広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    (社)広島県住宅産業協会理事長に就任 / 瀬﨑 敏正 氏
    NEWSな人
    介護事業者団体の支部発足 持続可能な業界目指す / (社)全国介護事業者連盟 新井 恵 広島県支部長
    企業オーナー向け「参謀」事業 福岡の試行で手応え / ワイエムライフプランニング 松本 智寛 社長
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
とり八本店 / 上瀬 将 オーナー

市内有数の規模を誇る常時200匹の魚が泳ぐいけすが自慢の海鮮料理店。店名は焼き鳥店として創業した当時の名残という。上瀬将オーナーは、
「コロナ禍で閑散としていた繁華街にようやく人出が戻ってきました。通常営業できることが何よりうれしい。元々両親が始めた店で、母が今も元気に注文を取ってくれています。父も元気ですが、一緒に厨房に立つと考え方の違いで取っ組み合いのケンカになるので、今は私に店を任せてもらっています。互いに少しでも店を良くしたいという思いが強く、頑固で真面目な性格は父親譲りなのかもしれません」
 扱う魚の種類も市内屈指で、お薦めは上品な甘みと歯ごたえが特徴のカワハギの造りという。
「あらゆる業界で機械化が進んでいますが、料理は人間ならではの仕事だと感じています。肉を切る作業一つにしても、このくらいの大きさに切れば歯ごたえが良いだろうという、人ならではの感覚や遊びを大切にしています」

    INFORMATION
  • ◆住所:中区流川町4-20
  • ◆電話:082-247-3788
  • ◆席数:80席
  • ◆平均予算:5〜6000円
  • ◆営業時間:午後5〜11時
  • ◆定休日:日曜
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
ベジタブルテック / 岩崎 真宏 共同創業者兼CEO

広島で整骨院を経営していた宇土善之COO(柔道整復師、鍼灸師)と2015年、「ベジタブルテック(当時Omoi Foods)」(西区)を設立。今年3月に加熱や凍結せず粉末化する特許技術の「オールフィト濃縮乾燥法」で無農薬野菜を原料にした「かける粉野菜」とカプセル状の「飲む粉野菜」を発売しました。原料は宮城県登米市の農業法人と栽培契約し、敷地内に工場も設置しています。
 17年に北京五輪男子陸上4×100メートルリレー銀メダリストの朝原宣治さんらと(社)日本栄養コンシェルジュ協会を設立し、代表理事を務めています。運動指導者、管理栄養士、医療従事者、アスリートらがメンバーで、栄養に対する正しい知識の普及啓発とヘルスケアに関する人材育成を行っています。
 大阪市出身で、管理栄養士として関西電力病院疾患栄養治療センターで勤務し、食事療法に取り組む中で野菜の健康食品開発の必要性を感じ、宇土COOと会社を立ち上げました。神戸大大学院で医学の博士号を取得し、栄養の代謝と細胞機能、生活習慣病予防・治療、運動の効果的な栄養サポート等をテーマに研究。スポーツインストラクター養成校を持つ学校法人三幸学園などで講演したほかプロ野球のDeNA横浜ベイスターズの栄養サポートアドバイザーも務めています。トレーナー、栄養士、調理師が連携し、選手のトレーニング内容を踏まえ、選手に必要な栄養素の提案などを行っています。アスリートや指導者だけでなく次世代の子どもにも栄養学の正しい知識を伝えたいと思っています。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
何のために働くのか

自由にやってよい。そう言われて、大いにやりがいを感じるのか、戸惑って途方にくれるだろうか。企業や団体などの組織に所属していると、自主性と協同などをめぐり、どう組織を調和させるのか、何のために仕事をしているかなどと、誰しも素朴な疑問にぶつかったことがあるのではないか。
 出社時間も服装も自由。給与は自分の働き方とその貢献度を自ら評価し、自己申告する。会社の目的を実行するための活動なら自己責任でそれを実行できる。自治体コンサルティングを手掛けるE.S CONSULTING GROUP(中区大手町)は、社員の自己責任と自由に軸足を置くユニークな就業規則、人事評価制度などを導入する。社員の人間性を信じる考え方が根底に流れる。
 同社の佐藤祐太朗(37)CSO(最高戦略責任者)は地元銀行、会計事務所の営業を経て独立。2019年3月に設立以来、3期連続増収を達成し、数人から始めた従業員数は14人に拡大している。
「経営を指揮する立場に立って、改めて組織とは何かと問い直した。私自身は前職で心身のバランスを崩すことがあった。懸命に働いている人が必ずしも幸せそうに見えなかった。経営学的には、1人では実現できない困難な目的を達成しようとするとき、複数の人間の協同で行う。それを組織と言うが、それだけでは不十分。社名のES(従業員満足度)は、みんなが幸せを感じることができる働き方を突き詰めて考え、その目的を実現させる決心を込めた」
 会社理念を実現するための相乗効果を図りつつ、全員が幸せになれる組織はないか。フレデリック・ラルー著「ティール組織」に出会って、大きな示唆を受ける。
「組織は猿の群れのボス猿を頂点とするようなトップダウン型からピラミッド型、達成を重視する実力主義型など、時代とともに変化している。ティール組織は個人の自律と性善説によって統治を放棄するという、より高次元の考えが根底にある」
 同社が存在意義としている「地方自治を駆り立てる」と共鳴し、共感できたと話す。
 しかし日本企業にティール組織のモデルケースはまだ少ない。社員に意見を募り、話し合いながら新しい組織をつくり上げていく方針だ。企業を一つの生命体として捉え、会社は何のために存在しているのか、社員一人一人は何のために働くのかを明確化。会社目的を実現するための活動であれば自ら意思決定して良いとし、上司の承認というプロセスを不要とした。経費や日々の行動などもクラウドアプリで見える化。読書などで得た知識もシェアして集合知を高め、社員の成長と環境変化に素早く対応する組織体を描く。効率化や収益の最大化を図ろうとすると無理が生じる。たとえ成長意欲の低い社員がいても、その価値観も認める風土が大切と言う。
「当社では江田島に移住してキッチンカーを営業しながら地域活性化に取り組んでいる社員がいるが、収益だけを考えたら非効率。会社の目的と社員が大切と考える価値観や生き方などを実現するバランスが大事だ。もし会社に終わりがきたら、社員とその家族から勤めて良かったと思ってもらえる組織にしたい」

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