平和大通りの緑地帯に面する、カフェ併設の飲食施設「PLACE」内に3月23日にオープンした。生カキ「かきむすめ」、比婆牛のステーキなど県産食材にこだわったメニューを提供。seeds(安佐南区)の小野敏史社長と店を切り盛りする。
「広島には歴史があり、おいしい食材も多く、ポテンシャルは高い。県外出身だからこそ分かる、広島の魅力を広く伝える役割を担いたいです」
大阪府出身で日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)に所属し、2010年に引退。以降も食育指導などでスポーツ選手とのつながりを続け、21年にスポーツ関連の仕事で広島に移り住んだ。
「引退後に飲食店を開きたいと考えていましたが、やはり厳しい業界であきらめかけていました。食材のおいしさを保つ冷凍事業を手掛ける小野さんに出会い道が開けました。効率的なオペレーションを実現し、スポーツ選手のセカンドキャリアのモデルケースになることも、この店の目標です」
今年1月、主に個人や中小事業者のクラウドシステム導入を支援する会社を起こしました。大手IT企業で豊富な経験を持つ夫と協力し、コスト削減やセキュリティー向上につながるサービスを提供します。
Jリーグ発足の頃からサンフレッチェを応援しています。夫の職場が広域公園に近かったことがきっかけで観戦し、気付けばホーム戦だけでなく、神戸や大阪などアウェーにも家族で足を運ぶほどに。息子2人が小さい頃は夏休みに吉田町の練習場へ行き、当時の森保一監督のサインを頂いたのが良い思い出です。現在のチームでは広島出身の野津田・川村両選手を応援。地方クラブが盛り上がるためには彼らの活躍が不可欠だと思います。またベテラン青山選手も、シーズンのここぞという場面で力を発揮してもらいたい。
最も印象的なシーズンは、初めてJ2で過ごした2003年。終盤に昇格2枠をサンフレ含む3チームが激しく争い、ライバル新潟との直接対決では退場者を出しながらも、なんとか先制点を守り切ってJ1復帰をたぐり寄せました。あの試合で感じたハラハラ感は忘れられません。
もちろん新スタジアムでも観戦済み。母親の目線でありがたいと感じるのはコンコースの施設の充実です。天候や試合展開によってはぐずってしまう子どもでも、新スタはショップなど多くのコンテンツがあり飽きずに楽しめます。サッカー観戦未経験の人も、きっとはまると思いますよ。
自社の強みを伸ばし、不足を補う。どうすればよいのか絶対と言える定石はない。トップは経営環境に応じて最善の手を見極め、決断する。それから先は衆知を結集し、最善を尽くすほかない。
自動車や航空機業界の機械設計を手掛けるアイワエンジニアリング(東区曙)代表取締役の森口康志さん(58)は3月29日、自動車や半導体業界向けに技術者と製造人員を派遣するキット(神奈川)に全株式を譲渡した。果たして経営はどう変貌するのか、考え抜いた決断だったろう。
キットは、グループ7社で2024年3月期の売上高230億円を見込み、数年後の上場を目指している。同社グループとして、アイワの生存戦略、企業力を強化する狙いだ。従業員36人はそのまま残る。森口さんは退任。代わってキット経営企画部の澁谷洋部長が代表取締役を兼務。原口秀典取締役社長は続投する。森口さんは、
「父が1987年に創業し、自動車ボディー組み立て設備などの3Dモデル構想作成や2D設計製図を受託。メーカーと直接取引しているが、特定の1社で売り上げの7割強を占め、リスクを分散させる必要があった。当社は設備設計を得意としている一方、キットグループは製品設計会社を抱えており、技術研さんにつながるほか、営業網を活用しながら取引先を広げられると考えた。経営を託し、ノウハウを取り入れることが将来のためになると判断した」
20代後半で東京に広島風お好み焼き店を開業し、店舗数や業態を広げてきた経験がある。父親が急逝し、19年からアイワの代表取締役を兼務。しかし機械設計は素人で、番頭格の原口さんを社長にして実務を全て任せた。自身は経営判断や財務労務の管理を担当。技術者集団という強みがあるが職人気質のせいか、当時は寡黙な雰囲気が職場にあった。東京と広島を行き来しながら、飲食店での成功体験を基に、明るい受け答えやあいさつ、元気、顧客目線の大切さを話し、働きやすい環境づくりから始めた。21年には4階建て本社屋を改装。置き菓子があり雑談しやすいスペースやミーティングルーム、フリーアドレス制などを取り入れた。
「父と膝を交え、経営観などを語り合った。人への思いやりと感謝。互いに通じ合う信念だった。社員の成長に連れて企業価値が上がり、今回のM&Aにも大きな影響を及ぼしたのではないだろうか。経営を離れる寂しさはあるが、会社が成長していく未来を想像すれば、父もきっと喜んでくれると思う」
広島銀行曙支店の古川恭隆支店長は、
「事業発展や人材育成について相談を受け、業務提携など複数の方法を提案した。日本M&Aセンターの仲介で1月にトップ面談を開き、その後これほどスムーズに成約した例は珍しい。胸襟を開いて話し、リスペクトし合えたからでしょう。地方からの若年層流出が課題となる中、キラリと光る地元企業を応援し、雇用を生み続けるためのサポートに力を入れていく」
アイワ代表取締役に就いた澁谷さんは、
「グループ会社との間で面白い化学反応が起きると期待している。各社が独自性を磨きつつ、ものづくりの上流から下流までカバーできる派遣や請負業務を強化していく」
ピースを埋めながら、よりしなやかな企業集団へ発展させていく構想を描く。