広島の経営者がおすすめするグルメやナイトライフのお店を紹介。
宮崎市出身で広島宮崎県人会の理事を務める店主が、本場の味を広めたいと9年前に開いた居酒屋。チキン南蛮や地じ とっこ頭鶏のもも焼き(地鶏の炭火焼き)、冷や汁など名物をそろえる。
「柔らかい鳥のもも肉を揚げて甘酢にくぐらせ、タルタルソースをたっぷりのせるのが本場のチキン南蛮。地頭鶏の炭火焼きは地元と同じ『もも焼き』と呼んでおり、店内で炭を使って焼く。広島の人に本場の味を知ってもらい、宮崎出身の人には懐かしんでもらうために、地元の味をアレンジせずに出すことを意識しています」
アルコール飲料はビールや日本酒のほか、芋焼酎を常時7銘柄用意。特に霧島酒造の焼酎は、定番の白や黒に加えて、宮崎限定販売の銘柄「霧島」など4〜6種類を扱う。
「霧島は広島で仕入れることができないので、車で10時間近く運転して現地に買い付けに行く。〝てげてげ〟(宮崎弁で適当なこと)では宮崎の人に叱られますからね。やっぱり地元料理には地元の酒が一番合います」
島根県大田市育ちの店主が故郷の食材にこだわる居酒屋。のどぐろや石見ポーク、「赤てん」、出雲そばといった食材に加え、日本酒など大半を島根の業者から仕入れており、生産者とも直接対面した。16席の店を調理〜接客まで1人で切り盛りする。
「広島にいながら味わえる〝島根のご馳走〟がテーマ。ごちそうは本来、お客のために奔走して材料を集め、食事を出してもてなすという仏教由来の言葉です。食材の厳選はもちろん、その一つ一つの命やエピソードも大切にしています」
のどぐろの刺身は脂の甘みをより味わえるよう、皮目をあぶった焼き霜造りで提供。日本酒は女性杜氏が数値管理して品質維持する一宮酒造の「石見銀山」や、簸ひ 上かみ正宗の「七巻馬」などをメインに、大吟醸「玉鋼」も取り扱う。夜の飲み放題付きコース4400円〜。
「10人以上で貸し切りにも対応。カウンターでのお一人さまからカジュアルな接待、社内の歓送迎会まで、さまざまな場面でご利用ください」
5月10日にオープンした天ぷら専門店。南区京橋町のそば店で働いていたオーナーが2022年度「創業チャレンジベンチャー支援事業」の認定を受けて独立し、夫婦2人で営む。
「昼は旬の野菜や、ズッキーニなどの変わり種天ぷらに煎茶がセットになった『わがた定食』などの定食をメインに提供。夜はアラカルトでメニュー表から自由に料理を選んでいただいています。作業の手間はかかりますが揚げたてをぜひ味わってもらいたいと、盛り合わせではなく一品ずつお客さまのテーブルへ。7種をそろえた日本酒との組み合わせも楽しんでください」
カウンター5、テーブル4人用2席。若者や女性だけでも気軽に入りやすい店づくりを意識し、シンプルな内外装に仕上げた。1人での来店も多い。平均予算は昼2000円、夜4000円。
「天ぷら店は高級と感じる方が多いですが手頃な金額で味わってもらえたら。店名は、母親が我が家のことを『わがた』と呼んでいたことが由来。自宅のようにゆったりと過ごしてほしい」
ファイナンシャルプランニングなどのCWALが運営するカフェ。同社事務所が入る会員制コワーキングスペース「レインボー倉庫」(西区商工センター)内に3月25日にオープンした。藤井正彦社長夫人の美里店長は、
「新卒で食品関連の会社に勤めるなど、以前から食に興味がありました。出産を機に『気兼ねなく子どもとゆっくり過ごせる場所がほしい』と考えるようになり、新事業で挑戦。絵本の読み聞かせやハンドマッサージなどの事業者を集めた定期イベントが好評で、子ども連れの女性客が9割を占めるなど手応えを感じています」
開業時に始めたクラウドファンディングが目標額に達し、同施設2階に木製の小型滑り台を7月に設置。客を飽きさせないよう2カ月に一度、軽食の新メニュー開発にも取り組む。
「子連れの集う居酒屋があればと、8月には〝夜カフェ〟の試験営業を計画。今後も『ここに来たら何か楽しいことがある』と思われる店づくりにまい進します」
