酒から肉ごとに合うものをお伝えしています。心ゆくまで肉と酒をご堪能ください」
テイクアウトの弁当も好調で、2月にオンライン予約を始めた。
1974年の同センター開業時から入り、2年後に50周年を迎える。運営する三吉屋食品の三代目奥芝祥平社長は、
「昔ながらの平たいホットケーキは約50年間、レシピも焼成に使う銅板も変わっていません。人気のオムライスやチョコレートパフェも同じ作り方です」
能美島出身の祖父が戦後に大阪でかつお節屋を始め、大阪万博開催を機に飲食業に本格参入。65年、広島駅ビル開業時に喫茶風車を出店して広島で創業し、二代目の現会長が同センター街店などを出店。「昔ながら・懐かしい味」で、親・子・孫の3世代で楽しめるというコンセプトを守り続ける。
「約40種類のパフェは全て、層の順番や材料の組み合わせが違う。非効率なオペレーションで、スタッフは覚えるのに一苦労ですが、家族やカップルでパフェを分け合うときに、味や見た目の違いも楽しめるように工夫しています」
同店らしさを貫きながら、新しい試みにも取り組む。透明の容器の中にクリームやフルーツの層を重ねた「スイーツ缶」を、風車のパフェでアレンジして昨年末から販売開始。季節・イベントごとにメニューを考案し、持ち帰り・店内利用共に好評という。
3月18日にオープンした希少ブランド牛「尾崎牛」を使う焼肉レストラン。月70頭しか流通しないブランド牛を中四国で初めて一頭買いし、希少部位を「尾崎牛本日の特選部位8種盛」(2〜3人前、4500円)などで提供する。運営するダイヤホーム飲食事業部の下田聖也部長は、
「独特の飼育方法でうま味が凝縮され、油の融解点が低く胃もたれが少ない。希少ブランド牛のさらに希少な部位を堪能できる」
フレンチやイタリアンなどの一品料理にも力を入れ、6600円のコース料理も用意。元五つ星レストランなどで約20年経験を積んだワインソムリエの野村有希氏による熟成ワインとのマリアージュも味わえる。
「焼き肉が目当てのお客さまが多いが、より尾崎牛の良さを引き立たせる料理やワインを多くそろえている。尾崎牛を食べたことのある人にも来店していただき、新たな楽しみ方を提供したい」
広島電鉄の鷹野橋電停近くのつけそば店。北海道産小麦を使うちぢれ太麺が売りで、できたてを楽しんでほしいと店内製麺所で毎日仕込む。佐伯頼尚、松田諭オーナーは、
「保存料や化学調味料を一切使っておらず、小麦本来の香りや甘みをダイレクトに味わえると好評です。つけダレに付けずに麺をそのまま食べる人もいます。ゴマを練りこんだ限定麺など、商品開発を自由にできるのも自家製ならではの強みです」
しょうゆダレには熱処理をしていない絞りたての生揚げしょうゆ、さば節、いりこ、真昆布、ホタテ油を配合。メンマなどの具材にもこだわり、いずれも国産品を使う。
「お客さまが気付かないところにまで手を抜かないことで、唯一無二の一杯が生まれると信じています。近年は裏メニューやスタッフの人柄など、SNSでの情報発信に力を入れ、来店頻度の向上につなげています。近く2号店のオープンを目指しており、一層まい進します」
焼いた広島産和牛をだしにくぐらせる広島では珍しい食べ方を提案する。橋津由二店長は「店で引いた一番だしにすだちを絞る。脂っこさが減りさっぱりとしてうま味も加わる。新たな味わいを楽しんでほしい」
人気メニューは、上質なサシの入った薄切りリブロースにタレをかけた「飲める和牛」。かまなくても食べられそうな軟らかさから名付けた。専用設備や徹底した衛生管理がないと提供できない「霜降り和牛ユッケ」のファンも多い。これらのメニューに付ける卵もこだわる。安芸高田市産のブランド卵「彩」を採用し、濃厚な味わいがメニューを引き立てる。煙が出にくい卓上ロースターは、臭いを気にするビジネスマンに好評だ。10階にあり、夜景を臨むカウンター席が目当ての来店客も。
