広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    工作機械、自動車部品製造などで一体活動 / 市田 雅彦 氏
    NEWSな人
    急速冷凍カキの販売を本格化 ひろしまベンチャー奨励賞受賞 / 川崎水産 川崎 健 社長
    農家と企業つなぎ地域活性化へ 楽しむことが新たな事業生む / 小川商店 小川 治孝 代表
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コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
広島の弱みに着眼

やっぱり東京はすごい。2017年に国内で開かれた展示会の半分以上の983件が東京ビッグサイトで開催されており、5万平方メートル以上の大型展示会では65%以上を占め、次いで幕張メッセが20%以上。首都圏にある2施設を合わせて全体の85%以上という圧倒的な強さを誇る。
 国際会議の開催件数ランキング(16年・観光局統計)では、東京23区が571件で群を抜くが、続いて福岡市383、京都市277、神戸市260、名古屋市203などの順。広島市は全国12位だが、その開催件数は76件で他の政令市に比べて桁違いに少なく、福岡の5分の1にとどまる。2000人規模の国際会議は県内で3件だけだった。
 とりわけ大規模な国際会議場や展示会場の整備が大きく立ち遅れており、1987年に広島港出島地区へメッセコンベンション施設を建設する構想が浮上したものの、いまだ実現のめどさえ立っていない。また、5000人超を収容できるイベントホールは広島にない。こうした広島の弱みに着眼したのが、西区商工センターの流通団地に卸売業が集積する広島総合卸センター。団地中心部の「広島サンプラザ」と「広島市中小企業会館・総合展示館」の両施設と機能を一カ所に統合する、西日本最大級のメセコン施設誘致・整備を中心とした再開発構想を描く。
 2017年に市へ、同構想をコアとする「まちづくり提案」を提出。市議会定例会で市のMⅠCE(会議・研修、報奨旅行、国際会議・展示会・見本市やイベント)推進に関する質問に、松井市長は、
「2月に広島総合卸センター地区の活性化策として提案のあったMⅠCE施設整備については、グローバルMⅠCE都市への整備ということも視野に入れながら検討する」と答弁。にぎわい施設整備構想のある、広島中央卸売市場建て替え事業と相乗効果の構図を描きながら、市との協議を進めてきた。
 構想のあらましは、最大1万1000平方メートルの展示面積を持つメッセコンベンションセンターを整備し、交流人口の大幅な増加を見込む。付属して大ホール、レセプションホール、ホテル設置など。
 決して符節を合わせたわけではないだろうが、これが布石になった。広島商工会議所は昨年12月21日、国際会議や見本市などを開ける施設整備の提言をまとめ、県と市へ提出。候補地(公有地)に、①商工センター地区、②出島メセコン用地、③西飛行場跡地新たな産業(にぎわい)ゾーンの3カ所を挙げるが、出島用地は周辺環境や港湾物流への配慮が必要などから難しいと判断。残る2カ所を「広島市西部湾岸地域」として一体的に開発する方向を示す。
 商工センター地区(52000平方メートル)は宿泊機能や市中心部とのアクセス等の課題はあるが、JR駅に近く、瀬戸内海を望み、宮島にも近い。流通企業の集積などポテンシャルは高い。何よりも「地域が前向き」としている。
 西飛行場跡地は、利用計画はあるものの事業が確定していない。市中心部とのアクセスに課題はあるが、にぎわい・産業創出に向けた動きが進んでおり、近接する商工センター地区と一体的なまちづくりが期待できる。−誘致体制強化の課題など、次号で。

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