広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    中国地方整備局長に就任 / 小平 卓 氏
    NEWSな人
    超モノづくり部品大賞奨励賞 スギ由来の新素材で音響部品 / オオアサ電子 長田 克司 社長
    観光コンテンツづくり支援 広島の魅力を世界に発信 / 地域ブランディング研究所(東京) 吉田 博詞 社長
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コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
風向き変わる

年金生活者6万人を受け入れるという、広島経済同友会の提言「ストップ・ザ広島県の人口減少」(2004年)に当然、地域の負担を懸念する反対の声もあった。しかし、提言をまとめた「広島県を考える委員会」の森信秀樹委員長(森信建設社長)は、
「いまの60代は元気だ。知識も経験もある。広島で新たな働き方を提案し、その受け入れ態勢を整えれば地域も、産業も元気になる」
 と訴えた。これが藤田雄山知事の目に留まり、早速、県庁内に交流定住促進室が設置された。さらに5月に県内14市9町、民間12団体でつくる協議会を設立。07年2月に県と同友会は包括協定を締結し、6月に51社でつくる「ひろしま暮らし支え隊」が結成された。当時、県人口が減少(00年の国勢調査)に転じるという衝撃的なニュースが走った。1998年の288万人をピークに、今後は一段と早い速度で減少し、2040年には239万人になると予想されている。
 わが国は08年をピークに人口減少局面に入り、このままでは50年に9700万人、2100年には何と5000万人を割り込むと予想。同友会報告書(17年2月)で、
「(県人口の減少は)消費市場の魅力を失うことで、個人サービス関連業種をはじめ、企業の県外転出が進むことが考えられる。労働市場は縮小に向かい、失業と人口流出が起こり、地域経済の縮小を招く負のスパイラルに陥る」
 と危機感をあらわにする。
 果たして菅内閣は地方創生にどこまで切り込むのか。人と人との交流から生まれるにぎわい、活力、新たなアイデア創出の機会などが失われる人口減の痛手は大きい。
 県は10月25日、東京都千代田区有楽町の東京交通会館で「ひろしま大集結 UIターンフェア」を開いた。新しい暮らし方、働き方を求めて首都圏から地方へ移住を希望している人に、広島の住みよさをアピール。仕事探しなどのさまざまな相談に応じた。
 出展者はマツダをはじめ、荒谷建設コンサルタント、オオアサ電子、ドリームアーツ、日造協、広島電鉄、やまみ、ローツェや、県内の17市町など。当日、151人が会場を訪れたほか、新型コロナ感染予防に配慮し、オンラインによる相談に245人の計396人が参加した。社会へ飛び出し、およそ10年でスキルを磨いた30代から働き盛りまでの相談者が大半を占める。
 みんな東京へ向かった反動が底流にあるのか、終身雇用の時代から移り、地方で「自分らしく働き、暮らしたい」と思う層が次第に増えているようだ。東日本大震災やリーマンショックを契機に、安定した暮らしを求める移住希望者が急増。有楽町の「ふるさと回帰支援センター」のデータによると、相談件数は7年で約7.6倍の5万件近くに増え、40代以下が72%強を占める。随分と風向きが変わってきた。目の前にチャンスはある。しかし移住希望者が求めている就業機会をどうやって提供するのか。
 経営の後継者や幹部、専門技術者がほしいと考えている中小企業トップは多い。首都圏で高度なスキルを磨いた人材を探し出し、広島で活躍してもらう仕掛けをつくる。さまざまな人が集まると広島、企業は元気になる。

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