広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    広島商工会議所青年部の21年度会長に決定 / 下岸 宏靖 氏
    NEWSな人
    広島初進出、今春に2校開校 IT人材・公務員輩出へ / 学校法人大原学園広島校 西村 幸夫 開校準備室長
    建築廃材活用しバッグ制作 東広島市立美術館で展示会 / 工房こどもノか 吉田 奈緒子 代表
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
ひろしま国際ホテル / 小堀 浩士 総料理長

開業55年を迎えた中区立町の老舗ホテル。和食「芸州本店」、広東料理「トンフォン」、スペインバル「ミ・カーサ」の3店を擁する。
トンフォン料理長を経て1月に就任した小堀浩士総料理長((公社)日本中国料理協会理事)は、
「お客さまに愛されてきた味は変えることなく、目の前での料理の仕上げ、スモーク、エスプーマなど新しい技術を積極的に取り入れる。味と体験の両方を楽しめる空間が理想。まだ来店を控える方も多く、3店合同のテークアウトメニューやギフト商品の開発も検討しています」
 豊島(呉市)出身。大阪や兵庫で修行後、阪神大震災を機に帰広し、入社。調理学校や修行では北京料理を学び、当初は広東料理との違いに苦労したと振り返る。
「言葉も使う道具も味付けも、水と油ほどの違い。毎日ついて行くのに必死でしたが、料理人として引き出しが増え、今では幸運だったと思います」
 9年ほど前から務める進徳女子高校での講師経験を生かし、サービススタッフらに料理の基礎知識などを教える講習会を構想。いっそう料理に愛着を持って仕事に励めるチームづくりを目指す。

    INFORMATION
  • (トンフォン)
  • ◆住所:中区立町
  • ◆電話:082-240-0558
  • ◆席数:90席
  • ◆平均予算:昼1000円、夜4000円
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
放送作家 / 桝本 壮志 氏

リーグ初優勝した1975年に広島市佐伯区で生まれ、親戚が山本浩二さんと縁があったため、幼い頃からカープが大好き。東京を拠点に、放送作家として全国放送のテレビ番組を手掛け、2014年からは広島ホームテレビの番組『鯉のはなシアター』を制作しています。県民にもっと球団の魅力を知ってもらいたいという思いで、企画から構成、司会まで務め、選手や球団と関わりのある人たちなどの知られざるエピソードを深掘り。「カープが一層好きになった」と反響があったとき、大きなやりがいを感じます。
 テレビ朝日で監修として携わった「アメトーーク」の12年の「広島カープ芸人」放送回は印象深い。「カープ女子」という流行語が生まれ、球団人気を全国区に押し上げる一大ムーブメントが起きました。ビジター球場にも多くのファンが詰めかけてチームを後押ししたことが、25年ぶりの優勝やリーグ3連覇を成し遂げる要因の一つになったと思います。こうしたブームの継続へ、メディアに関わる立場として情報を発信し続けることが使命です。
 20年12月には新たな領域に挑戦しようと、コンビ間の格差や闇営業問題など芸人が抱える葛藤をテーマにした青春小説デビュー作「三人」を出版。作家として一層活動の幅を広げたい。
 今季は、引退した石原慶幸さんの意志を継いで「扇の要」の役割を担う會澤翼捕手に注目しています。低迷するチームをまとめ、佐々岡監督を「日本一の男」にしてほしい。広島の元気にはカープが欠かせません。共に応援しましょう。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
知らざるを知る

あじかん創業者の足利政春さんが語った言葉の端々に、何とも言えぬ迫力があった。穏やかだが、日々精魂を傾けてきた体験の裏付けがあり、引き込まれる。途上で「いったん会社を閉じなくてはいけない」事態さえ危ぶまれたこともあったという。その岐路に立ち、何が明と暗を分けたのだろうか。
 創業者が語る「あじかんの原点と経営思想」に、次の一節がある。
「母が私を膝の上に抱きながら『癇癪(かんしゃく)は癇癪玉という宝なんよ。宝物はめったに人に見せるもんではないですからね』などと言い聞かせられ、知らず知らずに私の血肉となり、生き方や経営観の底流になっています」
 逸話がある。競合する同業者があることないことを言いふらして歩いたときも、自分自身に言い聞かせたのが「癇癪玉」の教えである。
「相手を誹謗(ひぼう)するような会社は、世の中で認めてもらえるはずがない。同じように誹謗して歩く会社になったら、相手の同じ位置に成り下がってしまうからやめとこう」
 後に語れば簡単なようだが感情こそやっかいで、火の玉のような「やりがい」を引き出すこともあれば、怒りに負けて身を滅ぼす危険も待ち構えている。勘所だろう。
 京都の吉田喜で修業し、玉子焼きの技術だけでなく商いのイロハも教わり、人を見る目も養ってもらったという。
「(吉田社長は)若い者を愛情とゲンコツで鍛え、一人前の職人に育て上げてくれた。修業中にはどれほど涙を流したかわかりません。しかし笑って過ごした楽しい思い出はほとんど記憶に残らないのに対し、涙するような苦しかった出来事は年々美化されて、あのときは大変だったなあと楽しく語ることで今あることを感謝できます。人間が生きられるのもそれゆえで、もし苦しい思い出が苦しいまま残っていたとしたら、とても生き続けていることなどできないでしょう。今は楽しく語れる苦労をいくつ持っているか。その数が歩んできた人生の勲章だと私は思っています」
 経営のコツここなりと気づいた価値は百万両。松下幸之助の言葉である。
「この言葉に初めて接してからというもの、松下さんの著書を読み漁(あさ)りました。著書に−経営のコツとはどういうところにあるのか、どうすればつかめるのかということになりますが、これがまさにいわくいいがたし、教えるに教えられないものだと思います。経営学は学べるが、生きた経営のコツは教えてもらって分かったというものではない。いわば一種の悟りとも言えるのではないかと思います−と書いてあります」
 日夜試案の末、眠りに就こうとした瞬間、パッとひらめくものがあった。あじかんを支えてくださる方々の喜びがコツではないか。自分の実践の中で気づいた「商いのコツ」です、とくくる。
 3代目の足利恵一社長は、
「倫理と利益の両立が人を豊かにしていく。利益だけを追い求めても駄目。倫理だけでは経済が成り立たない。渋沢栄一の言葉です。資本主義の草創期にそう指摘している。学ぶとはいかに知らざるを知るか。ここから一歩を始め、生涯続けていきます」
 誰も教えられない。わが手でつかむほかないのだろう。

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