「6種の肉を食べ比べできるランチを計画中だ。料理はもちろん、スタッフが生き生きと働いてお客さまをもてなし、楽しかったと言われる店にしたい」
リーガロイヤルホテル広島1階のブッフェレストラン。1年半前から、南米を代表するバーベキュー料理「シュラスコ」をメインに据える。牛のさまざまな部位の塊肉を鉄串に刺し、じっくりと豪快に焼く。焼きあがった肉を客席まで運び、目の前でカットして提供する。篠原浩一マネジャーは、
「都市圏ではシュラスコ専門店があるが、ホテルレストランで味わえるのは全国でも珍しい。焼肉、鉄板焼きとは違う調理方法や見た目、ライブ感も楽しんでほしい」
塩・こしょうでシンプルに味付けし、ジューシーで軟らかい4種類の肉や焼きパイナップルを用意。一番人気は希少部位でもあるイチボで、程よく脂身があるという。
広島県出身。大阪の本社に就職後、約20年前に広島に転勤となり、前身の「コーヒーハウス コルベーユ」に配属。当時は泊まり込みの勤務体系で先輩たちと過ごす時間も長く、接客やサービスのいろはを学んだという。現在は指導する立場となり、若手の育成に力を注ぐ。
「3月からデザートメニューを15種類へ拡大。春の慶事でぜひ肉とスイーツを楽しんでほしい」
賀茂鶴グループ直営のレストラン。2021年12月に半個室の予約専用フロアを設け、酒だるの菰などを展示して酒蔵の雰囲気をより感じられる空間にリニューアルした。蔵人のまかないとして考案した美酒鍋のほか、若い世代に人気の日本酒カクテル、同店限定のオークだる熟成酒などを提供。料理と酒のペアリング提案にも力を入れる。総料理長の藤原修二さんは、
「料理の下処理に徹底的にこだわっています。例えばサラダはしっかりと水気を切り、大きさを均一にそろえることで味が大きく変わります。思わず笑みがこぼれるおいしい料理を提供していきたい」
新商品の和洋を取り混ぜた9種のおつまみ盛り合わせプレート(2750円)が人気という。
「料理に合うお酒を探すのではなく、お酒に合う料理の開発が特徴。日本酒の新しい可能性を模索したい」
宇品・千田廟公園から南へ続く御幸通りに建つ、古民家をリノベーションした喫茶店。レトロ感のある店構えだが、2月24日にオープン1周年を迎えたばかり。牟田英代店長は、
「祖父母宅がある小さなころから親しんできた通りで、空き店舗が増えて寂しかった。下町感のある面白いエリアなので若い人が来店して活気が出ればと出店を決めました」
名物は手作りコロッケで、週替わりでカニクリーム、カレーなど4種類を用意する。コロッケに総菜を盛り合わせたランチのほかにテークアウトがあり、近所のファミリー層から年配者まで訪れるという。市内の焙煎所に依頼したオリジナルブレンドのコーヒー、クリームソーダ、ベニエ(揚げ菓子)などのスイーツも用意している。
「夜の営業ができるようになったらお酒も出したい。今、店舗の裏側に喫茶の待合やテイクアウト用のデッキスペースを整備中。イベントなどにも活用する計画です」
マリーナホップ内にあり、大きな窓からヨットハーバーが見渡せる。ハンバーグ、ステーキを中心にパスタ、ドリア、かつ丼、うどんなど幅広い料理をそろえ、家族連れや近隣会社員らが訪れる。藤原大志店長は、
「看板メニューのハンバーグは独自の配合で肉々しすぎず、230㌘とボリューミーながらシニア層のリピーターも多い。オーブンで蒸してから鉄板で提供することでうまみを閉じ込め、軟らかくジューシーに仕上げています」
スチームコンベクションを導入し、3月からソイミートのハンバーグをメニューに加える。健康に関心の高い30〜40代女性の来店を増やしたいとする。岩国市(山口)の姉妹店の料理と合わせ、通販も始める予定。
「広島でハンバーグと言えば当店と言ってもらえるよう、厨房とホールで協力し合い、チームプレーで良い店をつくりたい。県内で多店舗展開するのが夢です」