広島経済レポート|広島の経営者・企業向けビジネス週刊誌|発行:広島経済研究所

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  • 掲載ニュース― NEWS ―

    今週の表紙
    瀬戸内ブランドコーポレーション社長に就任 / 田部井 智行 氏
    NEWSな人
    賃貸管理業の届出義務化 品質・住環境の向上へ / (公財)日本賃貸住宅管理協会 高山 伸介 本部理事
    ポリカ建材の窓・壁を製販 採光・遮熱など価値発信 / サンケンフロント 下枝 良輔 取締役
ニュース一覧
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グルメ&ナイト― GOURMET and NIGHT ―

話題のお店を取材!
天ぷら わがた / 北川 尚勲 オーナー

5月10日にオープンした天ぷら専門店。南区京橋町のそば店で働いていたオーナーが2022年度「創業チャレンジベンチャー支援事業」の認定を受けて独立し、夫婦2人で営む。
「昼は旬の野菜や、ズッキーニなどの変わり種天ぷらに煎茶がセットになった『わがた定食』などの定食をメインに提供。夜はアラカルトでメニュー表から自由に料理を選んでいただいています。作業の手間はかかりますが揚げたてをぜひ味わってもらいたいと、盛り合わせではなく一品ずつお客さまのテーブルへ。7種をそろえた日本酒との組み合わせも楽しんでください」
 カウンター5、テーブル4人用2席。若者や女性だけでも気軽に入りやすい店づくりを意識し、シンプルな内外装に仕上げた。1人での来店も多い。平均予算は昼2000円、夜4000円。
「天ぷら店は高級と感じる方が多いですが手頃な金額で味わってもらえたら。店名は、母親が我が家のことを『わがた』と呼んでいたことが由来。自宅のようにゆったりと過ごしてほしい」

    INFORMATION
  • ◆住所:中区西十日市町7-5
  • ◆電話:082-548-5197
  • ◆営業時間:午前11時〜午後2時、午後5時半〜10時
  • ◆不定休
  • ※発行当時の情報となります。過去の記事につきましては、最新情報を掲載店さまにご確認ください。

スポーツ応援談― SPORTS TALK―

経営者が語るスポーツ「愛」
産業数理研究所Calc / 谷口 哲至 社長

広島工業大学で数学を教える傍ら、2021年に企業の課題を分析して数学的発想で解決を目指す会社を立ち上げました。自転車ロードレースの地元プロチーム「ヴィクトワール広島」監督兼社長の中山卓士くんとは飲み友達で、創設時から応援しています。
 7月8日に三原市佐木島であったホームレースで、初めて現地観戦。私も週1回ほどロードバイクに乗ることがありますが、プロのレースは時速45キロを超え、同じ乗り物とは思えないスピード感に圧倒されました。序盤から駆け引きが続き、中盤からは雨が降り出したことで多くの選手が落車するなど波乱のレースに。終盤になっても18人ほどの先頭集団の中で誰が優勝するか分からない混戦状態。最終的にヴィクトワールのキンテロ選手を含む3選手が横一線でゴールを駆け抜けました。実況や解説の人も分からないほどの差でしたが、ガッツポーズを掲げたのはキンテロ選手。念願のホーム初優勝に、チームカラーのオレンジ色を身につけたファンは大盛り上がりでした。
 今年は実力のある外国人3選手や、エースの阿曽選手、ガッツのある久保田選手など強いメンバーがそろっています。結果を残すことで、全国大会でも強豪の崇徳高校の自転車競技部など、広島で自転車を楽しむ子どもたちが憧れるチームになってほしい。

コラム― COLUMN ―

                                   
記者が注目する「こぼれ話」
信じる力と伝える力

2016年のプロ野球日本シリーズ。25年ぶりに出場したカープはファイターズを相手にいきなり2連勝し、一気に頂点をつかむと思えたが、そこから4連敗。カープファンを黙らせた敵将、栗山英樹さんは3月にあったWBCで世界一の監督に輝く。7月13日に札幌市であった全国私立大学就職指導研究会のセミナーで「信じる力と伝える力」と題し、講演した。
「通常であれば開幕に向けた調整の時期に、選手が体と気持ちを最高の状態に仕上げるのは想像以上に難しい。疲労がたまればシーズンに影響するだけでなく、けがの可能性も高まる。過去にはそうした理由から選出を辞退した選手もいた。それでも日の丸のために全力で戦いたい、というスイッチを入れるのが仕事」
 特に、所属球団と何十億円という額の契約を結ぶメジャーリーガーの招集には腐心。リスクを考えると、二つ返事で承諾してくれる選手はいない。そこで栗山さんはまず自身の思いを熱く、余すことなく伝え、そして返事をずっと待つことにした。
「普通の交渉では、例えば何カ月以内と期限を決める。もし返事がなければ連絡し、結論を尋ねるのが当たり前。しかしそれは、全てを出し切っていないような気がして失礼だと感じた。だからどんなに返事が気になっても、期限を過ぎようとも、こちらから連絡はしないと決意。それが私の思いを表すと信じた」
 大活躍した大谷翔平をはじめ、鈴木誠也(後にけがで辞退)などの招集に成功。中でも最年長のダルビッシュ有の存在は大きかったという。
「他のメジャー選手は契約の関係上、大会の直前まで合宿に参加できなかった。初日から合流したダルビッシュも練習試合の出場は制限され、調整の面ではギリギリまで米国に残った方が好都合だったはず。それでも若い選手との橋渡し役を担うべく、リスクを承知で来てくれた。彼の心意気こそ侍の魂。チーム一丸となるきっかけだった」
 ダルビッシュが先発した予選2試合目の韓国戦でアクシデントが起きた。試合前、カープから唯一選ばれていた栗林良吏が腰痛を発症。さらにゲームでは遊撃の絶対的レギュラー、源田壮亮(西武)が右手小指を骨折してしまう。その2人への対応は、全く異なるものだった。
「源田は代え難い存在。世界一のため西武に許可を取り、本人の意思や指の状態も確認した上で残すことに。一方で栗林。球団は残していいと言ったが、投げられる体ではない。しかし彼にも魂があり、そこに触れると情に流され、判断を誤ると思った。だから何も聞かず、広島へ帰るよう言った」
 リーダーは誰しも情と結果のはざまで揺れる。しかしWBCでは何より結果を重視したと語る。決勝戦で大谷とダルビッシュが登板した経緯についても明かした。
「体力面では投げられるか微妙だった中で、2人とも自ら準備を始めていた。その姿勢が最高の結果につながったと思う。大谷が二刀流を始めた時も感じたが、人は困難なことに挑戦すると力が伸びる。選手の気持ちに火を付け、挑む環境を整えてあげることが指導者の役目」
 信じる力と伝える力。勝負の世界の重圧に耐え、つかんだ信条なのだろう。ひょっとするとあるかも知れないと期待が高まる新井カープ。その二つの力こそカープを突き動かしているように映る。

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