映画「サタデーナイトフィーバー」をきっかけに、1970〜80年代に一大ブームとなったソウルミュージックを流すショットバー。音楽を聞きながらグラスを傾けるもよし、ミラーボールの輝くフロアで踊るもよし。それぞれの楽しみを求め、50〜60代を中心とする客が訪れる。博秋さんは、
「きっかけをつくると踊り出すお客さんは多い。当時の音楽を聞くと、バブル時代を一瞬にして思い出してもらえる。夢のある良い時代だった」
博秋さんは六本木のソウル系のメビウス、美江子さんはライブバンド系のアフロレイキと、ディスコ文化の伝説の店で働き、生き字引のような存在だ。出張客や外国人客が調べてわざわざ来店することも。美江子さんは、
「根強いファンは多い。ソウルの良さを若い人にも伝えていきたい」
カウンターのほか、ロフトや半地下など変化に富んだ席がある。感染症が落ち着いた金・土曜には、DJによる生ライブを不定期で催し、広島の夜を熱く盛り上げたいという。
ギョーザ皮製造の井辻食産(安佐南区)のグループで、飲食店「餃子家 龍」運営の井辻フードアンド(同)が6月30日に開いた新業態。県産の豚肉とキャベツ、ネギをふんだんに使う龍の人気メニュー「ひろしま餃子(7個、550円)」ほか、お好み焼き、ウニホーレンなどの一品料理を鉄板で焼いて提供する。お好み焼き(豚・卵・そば、980円)は県産キャベツ・豚のほか、石本農場(北広島町)の卵、井辻食産が過去に運営したラーメン店「ひろしまランメン」の麺を採用。持ち株会社の井辻龍介社長は、
「鉄板に適したギョーザの焼き方を研究し、数回に分けた差し水でもっちりした皮にする。専用のふたも開発中。鉄板で食べるギョーザのおいしさを広め、他のお好み焼き店でも当たり前にギョーザが食べられるようにしたい」
宮島ビール、桜尾ジンソーダなど地元ゆかりのアルコールを充実。飲み会・宴会のほか、観光客の来店も見込む。生産者のこだわりを伝えたいと、畑などを訪ねるスタッフ研修を計画する。
八丁堀店と合わせ鉄板料理2店を経営。三川町店では7月1日から、年間約100頭しか市場に出回らない「美みくまのぎゅう熊野牛」ステーキの提供を始めた。中四国地方で初。岡田牧場(三重県)で肥育された雌の黒毛和種で、直営の肉屋でしか購入できず希少性が高い。
「牛舎の裏山から湧く天然水を与えるなど愛情たっぷりに育てられた牛もきっと、ここに生まれて良かったと感じているはず。ストレスの少ない環境だったことが肉質に表れています」
適度に脂身が入った赤身「カイノミ」を中心に仕入れる。鉄板に乗せた網の上で約6時間じっくりと低温で焼いてうま味を閉じ込めることで、ヒレ肉の最上級シャトーブリアンを超える柔らかさに仕上がり、かむたびに口の中で澄んだ肉汁が広がる。1万2000円のコースで提供。
「コロナ禍の休業中に全国の生産者を訪問して食に対する考え方を見つめ直し、『生産者と一緒にお店をつくる』思いを新たにしました。皆さまに特別なひとときを過ごしてほしい」
3月1日にオープンした会員制スナック。幅広い世代が気軽に利用できるよう、高級感がありながら接待だけでなくプライベートでも使いやすい価格設定にしている。
「お酒を飲むのが大好きで、ついつい飲み過ぎて酔っぱらってしまいます。店の特徴を一言で表現すると、そんな私を笑って許してくれるアットホームな雰囲気です。業界未経験の女性キャストも多いですが、その分、教育には力を入れています。お客さまに楽しんでいただき、来て良かったと思えるような店にしていきたい」
オーナーの趣味はサウナとゴルフ。最近の癒やしは実家の愛犬との触れ合いという。犬種はラブラドルレトリバーで、休日には散歩や遠出を楽しんでいる。
「細く長く謙虚に続けられるお店になれたら良いなと日々考えています。将来は多店舗展開できたらうれしい。理想としては2年後に広島で2店舗目を出し、ゆくゆくは大学時代を過ごした東京にも出店したいですね」
バルコムグループで飲食事業のバルコムエミュー(安佐南区中筋)が運営する焼肉店。あえて薄暗い店内を演出するなど、「普段の焼肉とは違う、全く新しい秘密の空間」をコンセプトに、2022年9月開業。インバウンドや接待需要を一層取り込みたいと5月23日、全席個室にリニューアルオープンした。
「落ち着いた大人のバーのようだと好評です。広島牛のサーロインや東広島のシカ肉などが中心のコースのみで、盛り付けにもこだわった。大切な人とゆっくりと過ごしてもらいたいと、回転率を意識しない接客を心掛けています。心も体も〝浄化〟してほしい」
ソムリエの店長が選んだ計50種類の赤・白ワインやウイスキーに加え、アルコールが苦手な人向けノンアルコールカクテルのモクテルなどを用意し、午後9時からはバー営業とする。「店内で2次会を楽しまれる方もおり、手応えを感じます。将来は会員制での営業を視野に入れるなど、居心地の良い店づくりに一層まい進します」
1990年代を中心に活動したプロロックバンド「the OYSTARS(オイスターズ)」でベースとギターを務めた双子の大串兄弟が営むお好み焼き店。「元気で明るくフレンドリーな店」をコンセプトに楽しい空間を演出し、お笑いやスポーツ、音楽界の著名人などが数多く来店する。
「日本テレビ系列の番組『秘密のケンミンSHOW』で当店の『ウニホーレン』が広島のご当地グルメとして紹介され、一気に知名度が上がりました。生ウニをほうれん草のソテーで包んで食べる料理で、当店の人気メニューの一つ。そのほか、双子にちなんで二卵黄を乗せたお好み焼きと、みそだれホルモンの3品が特にお薦めです。広島にはおいしい野菜や米、酒がたくさんあります。料理を通じて広島をさらに盛り上げたい」
子どもの頃から料理が好きだったという大串兄弟ならではのオリジナルメニューを100品以上提供。本店と世羅店に加え、福岡市に姉妹店の計3店舗を構える。
金座街アーケード内のビルの3階に構える、隠れ家的な雰囲気の日本酒バー。利酒師の資格を持ち、清水清三郎商店(三重県)の「作」や、青木酒造(新潟県)の「鶴齢」など、全国からよりすぐった常時40種類以上を扱う。
「2次会での利用が多く、女性お一人でも入りやすい落ち着いた店舗です。県内では珍しい特別な一本を置いていることも。普段飲めないお酒を提供するだけにとどまらず、〝お酒を楽しむ空間と時間〟を楽しんでいただけるよう、おもてなしに力を入れたい」
一品料理が豊富で、これからの季節は「ヤングコーンのグリル焼き」や「淡は竹ちくの煮物」などがお薦めという。
「夏酒は淡麗で辛口なものが多いが、お気に入りの一本に出合えるよう、お客さまの好みに合わせご提案します。初心者の方向けに、炭酸やジンジャー割りなどでも提供するほか、ビールにも注力し、アサヒビールの『うまい樽生』『マルエフ』認定店にも選ばれました。〝本当においしい日本酒〟の魅力を多くの方に届けたい」
インド出身の夫と日本人の妻が夫婦で営むインド料理店。結婚1周年の2月14日に開業した。赤を基調とした外観に加え16席を備える店内は色鮮やかで、まるでインドに来たかのような異国情緒が漂う。人気メニューはカレー・副菜・ライスなどが並ぶセットプレート。夜にはナンを提供する。
「香りや味がけんかしないよう、カレー一品に10種類以上のスパイスを使い深みのある味わいに仕上げた。セットでは1〜3種類を日替わりで提供するので、毎日来ても飽きませんよ」
店長はインドとドバイで5歳から15年以上同料理を勉強。当時から異国で自分の店を持つ夢を抱いていたという。広島在住の親戚から声を掛けられて13年前に来日し、西区庚午の料理店で店舗運営と日本語を学んだ。
「スパイスカレーの作り方や新婚生活など、お客さまと他愛もない話で盛り上がるのがちょっとした楽しみ。味だけでなく、人と人とのつながりも大切にしたい。これからも愛する妻と二人三脚で店を営んでいきます」